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十話 調査過程2

 ―資料お調べペア 美浦と傘―(視点:美浦)


 隆真さん⋯、今の状況は最悪です。

 網津さんと傘さんは夢のことで関係がずたずたになって、遊雅さんと夏恋さんはヒソヒソと話していて、露さんはどんより曇り顔。

 傘さんが居ないのと、網津さんに言われたことを引きずって、まさに泣きっ面に蜂状態。

 私は私で散々抱え込んで、皆がどうすれば団結するんだろうと頭を抱えてます。

 貴方と顔を合わせたのはたったの数時間⋯、眠ってしまったせいで記憶にノイズがかかって再起できなくなりそうです。

 そして、そんな状態で貴方を術から解き放ったら、貴方は冷酷な人間になってしまう。

 あの時のような優しい笑顔が見れなくなってしまう。

 そのまま貴方を、嫌ってしまうかもしれない⋯、それは絶対嫌です。

 貴方を助けたのは、何処かで貴方という人を待ち望んていたから。

 貴方に近づいたのは、貴方と一緒に調査したのは⋯、貴方のことが大好きだから。

 だから、そんな貴方を、忘れたくないです。

 今から、北西の街にあるサンドロープ魔法資料・図書館というところに行ってきます。待っていてください。


 「早く行くよ。」

 「わかってます!」


 やっぱり冷たい⋯。

 傘さんにはすっごくべったりなのに、まるで夏と冬みたいな態度の差。

 喋る相手が居ないのと同じだから、なんだか寂しい。

 そう思うと、傘さんの存在って偉大なんだなって思う。

 

 外に出てからは、露さんに合わせて早歩き。

 でも近づきすぎると睨まれるから、丁度良い距離を保ちながら進む。

 丁度、目的地を通る時に隆真さんの家の前を通るから、ちょっと覗いてこようかな。

 森のある道はジメジメしてて嫌いだから、私はいつもサンドロープ側へ行く時に、ジメジメしてない別の道を通る。

 暫く歩いていると、隆真さんの家に着いた。

 そして、その近くにはお墓のように4つの花が添えられていた。

 誰かが焼死体を埋葬したのかも。

 取り敢えず、必ず隆真さんを救ってみせますので、どうか天高い場所で見守っていてくださいと祈り、手を合わせ一礼。

 露さんはしなかったけど、通り過ぎる時、後ろをチラチラと気にしていた。

 誰かいるのかな?ま、そのうち分かるでしょ。そう思い、その場を後にした。


 「だ、誰も僕に気づいてくれない!!どういうことなんだ⋯?分かり易い場所にいるのに〜!!(隆真の家の中)」


 そして見えたのは、三角状の街、サンドロープ。

 建物はどれも別世界で言うフランスやイタリア、スペインなどのヨーロッパな町並みを彷彿とさせる造りばかり。

 でもそこに隠れているのは、砂の多さによる工場の加工生産、それによって生まれた「窓ガラス」というもの。

 雪崩によってガラスは知れ渡ったんだけど、作り方については皆わかっていなかったし、作れたとしても強固かどうかなんて分かるはずもなかった。

 そこでこの街の長が、特殊であるこの街の砂に着目し、「砂の加工で強固なガラスというものが作れるのではないか」と思い、火属性の魔法や形状変化のスキルで試行錯誤した結果、窓ガラスが本当に作れたというもの。

 元々窓用のガラスは輸入で頼っていたけど、輸入されなくなってしまった場合はどうするとなって自分たちで作り始め、今や他の国はこの街の窓ガラスを輸入しまくっている。これぞ大逆転。

 そう心の中で呪文のように唱えていると、あれよあれよという間に露さんを見失ってしまった。


 この街は途轍もなく広い⋯、通行人の数も桁外れ。

 そんな中で露さん一人を探すだなんて、無謀も無謀だ。

 取り敢えず、聞き込みをしながら探してみよう。


 ―――――――――――――――


 「あの、背の小さい銀髪の子を見かけませんでしたか?」

 「さぁ、見かけなかったわね。」


 ―――――――――――――――


 「一回り背の小さい子なんですけど⋯。」

 「俺に聞いたのが間違いだったな。」


 ―――――――――――――――


 「毒舌で⋯、」

 「喋るところなんて一々聞いてるわけないっすよ」


 ―――――――――――――――


 「顔が強張ってて⋯、」

 「知りませんよそんな子。」


 ―――――――――――――――


 「寂しがりやで⋯⋯、」

 「それ嬢ちゃんじゃないのか?」


 ―――――――――――――――


 「⋯甘えん坊で。」

 「赤ちゃんかよ」

 「ねぇ、いこー?」

 「わかった〜じゃあなババア」

 「⋯っ、」


 ―――――――――――――――


 「どこ〜?何処にいるの〜?露〜!!」

 「何あの人、大声で人探しなんてしちゃって。迷惑だわ。」

 「帰れ帰れ〜」

 「邪魔だなほんと」

 「人探しならこんな広い街ですんじゃねぇ!」

 「気持ち悪いし声カッスカスだし、」

 「見た目に反して年齢はババアだったり?」

 「それ長命種ってやつじゃない!?でもこの人が?まっさか〜!笑」


 ―――――――――――――――


 あぁ、ウザい。

 人の声が、何もかもが。

 本当にウザい。

 というか煩い。

 とにかく邪魔って感じる。

 羽虫の音と同じ。

 あぁ、居ない。

 何処にも居ない。

 露さんが、露が⋯。

 もう死んじゃいそう、疲れた。

 道端で草臥れて倒れた。


 「⋯、チッ、どけよ。邪魔だ。⋯どけよって!おい!!どけよって言ってんの!!ぐて〜って倒れてよぉ!!死にてぇのか!!」

 「⋯」

 「何も言わねぇみたいだから、殺しても良いんだな?後で後悔しても知らねぇぜ〜!」


 やばい、死ぬ。

 目が黒ずんで動けない。

 頭も身体も動かない。

 空腹でもないのにお腹に気持ち悪い感覚がする。

 地面が暑い。

 日差しに当たってたからかな。

 あぁ、このまま死ぬんだろうな私は。

 何もできずに、何もしてあげられずに。

 人一人も見つけられずに。

 大事な人も守れずに。

 最期の瞬間、目を閉じた。


 「おいてめぇ、そいつから離れろ。」

 「あん⋯?んだてめぇ、舐めた口聞きやがって。」

 「てめぇは何も悪くねぇ、その状態で離れることができりゃ僕は何もしねぇ。」

 「おいおい怯えてんのかよ笑 自分から言っておいてよ笑」

 「話もろくに聞けねぇやつに、生きる資格はないんだよなぁ⋯。」

 「んだとこの野郎!!」

 「ふっ、冗談だよ。楽に失神させてやる。悪人さん?」

 「⋯ぐっ、ぶっ殺してやる!!!!」

 「失神伝(しっしんでん)!」

 「ぐはぁぁぁぁッ!!か、身体が⋯、痺れて、動かねぇ⋯⋯!!こいつは、一体⋯、なに、もの、だ⋯⋯。」


 一瞬、何が起きたか分からなくなった。

 露とは思えない大人びた声が聞こえたかと思ったら、目の前の相手を光の如くやっつけた。

 この人、本当に露なの⋯?そんな疑問を心の中で吐いて、私は目を瞑った。


 つづく

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