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撃破

「やっぱ眩しすぎるよ・・・」

柚希と圭は隣のクラスの人と会話をしている。大勢の輪に入れなく、休み時間はいつも前と同じ。これじゃ仲が良いのか悪いのか分からない。

「はああぁあぁぁぁ・・・」

長いため息。ズルリと力がいっきに抜けた。

「おーい梅宮どした?さっきっから暗いけど」

明るく振舞ってみる。しかし遥は暗いままだ。

「暗くなんかないよー」

一生懸命明るく見せようとしているのだろう。笑顔が引き攣っている。暗い遥をみると自分まで暗くなってしまう。苛められていることは知っている。だがここまで追い詰められるものなのだろうか。苛められた経験が無いので良く分からない。

「今日気晴らしに公園行くか」

「えっでも悪いし・・・」

「ほんの少しの気持ちだ。放課後こなかったら意地でもつれてくからな!」

「うん。放課後昇降口でね」

帰り道公園に行っている遥をよく見た。遥にとって公園は楽園のようなもの。子供が好きなのでいつも相手にして遊んでいる姿は優しく、輝いていた。それに笑顔なのだ。

遥は公園に行くのが楽しみなのかかなりうれしそうにしている。

悪魔のような現実が起こるとも知らずに・・・








愁は先に昇降口で待っていた。

「遅れてごめん。補習あったから・・・」

「お疲れ。俺今来たばっかだからさ。そんじゃいくかー」

昇降口を出る。夏はそろそろ終わるか。涼しい風が2人の髪を撫でるように吹いていく。歩いている間はひとことも言葉を発しなかった。遥は下を向いて虚ろに歩いていた。

公園に着くと子供たちの賑やかな声が聞こえてくる。

「公園ついたぞ」

「・・・」

相変わらずぼーっとしたままだ。

公園を見つめている。

「ブランコいかね?」

「・・・」

愁はブランコまで走り、遥に向かって手招きをしている。

「さっさとこいよ!とられっぞー」

遥は愁の言葉を聴いていない。公園を虚ろな目でじっとみている。愁にはその姿は何かを恐れているように見えた。そういえば先ほどから子供たちが騒いでいるような・・・?

焦点を遥に合わせる。遥は愁を見ている。

「どうしたんだよお前」

遥に駆け寄ろうとしたとき

「愁君逃げて!」

は・・・?

愁は徐に後ろを振り返る。

「なっ・・・なんだてめぇ!」

後ろには黒いマントを広げた男が立っていた。赤黒い眼を光らせて、銀色の髪の毛は風に揺れている。男は二カッと笑うといきなり殴りかかってきた。

「うあっ」

男は容赦なしに何度も殴りかかる。運動神経がいい愁でもよけられないほど早い殴り方。すべて愁にあたる。

遥の後ろに数人の黒いマントを着た男が立っている。

「は・・・遥っ!お前がにげろぉぉぉ!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

男たちは遥に向かって棒で殴っている。わけの分からない発言をしながら・・・

「君もはいってくんないかなー?」

「来たんだろ俺らのサイトに!」

「いやだいやだっ!絶対復讐ごっこなんかしないんだからぁぁぁぁ!!」

「やめろおおぉぉおぉおおおおおぉぉおぉおお!」

緑色の草は血に染まる。2人の体は全身痣だらけで・・・

黒い紙が落ちる。ヒラリと舞うと飛び散ってきた血に押しつぶされた。





「ごめん・・・遥・・・」

今何時だろう。夜だ。

男たちに殴られて殴られて、気絶してしまった。

「愁君・・・」

「家まで送る」

遥は精神にダメージを喰らった。それにしてもなぜ男たちは自分がサイトに来た事を知ってるのだろうか。襲うくらいまで人殺しをさせようとしてるのだろうか。

こんなの非常識だ。

「んじゃ、遥また明日な」

「うん。じゃあね」

家に帰っても恐怖は消えない。

「ただいま」

「おかえりって・・・どうしたの遥そのかっこ!それに帰りが遅くて心配したのよ?」

遥の目に涙が浮かぶ。

「おかあさぁん・・・」

母の胸に抱きつく。

「うわああああああん」

「は・・・遥・・・どうしたの?」

「なんで・・・どうして夢を叶えるために人を巻き込まないと駄目なんだよぉぉ!復讐したってなにものこんないのに・・・なんものこんないのにぃぃ!うわあああああん!これ以上・・・人の狂ってく姿なんてみたくないよぉぉ・・・・」

母は頭を撫でる。撫でたまま黙り込んでしまった。

なんでこんなこと考えるのよ・・・遥・・・

遥は見てきた。複雑な人間関係、欲望、復讐。

先ほどなんて発狂した男たち。子供たちの前で殴って・・・殴って・・・

泣き叫ぶ声は母の心を突き刺す。

こうしている間父は帰ってきた。

「遥・・・どうしたんだ・・・」

「あなた・・・」

遥はふと父を見る。

そして一瞬言葉を失った。悲しみとどうにもできない思いはさらに膨張する。

「おとう・・・さん・・・・?」

父の手には・・・・

黒い紙が握られていた。

「遥、旨いもん買ってきたぞ・・・食うか・・・?」

もう片手には血まみれの生首が・・・

生首を上に持ち上げ、遥に見せる。

血が滴となって床に落ちる。

「いっ・・・いやっ!こないでー!」

「あなたやめて!」

遥はそばにあった皿をなげつける。

ガッシャーン!

「うっ・・・ああああああああああ!!」

父の額に当たる。かなり強い勢いだったのか額から血が勢いよく流れる。

そのままその場に倒れた。

「・・・!・・・・お父さん!」

私は殺してしまった。殺してしまった。

遥は力をなくし床に座り込む。

「遥っ・・・お・・・おま・・・お前っ・・・」

口から血が出てくる。父の目はしろめになってそのまま息を絶った。

「ひっ・・・!」

ひ・と・ご・ろ・し

「ぎゃあああああああああああああああああ!」



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