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異世界に行ったら女神の眷属になってました  作者: クロネコ
 第一章 始まりの風が吹く森
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2話 異世界へ…そして初戦闘

早速戦闘です。戦闘描写はやっぱり難しいですね…(^_^;)

修正情報:フォーミングエッジの漢字表記を変形剣から変形刃へと変更。併せて剣形態を刃形態へと変更。

 うぅん……?ここは…どこだ?意識を取り戻した俺が最初に思ったのはそれだった。目の前には草木が生い茂っており、ここは何処かの森の中だという事が理解できる。確かにさっきまで教室で姫宮と会話していたはずなのに…。


「って、そうだ。姫宮、居るか!?」


 俺は姫宮の事を思い出して辺りを見回しながら声を荒げる。しかし、辺りにあるのは鬱蒼とした木々だけで人の気配は無い。どうなっているんだ?俺はどうしてこんな森の中に……。


 その時俺はこの事態の原因と思われるものに気づいた。あの光る幾何学模様の円陣だ。あれが現れて強く光ったと思ったら意識を失ってここにいた。つまり、あの意味不明な幾何学模様の円陣が原因で今現在俺はこんな場所にいる羽目になっているということになる。


「待てよ。これって何か小説とかでよくある異世界召喚ものの雰囲気に似てないか…?」


 俺は思わずそう呟いてしまう。俺がよく読むネット小説とかではよくこんな感じで主人公やその仲間が現代の世界から異世界に飛ばされる形で物語が始まったりする。


 そんな架空の出来事が実際に自分の身に起きたという事……なのか?


「いやいや。そんなまさかな。そんな馬鹿なことが……」


 しかし、今のこの状態をどう説明する?例の幾何学模様に教室から森への移動。仮に学校から運ばれてきたとしても都心にあるウチの学校からこんな植物が生い茂っている森までどれくらいかかると思っている?少なくとも移動中に気が付くはずだ。それにこんな所に放り出される理由もわからない。


 そんな風に現状について考察していると、少し離れた所に生えている草むらがガサガサと揺れだした。


「何だ?……もしかして姫宮、お前なのか?」


 俺は警戒しつつも揺れる草むらに声をかけてみる。もし姫宮なら返事が帰ってくるはず…。正直、こんな所に一人で放り出されてはいささか心細い。ちょっとした恐怖すら感じる。頼むから返事を返してくれ……ッ!


「グルルルル……ッ!!」


 そんな俺の願いも虚しく、帰ってきたのは姫宮の声ではなく獣の唸り声だった。ガサッと音を立てながら草むらから出てきたのは灰色の毛並みをした一頭のオオカミだった。


「オオカミ…!?クソッ、マジかよ!!」


 俺はここが日本ではないと言う事を確信し、悪態をつきながらもオオカミから距離を取ろうと後ずさる。正に絶体絶命のピンチだ。


「ガルゥ!!」


「何ッ!?」


 目の前のオオカミから距離を取るために後ろに下がっていたら真後ろから別の獣の声が聞こえた。驚いた俺は急いで後ろを振り向く。振り向いた先に見えたのは目の前にいたのとは別のオオカミ。既に口を大きく開いて飛びかかって来ていて回避することは不可能だった。


 そこで俺は思わず己の視界を覆うように左腕をオオカミに向かって噛み付いてくださいと言わんばかりに突き出していた。そしてオオカミはその都合良く突き出された腕に己の牙を突き立てた。


「ぐあああぁぁぁっ!!」


 オオカミの牙が突き刺さると同時に俺の腕から鮮血がオオカミの口元に飛び散った。直後にやって来た鋭い痛みに大声で叫んでしまう。オオカミはそのまま俺の腕の肉を引き千切ろうと体を屈めて俺とは反対方向に引っ張ろうとする。


「させるかよ……っ!」


 なのであえて俺はオオカミの方に向かって腕を突き出しつつ、そのへんに転がっていた手の平に収まるか収まらないか程度の丁度良い大きさをした石を右手に握るとオオカミの脳天に向かって全力で振り下ろそうとした。


「ガウゥゥ!!」


 その時になって最初に現れた方のオオカミが唸りながら飛び掛かって来た。


「邪魔すんなよくそったれが!」


「キャイィィン!」


 既に石を振り下ろすモーションに入っていた俺は石を噛み付いているオオカミの頭に思い切り叩きつけ、噛みつきによる腕の拘束が解かれたのを確認するとそのまま自分から見て右方向に飛び込んだ。


 うっ……!!飛び込んだ際の衝撃で左腕が激しく痛む。だが、腕の痛みを気にしている場合ではない。敵はまだ健在だ。石を叩きつけたオオカミだが、振り下ろした際に狙いが少しズレてオオカミの右目に当たってしまった。おかげで片目を潰すことが出来たが、その命を刈り取る事は叶わなかった。


「「ガルルル……ッ!」」


 潰れた片目から血を垂れ流すオオカミと無傷なオオカミ。二匹の獣を前に片腕を負傷した俺……勝ち目はほとんど無いだろう。


 クソッ……ここで終わりなのか!?こんなよくわからん場所に放り出されてピンチに陥るのは異世界ものの王道だが、だからって俺自身はそんな展開は望んでないんだよ…ッ!


 心の中でそう吐き捨てながら二匹の餓えた獣から少しでも遠ざかろうと地面に座ったまま再び後ずさった。


「……痛っ!?」


 すると、地面につけようとしていた右手の平に鋭い痛みが走る。見ると手の平には薄く赤い線が入っていてそこからツー…っと血が流れていた。草か何かで切ってしまったのかとチラリと後ろを見る。するとそこには恐らくこのような場所には本来存在しない《モノ》が横たわっていた。


「これは……!」


 そして俺にはその《モノ》に見覚えがあった。それは実際には存在しないもので、唯一俺の頭の中にしか存在しないものだった。


「まさか…《変形刃フォーミングエッジ》!?」


《変形刃》……全体的にエボニーカラーに着色されたそれは俺が小説の中で登場させようと思っていた武器だ。長さは1m弱で刃は先端から30cm程しかない。故に剣ではなく《刃先エッジ》と読むのだ。


「何でコイツがあるのかは知らないが……使わせてもらうしかない!」


 俺はそう言うと、変形刃を掴み取って立ち上がる。俺が得物を持ったのを見てオオカミ達が警戒を強めて若干距離を取ろうとする。だが、この変形刃相手にそれは悪手だ。


 少し説明しよう。この変形刃という武器の最大の特徴は『剣と銃』の二つの形態に変形するところにある。まずは現在の姿、《刃形態エッジフォーム》。これは剣の状態で相手を斬りつけて攻撃するモードだ。そのまま斬るのもいいのだがこの剣は魔力を使って刃を高速振動させることが出来、振動剣としても使えるのだ。


 そしてもう一つの姿、《銃形態ガンフォーム》。これは刃形態から剣のエッジ部分を折り畳んで変形する。剣の柄をおよそ70°程折りたたむことでグリップに変化させることが出来、銃の引き金(トリガー)は最初から柄と一体化している。この銃形態の弾倉は内蔵式で抜き出して交換といった真似はできない。代わりに己の魔力を通常の銃弾、もしくは実体の無い魔法の弾《魔弾》にオートで変換して撃つと言う設定になっている。もちろん予め弾倉に弾を込めておくこともできる。


因みに銃形態のモデルはゲームや映画などでもよく登場するデザートイーグルだ。


「喰らいやがれ!」


 俺は変形刃を銃形態に変形させ、照準を片目の潰れたオオカミの頭部に合わせると引き金を引いた。直後、自分の体内から微かに何がか抜けるような感覚と共にバンッ!と言う火薬の爆発する音が響いて剣の一部がスライドし、薬莢が排出された。どうやらうまく動いたようだ。


 一方、オオカミはと言うと音速で放たれた鉄の銃弾を頭部に喰らってしまい脳髄を撒き散らしながら吹き飛び絶命していた。辺りに飛び散っている赤黒い肉片がグロテスクで若干吐き気を催してしまった。だがそんな場合じゃないと己を叱咤して踏みとどまった。


 もう片方のオオカミは一瞬の間に相方が意味不明な攻撃によって殺されてしまった事に驚き戸惑い、相方の死体から少し距離を取ると多少躊躇う様子を見せながらも俺に向かって突っ込んで来た。


 俺は変形刃を銃形態から刃形態へとモードチェンジさせ、オオカミを迎え撃つ。真っ直ぐに俺に突っ込んでくるオオカミから片時も目を離さずに集中する。ここでミスすれば大怪我は免れない。唯でさえ左腕からはもう感触を感じない状態になってしまっているのだ。これ以上の怪我はしたくないし、最悪命にも関わる。左腕からはもう結構な量の血を流してしまっているのだ。勝てても失血死という結果は避けたい。


「ガオゥ!!」


「失せろ!!」


 一定まで接近した後に飛び掛かって来たオオカミ。俺は少し身を屈めつつ、身体を前方向に軽く倒して自分の身を飛び掛かって来るオオカミよりも低い位置に動かした。そしてそのまま剣を横薙ぎに思い切り振った。


 グキャッ…と肉や骨が切断される音が聞こえると共に頭上から全身に赤黒い液体が降り注ぐ。そのすぐあとに、近くでドサドサッと二つの物が地面に落ちる音が聞こえた。


 うわぁ……と血塗れになってしまった自分の姿とその感触に嫌悪感を抱きつつ、後ろを見て確認するとそこには地面に転がる首から先のないオオカミの体と、オオカミの頭部が転がっていた。


「終わった……か」


 一先ず、敵の脅威が去ったと思って俺は安心する。しかし、そんな俺に油断大敵だと言い聞かせるように草むらの奥からまた更にもう一匹のオオカミが現れた。


「ッ!?」


 まだいたのか、と顔を驚愕に染める俺に向かって血走った目を向けながら飛び掛かってくるオオカミ。しかし、その牙が俺に届く事はなかった。


ザシュッ!


 そんな音が響いたと思ったら、オオカミの体が横に吹っ飛んだ。見ればオオカミの首元には片手用の斧が刺さっていて、オオカミはその生命活動を永遠に停止していた。


「坊主、無事か?」


 突然の出来事に驚いていた俺に声をかけてくる者がいた。その声の主を探すと、オオカミが吹っ飛んだ方向とは反対の方向にその人物は居た。薄い生地の服に革製と思われるオーバーオールの様な物を着た髭面のオッサンが立っていた。

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