過去の人へ挨拶
月曜日の朝。
俺とアリスは、いつものように一緒に登校していた。
「隆太郎、見て見て! 今日のお弁当、すっごく頑張ったの!」
アリスが嬉しそうにお弁当箱を見せてくる。
「お、美味そうだな」
「でしょ? 朝4時に起きて作ったんだよ!」
「4時!? お前、寝不足じゃないのか?」
「全然平気! 隆太郎のためなら、何時間でも起きていられるもん♡」
アリスがニッコリ笑った。
この重い愛……相変わらずだ。
「でも、無理すんなよ」
「大丈夫大丈夫! それより、今日のお昼が楽しみだね!」
アリスが俺の腕にしがみついてくる。
「お前、毎日同じこと言ってるな」
「だって、隆太郎とお弁当食べるのが一番幸せなんだもん♡」
周りの通行人が、俺たちを見て微笑んでいる。
中には「リア充爆発しろ」と呟いている人もいた。
※ ※ ※
学校に着くと、教室に入った瞬間、クラスメイトたちが騒ぎ始めた。
「うわ、今日もラブラブだ」
「アリスちゃん、可愛い……」
「隆太郎、マジで羨ましい……」
その時、教室の隅で白州が俺たちを見ているのに気づいた。
白州の表情は、どこか複雑そうだった。
「隆太郎、どうしたの?」
「ん? いや、なんでもない」
俺が答えると、アリスは俺の腕をギュッと抱きしめた。
「もう、隆太郎は私だけ見てればいいの!」
「お、おい……」
「他の女の子見ちゃダメ!」
アリスが頬を膨らませた。
その姿が可愛くて、俺は思わず笑ってしまった。
「分かったよ」
「本当? 約束だよ?」
「ああ、約束だ」
そう言うと、アリスは満足そうに笑った。
※ ※ ※
昼休み。
俺とアリスは、いつものように屋上でお弁当を食べていた。
「はい、隆太郎。あーん♡」
アリスが卵焼きを箸で掴んで、俺の口元に持ってきた。
「お前、毎回これやるな……」
「だって、隆太郎にあーんするの好きなんだもん♡」
「恥ずかしいだろ……」
「誰も見てないし、いいじゃん」
仕方なく、俺は口を開けた。
「あーん……」
「はい、どうぞ♡」
卵焼きを食べた瞬間、俺は思わず声を上げた。
「美味い! これ、今までで一番美味いぞ!」
「本当? やった!」
アリスが嬉しそうに飛び跳ねた。
「朝4時に起きた甲斐があった!」
「お前、本当に頑張りすぎだろ……」
「隆太郎のためなら、何でもするよ♡」
アリスがニッコリ笑う。
「じゃあ、次は隆太郎が私にあーんして?」
「また?」
「うん♡」
俺は自分のお弁当から唐揚げを取って、アリスの口元に持っていった。
「あーん」
「あーん♡」
アリスが嬉しそうに唐揚げを食べた。
その時、屋上のドアが開いた。
「あ、いたいた」
クラスメイトの女子数人が入ってきた。
「アリスちゃん、ちょっといい?」
「え? 何?」
「あのね、今度のクラスのレクリエーション、アリスちゃんにも参加してほしいんだけど」
「レクリエーション?」
「うん。来週の土曜日、みんなでカラオケ行くの」
「カラオケ……」
アリスが少し考えた。
「隆太郎も行く?」
「もちろん! 隆太郎も誘うつもりだよ」
「じゃあ、行く!」
アリスが即答した。
「やった! じゃあ、決まりね!」
女子たちが嬉しそうに去っていった。
「良かったな、朝日」
「うん! 隆太郎と一緒なら、どこでも楽しい♡」
※ ※ ※
放課後。
俺とアリスは、一緒に帰る準備をしていた。
「隆太郎、今日図書館寄ってもいい?」
「図書館?」
「うん。次の英語の課題で、参考文献探したいの」
「おう、いいぞ」
俺たちは図書館へと向かった。
※ ※ ※
図書館に着くと、静かな空間が広がっていた。
「隆太郎、一緒に探して?」
「ああ」
俺たちは本棚の間を歩いていた。
その時、角を曲がったところで、白州と桜井先輩が話しているのが見えた。
「……最近、隆太郎と全然話せないな」
白州の声が聞こえた。
「お前が振ったんだろ? 今更何言ってんだよ」
桜井先輩が呆れたように言った。
「でも……なんか、後悔してる」
白州の言葉に、俺は少し驚いた。
「隆太郎、すごく優しかったし……私のこと、ちゃんと大切にしてくれた」
「だったら、なんで俺と浮気したんだよ」
「それは……桜井先輩のことが好きだったから……」
「で、今は?」
「今は……分からない」
「はぁ、お前のこと、本当に好きなのか分からなくなってきた」
その会話を聞いて、アリスが俺の手をギュッと握った。
「隆太郎……」
「大丈夫だ」
俺は小声でアリスに言った。
「もう、白州のことなんてどうでもいい」
その時、アリスがニヤリと笑った。
「ねぇ、隆太郎。ちょっと悪戯していい?」
「悪戯?」
「うん♡」
アリスが俺の腕を引いて、白州たちの前に出た。
「あ、白州さん。桜井先輩。こんにちは♡」
アリスが明るく声をかけた。
白州と桜井先輩が驚いた顔でこちらを見た。
「あ、アリスさん……」
「図書館で何してるんですか? デート?」
アリスが笑顔で聞いた。
「い、いや……そういうわけじゃ……」
白州が慌てた。
「そうなんですか。私たちはデートですよ♡」
アリスが俺の腕を抱きしめた。
「ね、隆太郎?」
「あ、ああ……」
「隆太郎ってね、すっごく優しいんですよ」
アリスが白州を見ながら言った。
「私のために、一緒に本探してくれて」
「そう……」
白州の表情が曇る。
「それに、いつも私のこと一番に考えてくれるし」
アリスが俺を見上げた。
「本当に、最高の彼氏なんです♡」
その言葉に、白州の顔が少し青ざめた。
「白州さんも、桜井先輩と幸せですか?」
アリスがニッコリ笑って聞いた。
「あ、ああ……まぁ……」
「そうですか。良かったですね♡」
アリスの笑顔には、明らかな棘があった。
「じゃあ、私たち本探しに戻りますね。お邪魔しました♡」
アリスが俺の手を引いた。
※ ※ ※
本棚の陰に隠れると、アリスがクスクス笑い出した。
「見た? 白州さんの顔」
「お前、完全にわざとだろ……」
「当たり前じゃん♡」
アリスがニヤリと笑った。
「隆太郎を捨てたこと、後悔させてやるんだから」
「お前、怖いな……」
「怖くないよ。ただ、隆太郎は私のものだって教えてあげただけ♡」
アリスが俺の腕を抱きしめた。
「隆太郎、怒った?」
「いや……むしろスッキリした」
「でしょ? ざまぁみろって感じだよね♡」
アリスが嬉しそうに笑った。
その笑顔が、少し悪魔的だった。
でも、嫌いじゃなかった。
※ ※ ※
図書館で本を探した後、俺たちは二人で勉強スペースに座った。
「ねぇ、隆太郎」
「ん?」
「さっき、白州さんが『後悔してる』って言ってたけど……」
アリスが少し不安そうな顔をした。
「隆太郎は、どう思った?」
「どうって……別に何も」
「本当に?」
「ああ。もう白州のことなんて、どうでもいい」
俺がそう言うと、アリスの顔がパッと明るくなった。
「本当?」
「ああ。俺には、お前がいるから」
その言葉に、アリスの目に涙が浮かんだ。
「隆太郎……」
「お、おい。図書館で泣くなよ」
「だって……嬉しくて……」
アリスが俺の手を握った。
「隆太郎、大好き」
「ああ、俺も」
俺たちは、しばらく手を繋いだまま、静かに本を読んでいた。
この時間が、とても心地よかった。
※ ※ ※
家に帰ると、母さんが待っていた。
「おかえり、二人とも」
「ただいま」
「ただいま、百合子さん」
アリスが元気よく返事をする。
「今日もラブラブだったみたいね」
「え? なんで分かるんですか?」
アリスが驚いた顔をした。
「だって、朝日ちゃんの顔に書いてあるわよ。『今日も隆太郎とイチャイチャしました』って」
「ゆ、百合子さん!」
アリスの顔が真っ赤になった。
「か、母さん! からかうなよ!」
「あら、照れてる♡」
母さんがクスクス笑っている。
「もう! 私、晩御飯作ります!」
アリスがキッチンに逃げていった。
「隆太郎」
「ん?」
「朝日ちゃん、本当に楽しそうね」
「ああ」
「良かったわ。あの子、一度死んでるから……もう二度と笑えないかと思ってた」
母さんが優しく笑った。
「でも、隆太郎のおかげで、あの子は笑えるようになった」
「母さん……」
「ありがとうね、隆太郎」
母さんが俺の頭を撫でた。
「これからも、朝日ちゃんを大切にしてあげてね」
「ああ、もちろんだ」
※ ※ ※
晩御飯の時間。
アリスが作ったハンバーグが並んでいる。
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
三人で手を合わせた。
「美味しい!」
「本当ね。朝日ちゃん、料理上手になったわね」
「えへへ、ありがとうございます♡」
アリスが嬉しそうに笑う。
「隆太郎、美味しい?」
「ああ、美味いよ」
「良かった♡」
アリスが満足そうな表情を浮かべた。
この温かい食卓が、とても幸せだった。
「そういえば、来週の土曜日、クラスでカラオケ行くことになったんだ」
「あら、そうなの?」
「うん。隆太郎も一緒に行くの♡」
アリスが嬉しそうに言った。
「楽しみね」
「はい!」
※ ※ ※
その夜、俺は自分の部屋で宿題をしていた。
コンコン
ドアがノックされた。
「隆太郎、入っていい?」
アリスの声だった。
「ああ」
ドアが開いて、アリスが入ってきた。
「宿題してるの?」
「ああ」
「じゃあ、私も手伝う!」
アリスが俺の隣に座った。
「お前、宿題終わったのか?」
「うん、とっくに終わったよ」
「早いな……」
「だって、隆太郎と一緒にいたかったから、急いで終わらせたの♡」
アリスが俺の肩に頭を乗せてきた。
「お前、本当に俺にベタベタだな」
「だって、好きなんだもん♡」
アリスの言葉に、俺の顔が少し赤くなった。
「なぁ、朝日」
「ん?」
「今日、白州と桜井先輩に言ったこと……」
「ああ、あれ?」
「お前、わざと嫌味言ってたよな」
俺が聞くと、アリスはニヤリと笑った。
「うん、わざと♡」
「やっぱりか……」
「だって、隆太郎を傷つけた人たちだもん。ちょっとくらい仕返ししてもいいでしょ?」
アリスが俺を見上げる。
「隆太郎、怒った?」
「いや……むしろ、スッキリした」
「本当?」
「ああ。お前が俺の代わりに言ってくれて、ありがとう」
その言葉に、アリスの顔がパッと明るくなった。
「隆太郎……♡」
アリスが俺に抱きついてきた。
「大好き! 本当に大好き!」
「お、おい……」
「これからも、隆太郎を傷つける人がいたら、私がやっつけるからね!」
アリスが力強く宣言する。
「お前、頼もしいな……」
「当たり前じゃん。私、隆太郎の彼女なんだから♡」
アリスがニッコリ笑った。
その笑顔が、とても眩しかった。
「なぁ、朝日」
「ん?」
「お前がいてくれて、本当に良かった」
俺の言葉に、アリスの目に涙が浮かんだ。
「隆太郎……」
「一度、お前を失った時、俺は本当に辛かった」
「うん……」
「でも、お前が生き返ってくれた。もう二度と、お前を失いたくない」
そう言うと、アリスは俺を強く抱きしめた。
「私も、隆太郎を失いたくない」
「ああ」
「だから、ずっと一緒にいようね」
「ああ、約束だ」
俺たちは、しばらく抱き合っていた。
その時、ドアがノックされた。
「隆太郎、朝日ちゃん。まだ起きてる?」
母さんの声だった。
「あ、やばい!」
アリスが慌てて俺から離れた。
「は、はい! 起きてます!」
ドアが開いて、母さんが入ってきた。
「あら、二人とも仲良く宿題?」
「そ、そうです!」
アリスが慌てて答えた。
「そう。でも、もう遅いから、朝日ちゃんは自分の部屋に戻りなさい」
「は、はい……」
アリスが残念そうな顔をした。
「おやすみ、隆太郎♡」
「ああ、おやすみ」
アリスが部屋を出ていった。
母さんが俺を見て、ニヤリと笑った。
「仲いいわね」
「べ、別に……」
「照れなくていいのよ。母さんは応援してるから」
母さんがそう言って、部屋を出ていった。
俺は一人、顔を赤くしていた。
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