混乱
憂鬱なまま学校へつく。苛められるかもしれないので二人から少し遠退いていた。時々二人は遥を見て「こっちおいでよ」と声をかけてくれたが妙にその声は暗い。断った。
学校へ着いたものの自分が自殺しようとしていた事が広まっているかもしれない。校門に足を踏み入れるのは恐ろしかった。
こう思う自分が恥ずかしい。
「はあ・・・」
なんとか校門に足を踏み入れる事ができた。見渡せば静かな校庭。だが少し違う気がする。人、花、学校、校庭。ううん、いつもの静かな校庭ではなくなっている。
まさか自殺しようとした事が・・・・?
鼓等が早くなる。
「なんか騒がしいね」
圭も気づいたのだろうか。
「気のせいじゃない?」
柚希はそんなに気にしていない様子でいる。
「早く学校入ろうよ」
柚希が圭と遥の制服を掴んで歩こうとしたとき、向こうから誰かが走ってくる姿が見えた。
「あ、愁君」
「おう。梅宮か」
「あたしたち先行ってるね」
2人に手を振る。それから愁は校門に乗り越えて座る。
「危ないよ」
「大丈夫だ。俺落ちても骨折しないんだぜ」
えー・・・
運動神経がいいって自分でも言い張ってるくらいだ。だが下はコンクリート。骨折はしなくても完璧に怪我をするだろう。
そんなことは置いといて。
「ねえ、なんか騒がしくない?」
「梅宮しらねーのか?あの事件」
あの事件?
「あの事件って?」
「やっぱしらねーのか」
校門から飛び降りる。
「風宮・・・殺されたって」
「・・・えっ」
自分のことではなかった。しかしこれは人事ではない。霧島が復讐をしにやってきたのだ。
念のために聞いてみる。
「千裕ちゃんいた?」
「おっ良くしってんなー。千裕はいなかったけど千裕の携帯落っこちてたってさ」
帰るとき携帯を忘れたのだろうか。
「千裕って名前書いてあってそれで取り調べしてるらしい。携帯に名前書いてる奴珍しくね?」
復讐しにきた。願いを叶えるために・・・
誰が支配してるのか・・・
「どうした?んな険しい顔して」
「ううん大丈夫」
「そか」
「あたし教室行くからまたあとでね」
「おう。またな」
手を振る。遥は前よりも暗い。少々不安になっていた。
「なんか明るくさせたいよなー」
愁は遥が憂鬱な事など分からない。人間関係、そして復讐ごっこ・・・
二つの悩みを遥は背負っている。「大丈夫か」と声をかけるほど彼女は暗くなっていく。そんな気がした。何を考えてるのだろう。悩みならいくらでも聞いてやるのに。
「あとで聞いてみるか。何があったのかって」
彼はこのとき知らなかった。自分がこのあと巻き込まれることに・・・