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復讐ごっこ

警告

残酷な描写があります。

苦手な方は観覧しないでください。

放課後、遥は帰るふりをして廊下の角に身を潜めていた。柚希たちがすぐそばの廊下で話している。どうやら”あの紙”の話をしているらしい。

「・・・で、その紙は何?」

柚希が霧嶋に聞く。

「まぁまぁ。教室でゆっくり話そうよ。すんごく面白いからさー」

2人が教室へ入ったのと同時に教室の前へ行く。ドアに耳を当て、息を殺し、話を聞く体制に入った。柚希と霧島の他に風宮と圭の声が聞こえる。

「千裕その紙何?」

「今から教えるからそんなに焦らないでー」

「早く早く教えてよ」

「あのね・・・この紙はね・・・」

霧島はゆっくりと語り始めた。

「この紙はね、ある遊びをするための紙なんだよ。復讐ごっこって言う遊びをする専用の紙。楽しそうじゃない?」

「はぁ?どこが楽しいの?」

「こっからだよ。よっく聞いてね」

遥は唾を飲む。

他の三人も真剣な表情だ。霧島だけがニヤニヤとしている。

「復讐ごっこって言うのは『会員』になれば『嫌なやつ』を簡単に殺せる”遊び”なんだよ」

「遊びぃ!?どこが遊びなんだよ!」

「これ簡単に言えばかくれんぼだからさ」

霧嶋は紙を3人の顔の近づける。

「会員になればどんな奴でも殺せるんだって」

紙にも”会員になれば誰でも殺せます”とかかれてある。

「で・・・でもこれヤバくない?ただの人殺しじゃん」

風宮は恐怖心を持っているようだ。後ずさりをしている。

「てゆーか・・・千裕会員になったの!?」

霧島が席を立つ。風宮に近づく。そして自分の腕を見せた。

「・・・!」

言葉にならない。霧島の右腕には巨大な棘が巻きついていた。

それに生きているのだ。たまに体をくねらせている。

「この棘・・・会員の証」

血が床に一滴つづ落ちる。

「いっ・・・やだぁぁぁ!!」

棘が少しづつ伸びて風宮に近づいている。

「あたしを会員にしてくれた人も棘が巻きついてたんだぁ。その人は腕じゃなかったけど。なんかねー嫌なやつを殺すためにはこうしないといけないみたいでさ」

棘は風宮の足に巻きついた。

「やぁぁぁっ!!やめて!あたし人殺しなんかしたくないよ!!」

「じゃあなんで梅宮のこと殺したいって言ったんだよ!!」

グサグサグサっっ

「きゃぁぁぁぁ!」

「やめなよ千裕ぉぉぉ!」

何!?何があったの?遙かは見ることが出来ないため何があったのかと思い、ドアを少し開けて中を覗いた。

「ひっ・・・・」

声が漏れた。しかし教室はパニック状態に陥っていたため、その声には気づかなかった。

やだ・・・なにあれ!

風宮の足は棘のトゲが刺さっている。棘のツタが巻きついて動く事が出来ない。床は血の海になっている。

「弥生!仲間割れするつもり?弥生が1人だったから仲間に入れたってのにここであたしたちの中から逃げるわけ!?なにそれ!」

「やめて千裕!」

圭は霧島の制服を掴む。

「圭は弥生を庇ってんの?」

「・・・でも仲間でしょ?やめてよ」

「もう仲間なんかじゃない。逃げようとしたんだから!」

ぐっと腕に力を入れ、風宮の足に力をかける。棘は体に少しづつ伸びている。

「やだやだやだぁぁぁぁぁぁぁ!」

柚希は黙ってみていた。驚いた表情を見せていたが先ほどの表情とは違うとても冷静な表情だった。そして冷たい言葉を放った。

「もっとやりなよ」

「えっ・・・」

圭は柚希を疑ったような目つきでみる。

その言葉が聞こえたのか聞こえてないのか棘が伸び続け、風宮を甚振る。

棘は体全体を包んでいた。そして

「最後だよ。こんな奴・・・こうなっちゃえ!」

棘が風宮を直撃しようとしたそのとき

「いやああああああああああああああああああああああ」

突然霧島が狂い、頭を抑えている。

額にはカッターが刺さっていた。

「きゃああああああああああああ」

圭は柚希のもとへ走りこむ。

目の前には風宮が立っていた。

風宮は霧島の額めがけてカッターを力の限りはなったのだ。

「や・・・弥生ィぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

霧島の眼は恨みと憎しみが混ざった眼だった。

風宮はそばにあったハサミを投げつける。

「ぅあああああああああああああああああああああああ!」

ハサミは顔面に刺さる。

棘は暴れて体をあちこちにぶつけている。「キーキー」と唸っている声が聞こえる。

霧島は力をなくし、その場に倒れた。棘は萎れかけている。

霧島の狂った姿はどこにもなくなっていた。ただその場に倒れている。

ハサミとカッターが刺さったまま倒れていた。

「千裕っ!!」

圭が問いかけるが、何も反応しない。

「千裕ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

弥生は倒れた霧島を見て何も話そうとしない。

今まで見ていた柚希が冷たい表情で話す。

「ひ・と・ご・ろ・し」

その言葉に反応したのか風宮がビクつく。

「い・・・いや・・・いやぁぁぁっ」

風宮は走ってドアを開け、どこかへ行ってしまった。

遥は見つかると思ったが相当パニックになっていたのだろう。まったく気づいていなかったようだ。

階段から足音が聞こえる。先生だ。数人の先生が走ってきた。

「梅宮か。いったい何があったんだ?大きな物音が聞こえたし、悲鳴も聞こえたのだが・・・」

遥がゆっくりと教室を指差す。

「・・・・!!なんだこれは!」

「私にも分からないんです。霧島さんがいきなり暴れて・・・」

「とりあえず救急車を!梅宮は警察を呼んでくれ」

「あ・・・はい」

遥は電話のある職員室へ向かう。

「長谷川と柳谷。どうしたんだ。しってるんだろ?」

圭は黙っている。

黙り込んだ圭を見て柚希が話した。

「弥生がやったんです。カッターやナイフを投げつけて」

「何!?長谷川、それは本当か?」

「はい。あたしたちは見たんです。ね、圭」

「そうです・・・」

「そうか・・・弥生は?」

「帰ったと思いますよ」

「よし。家に連絡する。2人は警察に詳しく話してくれないか?」

「分かりました」

風宮が霧島を殺したのは確かである。が、霧島にも問題はある。その問題は警察は理解してくれるだろうか?棘が霧島に巻きついていた事。その棘が風宮を狙った事。

そんなの理解する、しないどころか悪戯だと思うのが当たり前だろう。

「はぁ・・・言ったほういいのかな。でも言っても駄目だよね」

ふと柚希を見る。柚希の手にはは復讐ごっこの紙が握られていた。

「会員になれば誰でも殺せるって。殺せばポイントもらえるってさ」

「何のポイント?」

「願い事が叶うポイント」

そんなことで人を殺すなんて・・・自分で夢を叶えればいいのに。人はこんなものに囚われてしまうんだ。

「でさ、残酷な殺し方をすればするほどポイントは大きいんだってー」

「へ・・・へぇ」

残酷な殺し方をすればするほど夢に近づく。

「でも・・・」

でも

「逆に殺されるとポイント奪われるらしいよ」

逆に殺されると夢は遠退く。

「あたしも会員になろっかな〜」

えっ!会員になるの?

「どうやって会員に・・・」

「それがわかんないんだよねー」

「・・・!そういやーさぁー千裕いってたよね」

「・・・・あぁ・・・」

「会員になっている人に会員にさせてもらったって。でも死んじゃったしなー」

柚希は紙を見る。何か見つけたようだ。

「・・・・・あ・・・電話番号書いてある」

「あ、ホントだ」

「じゃ千裕が言った事ってなんだろうねぇ?」

「さ・・・・さぁ?」

確かに”会員になっている人に会員にさせてもらう”と言うのはなんだろうか。紙にはその事が書いてあった。

”会員になっている人は会員にさせたい人を仲間に入れてグループが作れます”

「へぇ〜そーなんだぁ〜」

「弥生ちゃんを仲間に入れたかったのかな」

「多分ね」

2人が話している間に警察が来た。

柚希は急いで紙を鞄のポケットに入れる。

「おお君たちか。さっそく状況の説明をしてくれないか?

「はい」












ここは病室である。どこかで携帯の着信音が鳴っている。

霧島はつい先ほど死んだ事が確認された。両親が帰ってくるのを待っている。

携帯は霧島の鞄に入っていた。着信音が鳴り響く。

携帯は独りでに開く。そこには赤い文字で

   アナタハダレカニコロサレマシタ。

   200アッタポイントヲ

   ウバワレマシタ。

   アナタノゲームハコレデオワリデス。

   シカシ、シカエシガデキルコトハシッテイマスネ?

   コロシタヒトにアナタハシカエシガデキマス。

   シカエシガデキタラ、マエノポイントノ

   10倍、フヤセマス。

   ネガイゴトガカナウマデ

   アト8百ポイント。

   

      

       管理人



霧島の手が動く。携帯の画面を見て

「そ・・・うか・・・仕返し・・・出来るんだっけね」

心拍数が上がる。顔の傷が無くなっていく。

今に待ってなよ。復讐してやるんだから。



どうも。皐です。

みなさんは願い事が叶うなら

なにしたってもいいと思いますか?

そこはみんな自由なのです。

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