十一話 調査過程3
―サンドロープ魔法資料・図書館―
「⋯あ、あれ、私は⋯、何を⋯⋯?」
「目が覚めたか?」
「隆真⋯さん?」
「目が、覚めましたか?」
「あ⋯、おかげさまで⋯。」
「それは良かったです。」
私はどうやら、誰かにここに連れてこられたみたい。
場所はサンドロープ図書館の病室。
ここはまさかの、病院の役割も果たしているという物凄いところ。
しかも医療の人も特殊なオペスキルを使っていて、死人も蘇らせる事ができるみたい。
「誰が⋯、運んでくれたんだろう。ここまで。」
「それは、白銀の髪した逞しそうな子ですよ。貴方を探していらしたようです。倒れた状態だから、すぐに病室へ!と言ってましたね。」
「そうでしたか。後でお礼を言っとかなきゃ。」
「ふふっ、ですね。」
傘さんにしか心を開かなかった露が、私に心を開いて、助けてくれた⋯。
でも、なんの情報も得られていないままこの状態で居るから、きっと急いでるんだろうな。
有り難いのと同時に、申し訳気持ちになる。
「でもビックリしました。私の親友が、役所の仕事してたなんて。」
「え?親友?」
そう言って首を傾げていると、さっと後ろを振り返った看護師さん。
ふと顔を見ると、一瞬で豆鉄砲を食らったような顔をした。
そこに居たのは、私と同い年の本当の親友、藁白悠七だった。
不自然に顔を隠してたのはそういうことか⋯、細かな配慮にでっかいサプライズで、私は思わず笑ってしまった。
「あははははっ!負けたな〜。一本取られたよまったく〜!」
「やったね!んで?さっきまで何してたの?」
「役所の露って子、その子とさっきまで資料を調べようとこの街に来たんだけど、この街の光景にうっとりきちゃったせいで露を見失っちゃったんよ、ダサくない?私!」
「だ、ダサい⋯?卑下し過ぎじゃない?」
「そう?いつもこんな感じだけど。」
「あ、多分仕事癖だ。私だってたまになる時あるから。」
「そんなんじゃないってば〜!」
「取り敢えず露って子、多分白銀の髪の子だと思うから、会った時にちゃんとお礼言っときなよ!」
「はいっ!」
「良い返事!」
悠七とは昔っから腐れ縁って感じですっごい仲良し。
役所の仕事に就いたせいで、しばらく会えてなかったけど、こうして会えて本当に嬉しい!
またどっかのお店で密かにお酒が飲めるっ!
「でも悠七もまさかここで働いてるとは思わなかったなぁ〜」
「あ〜でもね、今日で辞めるつもりなんだ〜。あ、厳密に言うと、図書の方の仕事に移転するって感じ?」
「へ〜、」
「んで、それに役所の仕事もプラスして、二つ掛け持ちするつもり。」
「そうなんだ〜、ってえぇっ!?役所来るの!?」
「働くつもりだよ。なにか悪いことでもあった?」
「いやいやいや、悪いことないよ!むしろ大歓喜だよ!!でも、なんで掛け持ち?」
「⋯あれ?掛け持ちだったっけ?あ、違ったわ。役所だけ!」
「なにそれぇ!ずっと一緒ってことじゃん!!最高だよ!!」
「私も最高!まじ嬉しい!!」
「因みにここを辞めるきっかけって何⋯?」
「接客っすかねぇ〜、シンプルに態度の悪い客が多いの。だからだるくてさぁ⋯。話せる人も少ないし、どうせなら親友のいる仕事場でわちゃわちゃしてたほうが楽しいかなって!」
「あーね、悠七らしい理由だねぇ〜。」
「でしょっ?だから、今日からよろしく〜」
「もう加入した気満々じゃん笑」
そう言いながらすかさず渡してきたのは、精神治療法に関する資料本。
しかもかなりの量の資料⋯、これなら載ってるかも!
もしかして私の悩んでること、スキルで覗いたな〜?
さっすが私の親友!マブダチ!ちょー気が利く!!
「これの、297ページに載ってあるヨ〜。」
「どれどれ〜?あ、ホントだ。特殊スキル、心情スキル魔法の解除治療法。」
〈方法〉※医療の方以外はやらないように。
一 患者を本意で救おうとする意思を見せる。
二 胸の中心に手を乗せ、魔力を込め何回か押す。(心臓を潰す勢いで)
三 手が身体の中に沈んだら脳に行く合図。自分の手を患者の脳に持ってくる。
四 脳の周りにある粘液を取り除く。(脳を傷つけずに)
五 手を身体から離す。
六 数十秒くらいしたら声を掛ける。気付いて目が覚めたら完治。
「これはどうやら、医療の知恵、技を持ってる人じゃないと無理みたいだね〜。」
「それじゃあ、悠七が居れば〜?」
「余裕で〜?」
「「解除できちゃう〜!」」
「やったぁぁぁぁっ!!ようやく隆真さんに、隆真さんに会える⋯!!」
「良かったね〜っ!んで、その隆真さんって人は、美穂っちの彼氏だったりするわけ?」
「うん!そうだよ〜!あ、やっぱ違う!!さっきの無し!!」
「そっか〜!出会って一日で彼氏見つけちゃったか〜!やったじゃん美浦!!」
「な、なんでそうなるの〜!?」
そんなこんなで私は、看護師の人に事情(仮)を伝えて、悠七と一緒にここを出た。
扉の近くに居たのは、なんと露だった。
「つ、露⋯。」
「いつの間に呼び捨て、まぁ良いけど。」
「この子が露〜!?かわい⋯」
「しー!」
「ご、ごめん。」
さっき悠七に言われた通り、有難うって言わなきゃ⋯!
もっと関係が悪くなっちゃうから。
「露、さっきはありがとね。」
「いいよ。それより、なんか人増えたね。あそこに居た看護師さん。」
「ど、どうも〜。」
「仕事辞めたの?」
「大正解〜!」
「それで、役所に。今日からよろしく。」
「よろしく〜!」
なんか調子がいつものツッコミしてる時に戻った気がする。
これって成長なのかな?いや、成長なんだろうな。
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―遊雅たちは―
「なるほど⋯、特殊スキルにおける精神異常の治療法って感じですね。」
「そういうわけだ。」
「私で良ければその治療、やりますよ。」
「い、良いのか!?」
「えぇ、私を救ってくださった恩人様ですから!その仲間の者なら尚喜んで引き受けます!」
「有難うな〜!」
「それで、その治療法の手順はなんですか?」
「まず、患者を本意で救おうとする意思を見せる。
次に胸の中心に手を乗せ、心臓を潰す勢いで魔力を込め何回か押す。
手が身体の中に沈んだら脳に行く合図。自分の手を患者の脳に持ってくる。
持ってきたら脳の周りにある粘液を脳を傷つけずに取り除く。取り除けたら手を身体から離す。
最後に数十秒くらいしたら声を掛ける。気付いて目が覚めたら完治。
こういった流れです。」
「なるほど、街についてすぐ、有力な情報が得られたわね。」
「ちょっと早いけど、帰りますか。」
「そうだね。」
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―上空―
「はっははははははははは!!間に合ったな。これで偽りの治療法を得たまま、あいつを完全に死なす事ができる!!
あとはあの二人が異変に気づくとか、余計な邪魔が入るとかがなきゃミッションコンプリートだ。」
「失礼します、主。」
「なんだァヴィレス⋯?上空まで態々上がってきて報告か?ご苦労なこった。で?どうしたよ。」
「実はあの時主が殺した者は、双子のようにそっくりな者であったと判りました。」
「⋯はァ?それは一体、どういう戯言か、聞かせてもらおうじゃねぇかおい!!」
「う⋯ぐっ、違います⋯!戯言などでは御座いません⋯、本当の⋯⋯、ことです⋯⋯!!」
「どうせそうやって言ったら罷り通ると思ってんだろ、なァ?お前の家族とお前の命がどうなっても良いんならどうぞ続けてくれよォ!!お前にとっては無駄で無意味なことだろうけどなァ!!」
「す、すみませんでした⋯!!」
「まぁ、今回は許してやる。事実かもしれねぇからな。だが!もし次やったら!!お前の首も家族の首も飛ぶと思え!!」
「わかりました⋯っ!!」
「一応チャンスとして、お前には監視に就いてもらおうと思っている。変なことはするな?家族の前に俺がいるんだからな!変な動きを見せたらお前毎首を飛ばす。絶対に俺を騙すなよ?⋯わかったかァ!!」
「わかりましたっっ⋯!!」
「ならとっとと行けぇ゙!!」
「はいっ⋯!!」
「はぁ⋯、クソだァ、クソだァ、クソだクソだクソだクソだクソだクソだクソだクソだあぁぁぁぁぁぁぁ!!
なんで生きてんだよあの野郎!!しかも双子のようにそっくりって、ふざけんなよクソ!!笑い話にもなんねぇっての!!
はァ⋯、どう始末してやろうかなぁ⋯??頭割いて脳味噌をぐちゃぐちゃにして腹を抉って臓器をえぐって小腸や大腸はプレス機にでも潰して腕や足、神経はもう跡形もなくなるまで切り裂いてぇ゙⋯⋯!!
いや、これじゃ足りねぇ。残酷さ、惨さ、それがなんか足りねぇ。一つ欠けてる。見応えのある処刑方法。
っははははっ、ははははははっ⋯たっはははははははははは!!閃いたぜ悪知恵の処刑方法を!
昔、別世界ではァ⋯、ギロチンという特殊な処刑方法があったそうだァ⋯。上から刃が降ってきて、それで派手に首を跳ねるって処刑方法がなァ。
ならそれを使ってあの生き残りド陰キャ引きこもり野郎の首を跳ね、見せしめにしてやらァ!!そのためには俺自ら役所に出向かなければいけない⋯、ま、あとでいっか。
あいつの前で生き残りド陰キャ引きこもり野郎の首を跳ねる、それが丁度いいや。あいつ自体を殺すのはもうやめだ。どうせあの二人に渡したものがあいつを死なせたとしても、どうせ誰かが止めに入る。
そんならまた友人を殺せば良いんだ⋯、そうだそうだァ!!そうすれば良いんだ!!待ってろよ隆真⋯!お前を心の底の底の底からドン底に叩き落としてやるァ!!!!!!!!
たっははははははははははっ!!たっははははははははははっ!!たっははははははははははっ!!!!」
つづく




