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再開とフクシュウの拡大

虫が嫌いな人は絶対に見ないこと!

校舎のドアを開ける。校内はいつもより騒がしい。そう、一週間後は文化祭があるのだ。靴を上履きに履き替えると見覚えのある男が立っていた。思い出そうとするが、なかなか思い出せずにいる。男が先に口を開いた。

「ハル。久しぶり。覚えてる?僕『真澄』だよ」

「あっ。真澄!思い出したー」

「え、忘れてたの?」

「でもなんでここにいるの?転校したんじゃなかったっけ」

「今度文化祭があるよね。文化祭がある日僕休みだから行こうかなーと思ってさ」

「そっか。それを伝えに来たんだね」どうして今伝えに来たの?と聞く前に真澄は校舎に走っていって出て行ってしまった。今伝えなくても良かったのに。

「毎日勉強で忙しいからかな」

相変わらず校舎は騒がしい。いつもより賑やかで派手だ。しかし・・・

「ちょっ!遥そこどけろよ!!」

えっ

階段から数人の教師たちが何かを抱えて足早に降りてくる。ぶつかりそうだったのですぐに端によけた。文化祭が近いから騒がしいのではない。他に騒がしい理由があるに違いない。そう考えたとき、ふと『何か』が眼に入った。その何かの手には黒い紙が握られている。白で何かも字が書かれていたが、そこは分からなかった。

「・・・あれ、復讐ごっこの紙かもしれない」

まさか復讐ごっこの会員になったのか?「復讐ごっこ・・・ってしってる?」背後から声が聞こえる。圭が興味心身に聞いてくる。「うん。しってるよ」

「あれ先生まで手出したんだね。それほど復讐したい奴がいたのかな。情報によると生徒を殺したかったらしいよ」

生徒を!?教師なのにっ!

「井上大地に自分の子供苛められたから、それで復讐しようとしたみたい」

「そんな・・・」

「井上も会員みたいだからあいつには逆らわないほうが身のためだよ。あいつに柚希が絡んでるから」

「柚希も!?」

「遥、あんたあとすこしで二人に殺されるかもよ!」

「・・っ・・・そんな」

「大丈夫。あんたにはあたしがついてる」

「圭・・・」

複雑だ。ありがとうなんて素直にいえない。人間ってこんなにコロコロといろんなことに関して変わってしまうものなんだろうか。前までは自分の事を無視してたのに、今は味方についてる・・・なにそれ。変なの。

「私が・・・変わってるのかな」















屋上には、冷たい風が吹く。ここで空に一番近い場所。

「なぁ・・・元春。こっちこいよ」

「・・・?何だ?こんなところに呼び出して」

「こいつらと遊んでやってくれねぇか?こいつら、最近無性に動きが鈍くなってるからさ・・・」

井上は隠し持っていた虫かごを取る。そのなかには大量のムカデと蛾が・・・!

「うっ・・・うああっ!」

「なぁ・・・カメレオンとか、鳥って酷くねぇか?ちっちゃい虫を食って、でっかい奴はくわねぇんだぜ。弱くねぇ?」

蛾を手に取り、晴英の顔に近づける。

「お前、そういうちっさい虫を踏んづけて殺してんだろ。わかんだよそんぐらい」

「ひぃっ・・・!」

「次はお前が殺される番だぜ」

「やっ・・・やめろっ・・・てゆーかそれは不可能だぜ。虫は人間を喰わないからな。ははっははははははっ。残念だな!」

「・・・・・・・・・・じゃぁ・・・・これは?」

虫かごをさかさまにして晴英の体に落とす「ひぃぃぃいぃいいいいっ!!!!」

虫かごの中にへばりついてる生き物がいる。それは猛毒の毛虫。井上はピンセットで毛虫を取ると、晴英の顔に近づける。

「うっ・・・ああああぁぁあぁ」

「じっくり遊んでやれよ。晴英」

無理矢理口に突っ込んだ。グシャッと黄色と緑色の体液が噴出す。声にならない奇声をあげ、やみくもに抵抗する。口の中で潰れた毛虫はまだのた打ち回っている。苦しいのか、痛いのか、それでも俺を殺そうとしてるのか。言葉に出来ないほど気持ち悪く、もうこのまま死んだほうが一番だ!

井上は口を抉じ開け、蛾を突っ込む。

「ああああああああああああああああああああああっ!」

嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁぁぁ!パタパタと口の中で動き回る蛾。口に入ったとき、羽が破けてしまったようで口の片隅に羽の破けた部分が残っている。唾液がじわじわとでる。このまま溶けてなくなれ!溢れた唾液が口からツーっと流れ出る。黄色と緑色が混じったなんともいえない気持ち悪い色。生暖かく、気持ち悪い唾液は服に染み込む。

「そんじゃ、これで終わり」

コップに水が入っている。コップのふちを口に近づける。まさか・・・・これで流し込めと?予想は当たっていた。

口を抉じ開け、水を流す。無意識に水と共に虫が流れる。しかし胴体の長く、太い蛾だけが流れない。今にも窒息してしまいそうだ!もういい!流れろ!流れろ!

「ぎゃあぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!」

声を出した瞬間、口の中で何かが弾けた。蛾が喉の奥で潰れたのだ。

そのまま息の根がとまった。

「はい。これで最後」

屋上のフェンスから勢いよく放り投げた。





「っ・・・ははははっあははははははははははははっ」

笑いがとまらない。じわじわと苦しませ、じわじわと殺していく。苦しみ、助けを求めのた打ちまわる光景を見ると、気分が爽快する。でも・・・・・でもなぜだろう。こんなに人を殺してしまうのは。本当は願いなんて叶わなかった。いくら人を殺しても・・・復讐しても・・・携帯の画面には『フクシュウオツカレサマデシタ』と綴られていた。その文字を見ると笑えて来る。でも、でも・・・虚しい気持ちが湧き上がってくる。・・・でももう良いんだ。嫌なやつが消えればそれで・・・・それでいいんだ・・・

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