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シーズン2第4話「すれ違う想い」

えー……みなさまは、『~したつもり』という事はおありでしょうか。


はい。申し訳ありません!

すっかり更新したつもりで放置しておりました!

本当にもうしわけございません!!


その間に二倍期間があって、「お。これは参考にするために全職作ってみようかな」などと思ったが思いの尽き……2アカフルに使って、ナイト・クルセイダー・アサシン・ダンサー・忍者・ガンスリンガー・アルケミスト・ローグ・セージ・ソウルリンカー・スーパーノービスをそれぞれ一次職Job50で転職させたりしておりました……(忍者・ガンスリ・スパノビを除く)ちなみに基本AGIで忍者はint3色、ソウルは支援系でステータスは初期値以来未振りという三昧でございます。ほぼ全職レベル68ですが。


しかし、おかげでかなーり参考になりました。



「それは豚人族は豚人族でも普通のやつじゃない!!そいつは『オーク』だ!!本隊が来るぞ!!!」





ナビツの焦った声と緊迫した雰囲気とは対照的に、フィーメルが眉を顰めてコテンと首を傾ける。


「……隊長?豚人(とんと)族の『オーク』……です、よね?」


サラリとした銀髪が流れ、キョトンとした表情を浮かべた普段のお姉さん然とした雰囲気とはかけ離れた仕草に、ケイサムの胸が高鳴る。即座にアキリナの肘撃ちが腹に入り沈黙したが。


「ああ……そうだ……なんてこった、ここを通る可能性があったんだった……ッ!」


フィーメルのやや間の抜けた問いに対する緊迫した答え。ナビツは顎の下の汗を拭う仕草までしていた。少し顔色も悪い。


だが、アルフィースとアリエを除く他の者達の表情は戸惑い一色だ。


アキリナはナイーレをチラリと見るが、どうやらナイーレはこの状況でも子豚を手放す気は無いらしい。


「あれ……?『オーク』って確か……?」


ケイサムが過去の記憶を思い出そうとしているような顔で手を顎にやりながら、同じく思案顔をしていた妹のアキリナに振り返る。自分の考えが正しいのかを確認する、いつものクセだ。


アルフィースとアリエの不安そうな表情も受けて、ナビツの反応に戸惑いながらアキリナが人差し指をスッと掲げて口を開く。


「『オーク』は正確に言えば『おお、おく』と言ってね。豚人族の王様を中心とする一団の事で────」


「おや。そこにいらっしゃるのは、ナビツはんではありまへんか」


森の中から聞こえたエセ京都弁の甲高い女声に、ナビツがビクリと体を震わせた。


解説を中断させられたアキリナがパクパクと口を開いて、人差し指がふにゃんと萎れる。


声がした方を皆が注目していると、乾いた何かを叩くような音が数回聞こえ、ナビツの目の前まで赤い絨毯がさーっと伸びた。


更にはその絨毯の両脇にわらわらと子豚が走って並び、等間隔で控える。


ナイーレの腕の中の子豚も慌てて並ぼうとしたが、わらわらと走る子豚に目を奪われているナイーレからは逃れられなかった。


乾いた何かを叩く音以外にも、何やら音が聞こえる。どうやら楽団か何かがいるらしい。


「マズイ、マズイ、マズイ、マズイ……!」


増々皆の顔に疑問符が浮かぶ中で、1人だけ顔面が蒼白となるナビツ。


そして────その一団は現れた。


挿絵(By みてみん)


ピンクの顔をした、おそらくは軽く300キロを超えるであろう巨体。右にも同じ巨体。左にも同じ巨体。巨体。巨体。巨体。ずらーっと並ぶ、巨体。


その全てが派手な衣装に身を包み、頭には色とりどりのアフロヘアーが乗っている、メスの豚人族だった。いや、よくみれば派手な衣装のメスの豚人族の周囲には目立たないように控える、やや地味な衣装の者達も存在する。どちらにせよ、巨体ではあるが。


中でも中央のメスの豚人族は他の豚人族よりも遥かに豪勢な衣装であり体も一回り大きく、その豚人族を中心として他のメスの豚人族達が控えているという格好だ。


「ええ、まぁ、ホントに懐かしい顔やなぁ……ところで、ナビツはん。もういいかげん結婚しなはったどす?」


一番豪勢なメスの豚人族がにっこりと笑い、ナビツの顔が引きつる。


「おー。ナビツくんかー。久しぶりだなぁ」


そんな時、巨体の中からひょっこりとまるで猪をそのまま直立させたような、オスの豚人族が笑顔でひょっこりと姿を現す。


周りのメスの豚人族よりも二周り以上も大きな、まるで巨大な岩のような姿とあっけらかんとした口調のギャップに戸惑う。


「……お久しぶりです……大旦那……」


答えるナビツの表情は、煤けていた。


挿絵(By みてみん)


『オーク』とは、正確には『大奥』と書く。


これは江戸時代の日本と似たシステムで、王族のオスの豚人族を中心に形成されたハーレムであり、王を"大旦那" 后を"大女将"と呼ぶ。


しかし、江戸時代のモテモテウハウハと想像出来るようなハーレムとは訳が違い、こちらの『大奥』でのオスの権力ははっきり言って低い。


豚人族はそこそこ知能も高く、元々が綺麗好きで争いなどの汚れ仕事は好まない種族だ。更には掃除・洗濯などは種族全体でプロ級の腕を持ってその事に対してプライドすら持っており、強さ自体も並みの魔物では太刀打ちできない強靭さを持つ。


その為、魔物に分類されてこそいるが人間に雇われたりもして、金持ちや貴族の中ではこの豚人族を多く雇うのがステータスとなっている地方もある程だった。


そんな中オスの仕事は簡単に言えばマネージメントが主であり、大奥の中心の大旦那ともなれば他のオスを纏めたり、大奥で起こる様々な問題を解決したりと大忙しなのである。


「まーそんなわけで丁度王都に仕事で呼ばれてなぁ。そちらに向かう途中だったんじゃよ」


どっかりと鍋の側に腰掛けてパイプでタバコを吸う大旦那の後ろでは、大奥の使用人(使用豚人族?)達が夕餉<ゆうげ>の仕度に走り回る。


あれからすっかりと打ち解けた一行は、この場所で野営する為の準備に入っていた。


「へー。大旦那さんは昔、隊長のお兄さんと一緒に旅をしてたんですか」


同じく鍋を囲みながら座るフィーメルが興味深げに頷くと、手にしたコップから湯気がふわりとお茶のいい匂いを振りまく。


「おー。そもそもがじいさんの代からの知り合いでな。親戚同然の付き合いでさ。若い頃は、わしと兄貴と兄貴の奥さんともう一人の四人で旅をしたりもしてな。随分遠くまで行ったもんじゃった……」


しみじみと語る大旦那の横顔は少し哀愁が漂い、昔を思い出しているらしいその表情を、少し羨ましげにアルフィースが眺める。


挿絵(By みてみん)


思い出す父の姿は、いつも旅立つ寸前の後姿だけだった。


もし生きていれば一緒に旅をする事もあったのだろうかと考え、チラリと横を見れば、木に寄りかかっていたアリエもまた俯いている。あまり一緒にいる事が出来なかったけれど、やはり思う所があるのかと僅かに胸が痛む。


「……すぅ……すぅ……」


寝ていた。


何だかんだで産まれて初めての長旅で疲れていたんだろうと、アルフィースはアリエに厚手の毛布を掛ける。その様子を眺めていた大旦那が、ふと気付いたようにパイプの灰をカツンと焚き火の中に落とす。


「ふむ……アルフィース、だったな。ちょっとこっちに来てくれんか」


「……はい」


コイコイと手招きをして呼ぶ大旦那に近寄ったアルフィースだが、近くで見る豚人族のあまりの大きさにちょっと顔が引きつる。


冗談でも取って食うぞと言われたら泣きそうな迫力があった。


「────ほぉ……これは……」


アルフィースの目を覗き込み、何やら一人納得したように頷く大旦那。


「な、なんでしょうか?」


「一つ質問させてくれ……最近、死に掛けたな?」


急に発せられたその言葉に、鍋を囲んでいたアキリナの表情が固まる。同じく動揺している筈のフィーメルは欠片にも表情に出していないが。


ちなみにナイーレは他の子豚人族の群れに突撃をしていた。「ぴーぴー」と逃げ回る子豚人族を追い回す姿は、現代ならば不審者として通報されてもおかしくは無い。


「ああ、そんな構えんでもいい」


ギクリとしたアルフィースを気遣う様に笑う。


「ここまで兄貴と同じとはな。運命を感じるぞ」


「────どういうことでしょうか」


目を細め、嬉しそうに笑う大旦那の意図が掴めず、アルフィースが思わず硬い声を出す。


「まぁ、落ち着け」と一言告げ、大旦那は懐から新しいタバコの元をパイプに詰めると、火の着いた薪から火を取り出しプカリと噴かした。


ゆっくりと、一呼吸を置いて大旦那が静かに話し始める。


挿絵(By みてみん)


「昔、兄貴も旅の途中で死に掛けてな……その時だ『勇者』として目覚めかけたのは」


今度こそ、フィーメルもギョッとして大旦那を見る。アキリナも口をあんぐりと開けて驚く。


『勇者』


そう呼ばれる者が存在する。魔族によって追い詰められた人間の中に発生した、対魔族のワクチンのようなものだと考えられ、魔族の天敵とも呼ばれる人類最強の戦力。


勇気があるだけではそう呼ばれない。存在自体が魔族にとって有害。魔族に対し、絶対的な強さを持って初めて勇者と呼ばれる。


当然その数はそれほど多くは無いが、各国に一人か二人ぐらいは存在するのだ。だが、それ故に逆に魔族に狙われるとも言える。


目覚める前に殺してしまえば、魔族にとっては有利な事この上無いからだ。もし目覚めたとしても、その力が熟成する前ならばなんとかなる。その為、魔族は僅かな情報でも暗殺に来る事がある程だ。


迂闊に勇者を名乗ろうモノなら、殺される危険が飛躍的に跳ね上がる。よほどの愚か者でもない限り、勇者を名乗ることは無い。


中には大々的に『勇者』を名乗り、世界各地を"救済"の旅をしている者も約一名いる……但し、その実力は折り紙つきで、本気になれば地形を変えてしまうとも言われていた。皮肉にも、それはかつて証明されてしまったが。


「────まあ、それはあくまで"目覚めかけた"という段階で、発現までには至らなかった」


大旦那がフィーメルを見る。


「育ててやれ」


言い切り、ニヤリと笑う。その意図にフィーメルは気付いた。


勇者はその性質上、各国で取り合いとなる場合もある。それをフィーメルに「育ててやれ」という事は、この国で保護しろと言っているようなものだ。


「はい、分かっております」


にっこりと、フィーメルが笑う。


当然、保護するという事はそれに付随する問題も内に孕むという事になる。だがそれすらも承知したとばかりの返事に、大旦那は満足そうにプカリと煙を噴かす。


あんぐりと口をあけたままのアキリナと、話の流れに付いて行けず戸惑うアルフィースを残して。


挿絵(By みてみん)


一方、その頃のナビツは────


「あんたももういい年なんやから、そろそろほんまに結婚しなはれやー。先代の大奥様もあんたのやんちゃを気にしてたもんや」


「はい」


「そやそやー。いつまでも若いつもりではいられへんでー。年を取ってからだと、子供が大変やもん」


「重々承知しております」


「仕事熱心なのもいいんやけど、孫の顔を見せるのも親孝行やで?」


「はい」


「いい人の一人か二人ぐらいはおるやろー?早く捕まえとかんと、逃げられるわなー」


「重々承知しております」


「時間<歳>は金よりも大事なんやぞ。過ぎれば過ぎる程後悔するもんや」


「はい」


正座をして大女将を中心に他の高位のメスの豚人族に囲まれ、親戚のおばちゃんの集まりの中に放り込まれた独身男さながらに延々と同じ返事を繰り返していた。


段々と目から光が失われている気もする。


親戚のおばちゃんというのは、何故もこうして繊細な心にズカズカと入り込んでくるのか。


理解できない生き物である。


挿絵(By みてみん)


その更に奥では────


「あんさん、いい男やなー」


「ほんまやなー。でも、もうちいと肉つけんと」


「おお……オレがモテている……し、しかし相手は豚人族……冷静に冷静に……」


「あはは。あんさん、魔物とはゆうても豚人族はええでー。ぽっちゃり好きにはたまらんもん」


「そうやそうや。どうや?誰か相手してみるかいな」


「……おお……新しい扉が開けそうです……」


ぷにょんと6つの胸を押し付けられて顔を赤くするケイサムが、若いメスの豚人族に囲まれちやほやされていた。


若干、弄られているという雰囲気が強い気もするが。



挿絵(By みてみん)


おおおおおおお……なんだこいつ……何で私に付きまとう!?


目の前の黒い人物から何とか逃げようと試みてみたけれど、結果は芳しくない。


元々の素早さ<AGI>が文字通り桁違いの為か、こっちが速度増加のスキルを使っても振り切れず、ぴったり後を着いて来る。


ストーカーかよっ!?


思わずつっこみを入れそうになるが、実際は声も出せないくらいに怖かった。


何しろ相手はどうやら私と同じゲーム出身で、『島津豊久』のジョブを持つらしい。


相手としては最悪だ。


そもそもにしてPvP(プレイヤー対プレイヤー)の戦いでは私の職業である『枢機卿』は不向きで、負けないまでも勝つ自信は全く無い。


話をしてみようかとも思うが、それは私にはキツイ。


コミュニティ障害っぽいところのある私が、初対面の、しかもキッチリとした間隔で迫ってくるヤツの相手なんかできるか!


ちらりと視界の端に目をやれば、いつのまにか丘の向こうではモンスターと一緒に宴会が繰り広げられていた。


あの巨大な豚さんは敵じゃないんだ……と思いつつ、もう一度視線を戻したそこに、ストーカーはいなかった。


体がぶわっとする。


この感覚はなんなのか。


近づかれたのではないことは瞬時に理解できた。


目の端に映る簡易MAP上で、赤い点を確認する。


いた。宴会場のすぐそば。


────そして……私が見たのは、少年を庇う巨大な豚さんの右腕がストーカーの持つ赤いブレードに切り飛ばされた瞬間だった。


しるばーせいんとの人たちが助けようと駆け出す。


体がぶわっとした感覚の正体が判った。


焦りだ。どうしようもないくらいの焦り。


その光景を見ながら私は、私の"蘇生スキルでは魔物は蘇生出来ない"というゲーム上の仕様を思い出していた。





……会話ルーチン不明


『†どっすん☆ふんばる子†』とのコnタクト失敗


追加方法けnさく……



食事アイテム渡す!


モンスター『オーク』の亜種はっけn


『オーク』ドロップアイテム……『肉』確立83.5%……


せnめつに向かう






────よろコンde……くれるかな……


ここに以降のネタバレを書いていましたが、まずいだろうというつっこみをもらったので削除ー。

では。また。












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