狂い始める歯車
私は父に反撃した。
殺した。
殺した。
どうしよう。
どうしよう・・・
「遥・・・?なんでこんなとこに寝てるの?」
ふわりと風が吹く。風が優しく髪を撫でた。
「圭。うっ・・・・うあああぁぁぁぁ」
「どうしたの??」
昨日、家を出て公園まで走ってきたのだ。そして疲れて滑り台にいつの間にか眠っていた。もう次の日が来たのか。見つからなければ良かったのにな。
「ううん。なんでもない。学校いこう」
「学校の用意は?」
「あ・・・あぁ」
「何があったか知らないけど、一回家に戻って早くとってきなよ」
「分かったよ」
家には戻りたくは無い。あれがあるから。でも戻らないと学校へはいけない。戸惑っているうちに足が勝手に動いて家まで走ってる。「家にもどれ!」ってことなのか。頭よりも足が先に行動するのはそれほど家に戻らないといけないのかもしれない。
ドアを開ける。生々しい臭いが鼻を衝く。
「あら・・・」
「・・・あ」
「どこへ行ってたの?」
「・・・公園」
「そう・・・学校へは連絡しておいたわよ。遅れていきますって」
「・・・ありがと」
母を押しのけて部屋へ急いだ。ここで何か異変を感じる。何も変わらないけれど、違うものがある。そうだ、昨日あったはずの父の遺体が無いのだ。
お母さんどっかに埋めたのかな・・・
そう思いつつ部屋を開ける。ベットに弁当箱が置いてある。そういえば今日は弁当のある日だったな。
弁当箱とバッグを手に取り、かけてある制服を取る。時計を確認すると8時30分だ。走ってもつかないだろう・・・
「いってきます」
外に駆け出す。全力で走る。走る。
「あぁ・・・間に合わないよーっこの際歩いていこう・・・・」
今振り返ればこのとき、歩いていってよかったと思う。地獄を見ないで済んだのだから・・・
遥が登校している間、図書室である生徒が呼ばれていた。
今泉と言う教師は厳格で、生徒を法律や決まりで縛り付ける。誰からも嫌われている教師だ。
「井上!お前っまたこんなこと・・・!」
「は?俺がやった証拠なんてどこにあんだよテメー」
「教師になんだその態度は!!何様だ!」
「俺様だよ。ば〜か」
「おっ・・・おまえなあっ!」
今泉が井上に平手打ちしようとした
バシッ
叩かれてから数秒。井上の表情は冷たくなる。
「っ・・・!」
今泉の背後に何かが忍び寄る。今泉は気づいていない様子だ。
「先生・・・後ろ・・・」
「・・・なっ」
ドガッ!
「ぐはぁぁっ!」
│項を鉄のようなもので強く打ち付けられる。
「先生鈍過ぎーっ!あはははっ!」
柚希が今泉を何度も何度も鉄パイプで打ち付ける。皮膚が紫色に内出血を起こしても。皮膚が今にも裂けそうになっても。その部分が潰れても。
井上の顔には不気味に笑みが光る。みてるのがとてつもなく楽しそうだ。
ドガッ
ドガッ
「ぎゃぁぁぁぁああああぁっ!やめろぉぉっ!やめてくれぇぇええぇえ!」
ドガッ
「先生自分の生徒に罰与えてさー。あたしらやめてっていってんのに何?自分だけたすかろーとしちゃってるわけ?なにそれー」
ドガッ
「悪かった・・・俺が悪かった!許してくれェェェェッッ!」
ドガッ
「誰が許すかぁぁぁぁぁ!お前なんて!お前なんて!こうなれこうなれ!こうなれぇぇぇぇぇっ!お前なんて消えろ!失せろ!死ね!この世から消えろ!」
「やめろぉぉぉぉっ!お願いだから・・・許してくれッ!」
「しぃいぃぃぃいぃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」
高く鉄パイプを振り上げる。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ」
ガラッ!
「なに・・・してんの・・・・」
「あ・・・え・・・?あ・・・うんと・・・」
「・・・!先生!大丈夫ですか!しっかりして・・・!」
今泉は鉄パイプを振り下げられる前に気を失っていた。柚希が鉄パイプを落とす。井上は図書室に入ってきた真澄を睨む。
「ちっ・・・お前かよ」
「井上君。それに柚希さん。これはどう言う事?」
「おめぇに関係ねえよ!もう少しで殺せたのに、お前が邪魔してきたから!!!」
「・・・てゆーか真澄はなんでここにいるの?あんたこの学校にいないんじゃなかった?別の学校に転校したのに・・・」
「それは気にしないで。ねぇ、復讐ごっこの会員になったの?2人とも」
「なったけど?悪い事ある?」
「ううん。なんも悪くない。でも」
「でも・・・?でもなんだよ」
「僕、復讐ごっこの管理人だよ」
「・・・・はぁぁ?」
「君たちにあることを伝えに来たんだ」
「何?あることって」
「一週間後、この学校で会員になってない人も参加できる『復讐ごっこ』をしたいと思う」
「え」
「井上君と柚希さんに頼みがあるんだ。一週間後までこの学校を混乱させて欲しい。君たちなら出来るよね?だって数年前から会員なんだもん。それに殺し方も上手。そして混乱させておいたその上にさらに混乱させるんだ。やりかたは任せる。それで・・・もう1つ」
「何・・・」
「│北條愁を殺してほしい」
「了解・・・・」