十二話 救世主くん
―役所内にて―(視点:傘)
美浦達が調査に出かけて2時間ほど経ち、窓の外を見てみると、美浦達の人影が見えた。
二人ほど見かけない人がいるけど。
「帰ってきたみたいだな。」
「本当ね。でも、貴方すっごく大人しかったわね。なにか考えてたりするの?」
「何も考えていないぞ?ただ、少し嫌な予感がするだけだ。」
「嫌な予感って、今朝言ったこと?」
「それもそうだが、もう一つ。嫌な予感がするんだ。部下の一人が死ぬ気がするような嫌な予感がな。」
部下の一人が死ぬ⋯!?美浦達の中の誰かが⋯?
急にそんなことを言われ、驚愕のあまり私は固まった。
「そ、そんなこと⋯!起きるはずが⋯!!」
「そんなことが起きるかもしれないんだよ。過去にそういう事が起きたからな。もしかしたら露や遊雅達が帰ってきた時辺りに起きるかもな。」
「ちょ、誰が⋯?誰が死ぬの⋯!?ねぇ教えてよ⋯!教えてってば!!」
「俺の目を見ろ。向いてる方向に居るだろ。」
「⋯、ま、まさか⋯!!嘘よ!そんなの嘘!!死ぬはずないわ⋯!隆真ちゃんはきっと美浦達が⋯!!」
「ただいま〜!」
帰ってきちゃった⋯、本当は暖かく迎え入れるのが一番なんだろうけど。
網津の突然の告白で思うように喜べない⋯。
「お、おかえり〜!!」
戯けた声と戯けた動きをして、皆を出迎えた。
それと共に、見知らぬ人に睨みを効かせた。
「は、はじめまして⋯?」
「なんか、睨まれてない?」
「ちょ、どうしたの傘さん!確かに勝手に仲間増やそうとしてることは申し訳ないとは思ってるけど、なにもそんな睨まなくたって⋯!!」
「おい、美浦。遊雅。俺はこれ以上仲間を入れることを許可したつもりなんてないぞ?」
「な、なんで急にそんなこと言うんだよ!」
「二人ともなんか変ですよ!」
四人とも、ごめん。
今の私にはこうするしかない気がするの。
見知らぬ二人にも悪気がなかったのであれば申し訳ない。
でも、悪気が一ミリでもあったら⋯、容赦しない!
「⋯、なるほど。傘とリーダーが思ってること、なんとなくわかった気がする。」
「露!お前、わかったのか?」
「あくまで推測だから。」
「一旦聞かせてくれ!」
「⋯喧嘩した、とか?」
「そんな可愛いもんじゃねぇだろ。」
「反抗すんなぁ!」
「ごフォっ!!」
「私、邪魔だったかな⋯?」
「やはり加入なんて、ダメなんですよね⋯?」
くっ、そうじゃない⋯、そうじゃないのに⋯。
頭が勝手にこの二人を敵認識してしまう⋯。
「遊雅、私もわかったわ。これは多分本当。」
「何だよ次は⋯!」
「⋯網津さんが嫌な予感を感じて二人を遠ざけている可能性がある。」
「な、なに!?でも、お前が言う推測は今朝のとき合ってたから、今回も本当か⋯。だとしてもなんで!?」
「今回私達が手に入れた治療法が、偽の治療法の可能性があるってことよ。」
「はァ!?この二人を疑えってのかよ!!悠七はさっき会ったばっかだから、性格に関しては美浦達にしかわかんねぇけど、嵐魔は俺達が助けたって恩があるし、嘘をついているような様子でもなかった!そんな奴を、疑えってのかよ⋯!!」
「それじゃあ聞くけど、この二人と今のメンバーどっちが大事なの?」
「そ、そりゃあ、今のメンバーだろ⋯。」
「なら少しは疑ってるってことね。」
「んで⋯?どうなるんだよ⋯。その治療法を使用したら⋯。」
「隆真が死ぬ」
「は?」
「治療法によって隆真が死ぬのよ。どういう原理かはわからないけど⋯、恐らく精神にもっと以上をきたす可能性があるね。」
「治療法なのにかよ、」
「そして何故、そんな危険な治療法が私達の耳に届いたか。それは言いふらした人が居るからよ。」
「ま、まさか隆真の友人や家族を殺した⋯!」
「感が鋭いね、そうよ。その人が仕掛けたの。」
「くっそぉぉっ、あいつめぇぇ⋯!!」
「どうにか誤解を解いてあげたいけど、このままじゃ難しいわね⋯。」
「⋯、このまま見届けるぜ。誰かが助けてくれることを願って!」
「デンジャラスな考えだけど、私も同じことを考えたわ。同士ね。」
「嫌な同士の成り方だな!」
二人の会話を、私はしっかり聞いた。
生まれつき耳もいいから。
そしてどうやら、見知らぬ孤族と思われる人も傍聴していたようね。
「私達はどうやらお荷物のようですね⋯、無礼をお掛けいたしました。海で自害させて頂きます。無礼を⋯、お許し下さい⋯⋯!!」
「ま、まて嵐魔〜!!」
「ね、ねぇ!ちょっと!孤族の人〜!!ど、どういう状況これ!?私マジで嫌われてんの!?何もしてないのに!?」
「悠七⋯、一か八かさ、隆真さんの術をその治療法で解除してみない?」
「い、良いけど⋯、大丈夫なの⋯!?」
「一か八かって言ったはずだよ!」
「も、もう!どうなっても知らないから!!」
み、美浦!?何をする気⋯!?まさか本当に治療法をやらせるの⋯!?
やめて⋯!って言っても、遊雅君達がなにか考えているかもしれないから、それを邪魔したくはない⋯。
美浦も美浦なりの考えあっての行動のはず⋯、だよね⋯⋯?
「救世主が来てくれるかもしれない。この場に⋯!その人に止めてもらうの!何もわかってないだろうから!」
「そ、そゆこと!?」
「美浦、意外と考えるじゃん。」
「まぁね〜」
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「遊雅、今の聞いたよね?」
「まさか夏恋の作戦が他人に先越されることになるとはな⋯!」
「うっさいわね⋯!」
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「こうなりゃもう役所に突撃するしかない!戻ったみたいだから!」
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「悠七、治療を続けて!」
「わかってるって!」
「美浦⋯!やめて!!もうやめて!!死んだらどうするの!?」
「私には考えがあるから大丈夫!本当に成功するかはわかんないけど⋯。」
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「役所の人〜!少し良いかい?」
「「「「来た!!」」」」
「なに!?今忙しいの!とおしてあげ、てちょっ!?露ちゃん!?」
「どうぞ中へ〜!!」
「⋯あっ!その治療法じゃダメだよ〜!」
「知ってます!だから早く、彼を⋯、隆真さんを助けてあげてください!!」
「って、なんで僕が隆真を助けれるってこと知ってるの!?ま、まぁいいや。復活用治療スキル⋯!真心の鍵!!」
ひ、光が⋯!!眩しいっ⋯⋯!!
「お、目が覚めたみたいだな。隆真〜!僕だ、友人だ!」
「「「「⋯えぇ〜っ!?」」」」
美浦の話からするに友人は、覆面の男に殺されたんじゃ!?
驚きすぎてペリケン(ペリカン)ぐらい口が開いた。
「え、隆真さんの友人って目の前で細切れにされて⋯!!」
「死んだはずでは⋯!?」
「びっくり、それは推測外ね。」
「死神!?怖いから刺していい⋯?」
「死神じゃないから刺そうとするなっ!」
「ん、お前⋯、友人か。」
「おう!覚えていてくれたんだな!!」
「お前が信じられない、お前は死んだはずだ。嫌いだ、死ね」
「⋯はいぃ!?」
つづく




