第4話 徐霊
第四話 徐霊
とうとう徐霊をする約束をした日がやってきた。
しかし、いつもいるはずの時間、教室に柳井の姿はなかった。何があったのだろうか、緊張と心配で頭痛がしてくる渡、果たして、柳井の行方は?
今日、柳井さんと徐霊をする。
家から学校へ向かい、学校の玄関で靴を履きかえ、教室に向かう。
だめだ、徐霊について考えすぎてしまう。
生まれて初めて霊と接触するのだ。怖いに決まってる。
怖いだけじゃない。僕にうまく出きるのか、なぜ僕にそんな力があるのか、そんな疑問が頭の中に次々と浮かんでくる。
教室に入ると、柳井さんはまだ来ていなかった。
おかしい。
いつもならこの時間には教室で読書をしているのに。
今日の放課後、柳井さんの家で徐霊を行うことになっている。
準備でもしているのだろうか
それから十五分、二十分と経つが、一向に柳井さんの姿が見えない。
なんだ?彼女の身に何かがあったのか?
いやな汗が出る。心拍数が上がっているのがわかる。
普段なら休みなのだろうと結論付けられるが、今回に至っては事情が事情だ。何かあったのだろうか?あったとしたらなんだ?あの霊に何かされたのか?
スーツ男が出ると体調が悪くなる、ということは、現在進行形でスーツ男が出現し、柳井さんが体調不良になり、そのせいで学校に来れなくなっているとか、そんな憶測が脳内を飛び回る。
頭が痛い、吐き気もしてきた。
柳井さんは大丈夫だろうか、心配だ。
柳井さんの家の場所は知っている。
迂闊だった。時間を合わせて待ち合わせするなりして、安否を確かめればよかった。
柳井さんから日々スーツ男が出現する頻度が高くなってきていると聞いたこともある。
「クッソ...」
頭痛が酷くなってきた。頭の中で重低音がする。
まるで機械の稼働音みたいな、いや、大型動物の唸り声と言った方がいいだろうか。
低い音と同時に、甲高い音も聞こえてくる。
痛い、頭が、痛い、うずくまって頭を抱えるほど。
なんだ?なんだこれ?
おかしい。
視界が真っ暗だ。
息づかいが荒くなる。
怖い。
なんで?
頭痛が酷いから?
違う。
でも、とにかく怖い。
「渡くん!!!」
え?
柳井さん?
なんで?
前を向く。
握りしめている紙を目の前にいる男に向ける。
やらないといけない。
直感でわかった。
少しずつ記憶が戻ってくる。
そうだ、僕と柳井さんは無事に放課後を向かえた。
そして柳井さんの家に行き、徐霊の準備がされた部屋に入った。
すると、柳井さんからお札を渡された。
どうやら、霊力の強い人がそのお札を霊に向けると徐霊効果が出るらしい。
その説明を受けたところから、記憶がない。
そんなこと今はどうでもいい。とにかく今は目の前にいるスーツ男を祓わなければならない。
僕は部屋の中心に座っていた。
少し上を見るとスーツ男の顔が見えた。いや、頭部が見えたといった方がいい。スーツ男の顔は真っ黒だった。目や鼻、口などの表情を読み取れる要素が全部黒く塗りつぶされている。
のっぺりとしたその顔には、表現できないような恐怖があった。
部屋のドアが全開になり、縄で囲われた部屋にそのスーツ男が入ってこようとこちらに左手をかざしている。
先程までの頭痛の正体はこいつか。
隣で柳井さんがお経みたいなものを唱えている。
これが柳井さんが言った技術というやつだろうか。
とにかく、集中しよう。
スーツ男に向かってお札を突きつけ、消えろ消えろと念じる。
柳井さん曰く念が大事らしい。
集中して念を送り続けた。
10cm×5cmほどのお札が床や壁にたくさん貼られている。
その時だった。
握っていたお札と、部屋中に貼られたお札が光り始めた。
青白い光りと共にどこからか部屋に風が吹き出す。
その瞬間、男が左手をこちら側ではなく自分の頭にかざした。その場にうずくまる。まるで先程の僕みたいに。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
聞いたこともないくらいおぞましいその絶叫と共に、部屋に吹いていた風が強さを増した。
部屋に貼られていたお札がその風によって剥がれる。そしてそのお札がスーツ男に貼り付く。
光りが強くて前が見えない。
スーツ男はより声を張り上げる。
スーツ男の絶叫に反応するように、光りが最高潮に達した。
そして、スーツ男が消えた。
黒い煙になって、弾けるように。
スーツ男が、消えた。
今回マジで会話少なくて書くの楽でしたね、
会話文って「」とか名前とか付けないといけないからちょっぴり大変なんですよね。




