十四話 五対一
―上空―
「はっははははははははは!!少し予想外だが良い動きだぁ⋯、もしかしたらこの流れで隆真もあの陰キャ野郎も殺せるかもしれねぇなぁ!!俺の手でとは思っていたが、隆真が馬鹿で本当に良かった笑」
♦□♦□♦□♦□♦□♦□♦□♦(視点:隆真?)
「ゆ、遊雅⋯、夏恋⋯、申し訳ないが、お前らに託したぞ⋯!」
「おう!任せておけ!」
「わかりました。」
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「⋯、今の隆真さんは強いけど、なるべく傷つけないようにね。」
「わかってるよっ!」
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「嵐魔、一緒に行くぞ!怯えるなよ!」
「怯えるなどしませんよ!」
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「網津⋯、ゴホッゴホッ、無理はしないようにね⋯!」
「わかっている。」
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俺は誰も信じない。
そして、誰彼構わず殺すことを決めている。
それが女だろうが男だろうが狐族だろうが誰だろうが関係ない。
全員この力で殺してやる⋯。
「気合入れろよ皆ァ!隆真は恐らく誰かに取り憑かれてる!だから人並み外れた攻撃力を持っている⋯!何をされるかわからんから、大きな傷は覚悟しとけよ!!んじゃあ、全員行くぞ!!」
「「「「はぁッ!!」」」」
一斉に来るか⋯、なら最初に全員吹き飛ばしてやる!
「⋯!!」
「な、なんのポーズだ?両手を左右に広げて、大股に足を開いて⋯って、うおあっ!?」
「風が⋯、さっきの攻撃で!?あいつ何者⋯!?」
「負けるものですか!狐の魔法、呱々の舞!!」
呱々の舞⋯?風を新たに起こして反撃させるという技っぽいが、何処が呱々なのか?
「狐の魔法、音の乱れ渦 開花!!」
すると、急に体中に赤子の泣き声が鳴り響く。
煩くて気持ちが悪い⋯!なんて意地の悪い攻撃を⋯!!
「網津さん、今の内に!」
「了解。リーダー特権魔法、荒波打撃。」
「ぐぁっ!?な、なんだこの痛みはっ⋯!!」
まるで弾丸が背中に何弾も突き刺さるような感覚⋯!!
こんな感覚は味わったことがない、こんな苦痛など味わったことはない⋯!!
「お二人とも、強い⋯!」
だがこんなもの、克服するように意識を変えればいいだけだ。
そうすれば多少痛さは軽くなる。
「これがダメなら、リーダー特権魔法⋯、蛇の縄。」
「蛇⋯?ぐっ、苦しい⋯!!」
急に出てきたかと思えば直進し突進、そして首を絞めて、絞殺するつもりか!?
部下にも容赦ない、こいつは隠れた化け物だ⋯!!
「狐の魔法、扇成る吹雪!!」
「こ、今度は何だ⋯!?さ、寒いっ⋯!!」
扇を一回はたいただけで、凍りつくほどの寒さが襲ってくる⋯!
やはりこいつも特殊だ⋯、いかれた化け物だ⋯!!
それも全部、克服を意識するだけで回復するんだがな。
「くっ、一気に体力を使いすぎたのか、いっぺんに魔法を使ったからなのかわからないが、身体がズキズキするっ⋯!!休ませてもらうぞ⋯!!」
「ゆっくり休んでて下さい。では、私も参ります。スキル拳術⋯、蛇拳!!」
構えを回転させ、拳の速さを上げる⋯。
良いじゃないか。面白い!
「夏恋さん今の技すごい!!」
「褒めてる場合ですか⋯!」
「⋯!!⋯!!!!」
「(一度蹴って攻撃を止め、二度目の回し蹴りで反撃⋯。海に飛ばされる⋯⋯!!)」
「あぶねっ!!」
「ゆ、遊雅⋯!」
「ふっ、隙ありだ。⋯!!」
「あ、足がっ⋯!!え、えっ!?あへ〜っ!!!!」
「遊雅っ!!」
指揮していた遊雅がこれ程弱いとは、役所の奴らも大したことがないな。
これだったら、夏恋も恐らく肩慣らしにもならんだろう。
スキル拳術という特殊スキルを持っていたのは正直驚いたが、それもただのお飾りだったということだな。
「スキル拳術⋯!!毒之拳ッ!!!!」
拳に毒を混ぜて突き出すとは、自傷行為だぞ⋯?
なんとか避けられたが、そこまでして他人を守りたいのか。
毒で傷んだ箇所を押さえながら、遊雅を最速で助けに飛んでった。
「遊雅!!」
「ゴボボボボ⋯、」
「⋯っ、」
「ぷはぁっ、た、助かったぜ⋯!ありがとな夏恋!」
「はぁ、もう無理しないでよ?」
「って、毒攻撃使ったのか⋯!回復してやるからちょっと待ってろ!」
「⋯有難う。」
暫くして、傷を直した状態で遊雅と共に戻ってきた。
どっちもどっちで助け合って⋯、はぁ、実に馬鹿なやつだ。
「貴方が誰に取り憑かれていようと何をしようと、私は遊雅を飛ばしたこと、絶対に許しませんから。」
「ほう?随分気合が入ったようだな。だが、独断戦法になって自分自身を傷つけることのないようにしなよ。」
「わかってますよそんなこと⋯!!スキル拳術、重鳴之硬化!!」
自分の身体を硬化させて、重さによって攻撃するのか⋯。
自分自身を傷つけるなといったばっかりにこれだ、とんでもない女だな。
だがそれも無意味だ。
「⋯!!」
「わ、割れた!?」
「夏恋⋯!!霧拡散!!」
「ちっ、見えない⋯!!」
「夏恋!大丈夫か!!」
「もう、一々助けなくていいのよ。」
見えない妨害を仕掛けられるのは厄介だな⋯、俺の唯一の弱点だ。
構えなければ⋯!!
「オペスキル、攻撃特化!短刃用意!!」
声は聞こえる⋯、でも何処に攻撃が来るかわからない⋯!!
どうすれば良い⋯?わからない、わからない⋯、あぁもうわからない!!
「たぁぁ!!!!!」
「し、死にたくないっ、やめろぉっ⋯!やめろぉっ⋯!!」
「シュタッ!オペスキル⋯、精神回復特化!脳薬用意!!」
「くそっ、くそっくそっくそぉぉっ!!こんなところで死にたくなぁぁい⋯!!(バタン)」
「死にはしないよ、ただ精神取憑魔力を取り除く幸せ物質を付与しただけ。あとは自分次第だよ、隆真くん。」
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「これで一先ずは、落ち着いたな。」
「そうね、私は見るだけで殆ど何もできなかったけど。」
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「悠七、私の代わりに色々してくれてありがとね。」
「まぁ、皆が凄すぎて、最後だけしか参戦できなかったけどね笑」
「頑張ろうとした証拠じゃん!」
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「よくやってくれた、嵐魔!よく頑張った!本当に有難う!!」
「お褒めに預かり光栄です。」
「遊雅、あんまり言いたくないが、俺の仇を討ってくれて、ありがとな。」
「どういたしましてだ!」
「遊雅?もう無茶しちゃ駄目。」
「それはお互い様だろ〜!」
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「ど、どうにかなったんでゅふね⋯?一先ずは。ってそんなことより誰か、助けてほしいでゅふよ〜!!」
つづく




