第23話 厄災
第23話 厄災
幸せな家庭が突如、音を立てて崩壊して行く。
果たして、厄災とは...?
柳井「三年後、その時にはもう子供を授かり、出産もしていました。」
柳井「そんな幸せな家庭に、突如厄災が振りかかることになります。」
緑「お父さぁん?...あれ?、お父さん?」
緑「ふふっ、寝てる」
香月は縁側で眼鏡をかけたまま口を開けて寝ていた。
そして、香月の懐には緑と香月の子、択矢が寝ている。
数ヵ月前に二歳の誕生日を迎えた択矢は、病弱ながらも
すくすくと成長していた。
緑「...」
緑は縁側に腰を掛け、択矢の頭を撫でる。
あぁ、心地いい。
晴天の下の休日、まどろみ始めてしまう正午過ぎ。
ただただ時が過ぎて行く。
このまま過ぎることが、とても口惜しく感じてしまう。
ーー深夜一時ごろーー
ガタンッ
緑は、何の前触れもなく鳴ったその音に耳を澄ます。
耳だけではない。
集中し、全身の神経を尖らせる。
乾いた音が、部家に響き渡ってから数秒後。
謔ェ髴「フフフっ」
横にしていた上半身を無理矢理起こし、
豆電球で照らされた薄暗い部屋をサッと見渡す。
いた。
暖色で満たされた部屋の隅、青白くぼんやりとした
明るさがあった。
その明かりの中心、美しい女が立っている。
それはそれは綺麗な女が、冷たい眼差しで微笑んでいる。
緑「お前...なんで、いや、今はそんなこと関係ない。もし私の家族に手を出そうものなら、問答無用で祓うぞ。」
謔ェ髴「それが、果たしてそなたに出来るのだろうか」
...無理だ。
それは、一目でわかった。
凍るような冷たいその霊力は、五感を刺すように刺激する。
謔ェ髴「フフ、ならばなぜ抵抗する?勝てもしない相手に牙を向け、それで何になる?」
緑「あぁ、ごもっともだよ。でもさ、それでも守るんだ。
それが家族ってものなんだよ。」
そうだ。私は守らなければならないんだ。
どれだけ相手が強くても、どれだけ絶望しても。
私は、守らなければならないんだ。
香月「はぁ、やっと終わった。」
仕事から帰ってきた香月は、ため息をこぼしながら
家の戸を開ける。
香月「ただいま。」
小声でそう呟き、家の中に入った。
その瞬間、背に妙な悪寒が走った。
謔ェ髴「おや、そなたは確か...香月と言ったか?」
香月「なんでお前がここにいる」
謔ェ髴「そんなことを気にしている場合だろうか」
香月「っ!?」
まさか。
嫌だ。
そんな
おかしいんだ。
緑がアイツを放っておくだろうか?
いや、緑は動く。動いてしまう。
なのに、アイツは僕の前に現れた。
ダメだ。ダメだダメだダメだ。
ーーー緑...択矢...ーーー
部屋の戸を開け、ベッドに視線をやる。
択矢と緑は二人とも、ベッドに横になっていた。
しかし、部家に響く寝息は一つだけ。
そうだ。緑は確か、寝息の音が小さいんだ。
択矢は寝息が大きい子だからな。掻き消されてしまってるんだろう。そうだ。そうに違いない。
おかしいな。眼鏡が曇ったか?
やけに視界が滲む。
香月は、緑を抱き抱えた。
謔ェ髴「フフフっ、あぁ、人間は面白い。なぜそんなにも感情的になるんだ?フフ、ハハハハっ!」
謔ェ髴「アハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
香月「黙れ」
謔ェ髴「ほう?面白い。そなたも反抗する気か?」
香月「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ」
空気が変わる。
先ほどまでの冷気とは少し違う、冷たい空気が部屋を包む。
香月「消えろ。」
謔ェ髴「フっ、今宵は楽しませてもらった。また来るよ。
次はぁ...その子をいただこうか。」
その言葉を最後に、女は消えた。
緑...
あぁ、なんで。
香月の眼鏡は、内外ともに濡れていた。
いやぁ、厄災ですよね。
今後柳井家がどうなっていくのか
乞うご期待!




