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複雑な約束

警告

残酷な描写があります。

苦手な方は見ないでくださいね

「復讐ごっこか」

遥は考えていた。自分は今苛められている。みんなから無視されている。きょうもまた迷惑メールが来たし、ゴミを投げつけられたりした。でももうそんなこといいや。

とにかく”復讐ごっこ”の事で頭が回らなかった。

詳しく調べたいのでパソコンを開いてみる。

復讐ごっこで調べても何も出てこなかった。

「やっぱデマなのかな。でもあの紙って・・・」

デマならば誰かの悪戯か。だが悪戯であんなに狂乱するのだろうか。狂った霧島の眼。狂った悲鳴。それにあの棘。

悪戯ではない気がする。ううん、悪戯ではないんだ。悪戯でもあんなに狂った表現はできないし・・・。

「あーもう面倒くさい!」

いつの間にか投げやりになっていた。

いつも苛められる事で悩んで泣いてるのに、今日は珍しく違うことで悩んでいる。

突然パソコンの光が暗くなる。

「あれっ?」

画面を見ると赤い文字で復讐ごっこと書かれてあった。

「うっそー・・・」

復讐ごっこホームページ

こちらから入場できます。

15歳未満観覧禁止。

こちらから退場。

「入場してもばれないよねー・・・」

まだ14歳だかたった1歳違ってもいいだろう。

恐る恐る『入場する』をクリック。

すると黒い画面が現れた。

「なっ・・・なにこれ!」

黒い画面にはたくさんの動画が並んでいる。

驚くのはここではない。動画の内容だ。

只今生で仕返し中!

の文字が写る。

ある映像には縄で縛られた女性が数人の男女にリンチされているところが映っているなんと生中継でお送りされているのだ。

「いやぁぁぁ!誰か助けてぇぇぇ!」

「お前俺を殺したんだぞ!今度は俺がお前を殺すんだ!」

「あんたの願いなんて大したもんじゃないでしょ?あたしの夢馬鹿にしやがって!」

停止を押す。しかし止まらない。

「なんで?なんで止まらないの?早く止まってよっ」

画面の端には『生中断は最後まで見ましょうね』と書かれてある。

「いやっ」

遥は顔を伏せる。

「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

ズチズチズチズチズチっブチブチィィィィっっ

「ひゃぁぁぁぁっやめっやめてっ謝るからぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「謝ってもおっせぇぇんだよぉぉ!」

グシャァっグチャグチャっっ

「あぁぁぁぁあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁ!!」

女性の悲鳴はしだいに弱くなり、その場に倒れた音がする。

「よっしゃぁぁぁぁ!俺400ポイントゲットしたぜぇ!」

「あたし300ポイント奪われた分奪い返せたぁぁぁぁ」

遥は少し顔を上げてみる。

体の皮膚が引き裂かれ、原型を留めていないくらいにグチャグチャに顔が無くなっていた。数人の男女が狂ったように歓声を上げる。

「うっ・・・」

動画は止まった。何を見てるんだろう・・・どうしてこんなもの見ちゃったんだろう。

後悔しても遅い。見てしまったものはしょうがないのだ。

とても怖かったのは女性が生きていた事。口があった場所を少し動かしていた。舌がないので喋れていない。

遥は気づく。

「願い事っていってたけど・・・まさか復讐ごっこって願い事をかなえるために人を殺すものなんだ!?」

なんて恐ろしいものなんだ。

そして画面をよくみてみると『新規会員登録』と言うものがあった。

「!・・・千裕ちゃん。まさかここから・・・?」

”あたしも・・・会員なんだぁ”

霧島はここから会員になったのだ。

『現在の会員人数39人』

「39人も会員に・・・」

唖然とする。39人が願いを叶えるために狂って人を殺しているのだ。

「ん・・・もしかすると・・・」

もしかすると自分を苛めている人を殺す事ができるかもしれない。

一瞬そんなことが頭を過ぎる。

「だっだめだめっ殺人なんか・・・絶対駄目だよ私」

でも願いが叶う。『強くなりたい』と言う願いが。

「強くなりたいのは確かなのに・・・」

駄目だ。そんなの自分で叶えないと。

遥は新規登録をやめた。願いなんて自分で叶えるためにあるのだから自分で叶えないと意味がないんだよ。自分の欲望で他人を巻き込んではいけないよね。

少し興奮気味だったのだろうか。いつの間にか2時間が過ぎた。

興奮を和らげるため、深呼吸をする。

「ふぅ」

気が落ち着いたとき着信音が鳴った。

画面を見ると

長谷川柚希

あれ?メールアドレス教えてないのになんで?

取り合えずメールの内容をみる。

まさかと思った。自分の目を疑った。

『明日一緒に学校いこーねー。川んとこで待ってるからさ。約束破んないでよ?』

あの柚希が?いままで自分を傷つけてきた柚希がこんなメールを。

「・・・」

もしも自分のことを許してこんなことを書いてくれているのならば仲が良くなりたい。

これはなにか騙されてるのかもしれないけれど、なにかの罠かもしれないけれど約束破ったらなお苛めはヒートアップする確立がある。

仲良くなりたいけど罠かもしれない。もし罠だったら・・・

罠だったらの事を考えてみたがいかなくてもいっても苛められるだろう。柚希のことだから。

『うん。明日いくよ。』

送信。

いってもいかなくてもどうせ苛められる。だったら行ったほうがいいよね。

苛めは辛くない。もう慣れてるから。

「遥ーご飯よー」

「はーい」

階段を降りる。

何か忘れてる。でももういいや。

何か―動画だ。

動画には霧島の姿がある。

弥生の家の前に立っている。

「弥生いぃいいぃぃぃいいぃあたしだよぉぉおぉぉおおお?降りてきてくれないかなぁぁぁぁああああぁぁ?来ないならあたしがいこぉぉぉっとぉぉおおぉ」

ドアをあける。

それから数分後パソコンからは狂った悲鳴が聞こえた。

そしてパソコンの電源は切れてしまった・・・・


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