第5話 これからも
第5話 これからも
終わった。いや、「祓った」が正しいか。
部屋の床中に黒ずんだ紙屑、もといお札がたくさん散っていた。
静かだ。
スーツ男の絶叫と紙が散る音はもうどこにもない。
やったんだ。
やりとげたんだ。
ーー柳井さんは守られたーー
意識が、落ちそうになる。
ガクッと、全身の力が抜ける。
柳井「渡くん!?大丈夫!?渡くん!?」
「大、丈夫...多分」
柳井「ごめんなさい!本当に、ごめんなさい...」
「柳井さんが謝ることないよ。ていうか、柳井さんこそ大丈夫?怪我とか、どこか悪いとかない?」
柳井「お陰さまで元気です。痛いとことかもないので、安心してください。」
「よかったぁぁぁ...」
安堵する。よかった。本当に...よかった...
柳井「その...本当にありがとうございました。」
柳井「私、不安で、怖くて、本当は渡くん、協力することが凄く嫌なんじゃないかって、負担になってしまっているんじゃないかって、迷惑かけてしまってるから、本当に申し訳なくt」「大丈夫。」
「大丈夫だから。」
...
柳井「...」
「...」
「いいんだよ、謝らなくても。これに協力したのは僕の意思なんだ。やりたくてやったことなんだ。だから、」
うまく言葉が出ない
......
「片付け、しようか。」
柳井「...はい。」
柳井「...その、これからも、」
「...」
柳井「これからも、友達で居てくれますか?」
「あたりまえだよ。」
柳井「!......」
ーー1週間後ーー
柳井「わーたーるーくん!」
「うおっ」
背後から柳井さんが両肩に手を置く。
柳井「帰りましょう!」
あの一件があってから、昼休みは雑談をし、放課後は二人で家に帰っていた。
...なんだか付き合っているみたいで気恥ずかしい。
付き合っているわけではないのだが
......いやほんとに切実に
「質問があるんだけどさ」
柳井「ほいなっ」
ほいな...?
「柳井さんって、幽霊が視えるんだよね?」
柳井「そうですけど、それがどうかしましたか?」
「いやそのときにさ、僕にも幽霊が視えるようになるって言ってたでしょ?」
柳井「はい。」
「実は最近、変な黒い影をよく視るようになったんだけど、これって幽霊だったりするかな?」
柳井「うええ!?ほんとに!?黒い影、視えるんですか!?」
随分興奮してるなぁ
「まぁ、視るようにはなってきた、かな。」
柳井「そっかあ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁ」
初めて聞いたぞこんなおっさんみたいな声
「アンタ女の子なんだからそんな声出しちゃだめでしょほんとにも~」
柳井「w」
「鼻で笑ったっ!?!?今ァ!鼻で笑ったわねッ!?」
柳井「なんですかその電車でこころ笑ってるって言ってきそうなおばさん」
「んで?これってやっぱり、なんかの前兆だったりする?」
柳井「そうですね。たぶんその黒い影、幽霊かと。」
「そっか...」
柳井「嫌、ですか?」
「嫌じゃないかな。烏滸がましいかもしれないけど、やっぱり、柳井さんのことを理解してあげられると思って。」
柳井の顔が、少し赤くなる。
やはりこの発言はまずかったか?
柳井「優しいですよね。渡くん。」
「そうかなぁ?」
柳井「はい。謙遜してるけど、本当に優しいです。
渡くんは。」
「...ありがとう」
柳井「ふふっ」
「なんだよ」
柳井「なんでもないですっ!」
「調子狂うなぁ」
柳井「御愁傷様でぇす。」
「柳井さんのせいなんだけどね」
柳井「というか渡くん、照れてます?あれ?あれあれあれ?ちょっと顔赤いようなぁ?」
柳井さんは目を細め、手を後ろに組ながら腰を曲げ、
ジト目で下から顔を覗いてくる。
ちょマジで恥ずかしいから見ないでほしい
切実に
柳井「可哀想だからここら辺でからかうのやめときますか。」
「さいですか。」
いつもこんな調子である。
そんなこんなで柳井さんの家に着く。
和風の民家でそこそこ広い。
庭もきれいだ。
ちなみに僕はアパート住みである。
「それじゃあまた明日ぁ。」
柳井「あの!渡くん!」
「はいこちら渡くん。どうしましたか?」
柳井「連絡先、交換したいです!」
「連絡先?」
「はい。その、何かあった時にお互いすぐ連絡取れた方がぁ、ね?いいじゃないですか?」
「そう...だねぇ、じゃあ僕の家ここから近いし、行こっか。」
柳井「はい!」
こうして、二人で僕の家に向かうのであった。
いやぁ渡くんと柳井さんの関係も大分深まってきましたねぇ!
...それだけです。




