第12話 合唱コンクール
第12話 合唱コンクール
少し遡り柳井音楽室出口転倒事件の一週間後の金曜日のこと。その日は、合唱コンクール当日だった。
果たして、渡たち三組の合唱コンクールの行方は...?
時は遡り、柳井音楽室出口転倒事件の一週間後のこと。そう、合唱コンクール当日である。
柳井「あわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」
「フッ」
柳井「おっ!渡先生全然緊張してn」
「あわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」
柳井「ありゃりゃ」
「本っっ当に嫌だ...よくよく考えたら歌うまいとか関係ないねこれ...」
柳井「大衆の前でどれだけ歌えるかですよねぇ」
やはり緊張感というのは半端な実力に反比例することはないようだ。
1組、4組、5組、2組、
そして3組の順番だ。
つまりトリは我らが3組。
ハードルが板チョコを3枚食べた直後の血糖値くらい高いわけだが...
まぁ、大丈夫だろう。大人数の前で歌うだけ。
大人数の前で声を出すだけ。
「いや割りきれるかぁ!」
柳井「うわびっくりしたなんですか急にぃ!」
「ごめんごめんなんでもない」
しばらくして、1組の合唱が始まった。
うわぁ上手いなぁ...
柳井「すごい声出てますねぇ」
そういえば言うのを忘れたが、僕と柳井さんは身長が低いため、男女で身長順なら十中八九隣の席になる。
そしてやがて、1組の合唱が終了する。
「あ゛あ゛ぁ゛思ったより上手いぃぃ」
柳井「ちょぉっとねぇこれは世間は許しちゃぁくれやぁせんよぉ」
そして、一番上手いと噂の4組の合唱が始まる。
歌い出しで分かった。
『これは優勝する』と。
なんかプロっぽいこと言っちゃった。
いやはや上手いなぁ
ーーーそしてーーー
2組の合唱が始まった。
3組はステージ脇で待機している。
なんかもうどうでもいいや
ここまでくると吹っ切れて楽しくなってくる。
そして、ふと後ろを振り向く。
柳井さんが居た。
それはそれは緊張で目が泳いだ。
そんな柳井さんが居た。
「ブッw」
あまり笑うのは良くないが、思わず吹き出してしまう。
柳井「あわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」
クラスメイト「柳井ちゃん大丈夫?」
柳井「うぅんぬあ大丈夫」
クラスメイト「うんぬあ...?」
うんぬあ...?
そして、2組の合唱曲はクライマックスへと向かう。
終わった。
2組の合唱が終わった。
とうとう完全に逃げ場がなくなり、それと同時に余裕もなくなる。
やり場のない不安感が、僕の緊張を煽る。
幕が閉まったステージ
幕が開いた視点を想像してしまう。
しかし、無情にも体育館に設置された大きなスピーカーからは生徒会副会長兼ナレーターの進行のためのセリフが聞こえてくる。
ナレーター「2学年最後の組となります。それでは、二年三組の皆さん、お願いします。」
幕が、ゆっくりと僕の視界を広げていく。
終わった。
歌い終わったのだ。
やった、やったんだ!
やったあぁぁ!
ーー投票終了ーー
ナレーター「さぁ、投票が終了しました。」
ナレーター「それでは、TOP3を発表します。」
ナレーター「第3位は!」
デレレレレレレレデデン!
ナレーター「1組です!!」
拍手喝采が体育館全体を包む。
ナレーター「続いて、第2位の発表です。」
デレレレレレレレデデン!
ナレーター「3組です!!」
「おぉぉ、2位かぁ」
柳井「ヤッター!!」
柳井さんは腕を目一杯上に挙げ、結果を喜んでいた。
それを横で見ていると、柳井さんと目が合う。
そして、少し恥ずかしそうに僕に笑いかける。
僕はそれに対して、何故か上手く返事が出来なかった。
そんな自分に疑問を持ちつつ、目を泳がせていると、柳井さんは自分の顔くらいの高さに手をかざした。
僕はそれに便乗し、パンッ!と、柳井さんとハイタッチをした。
ちなみに、第1位は4組だった。まぁかなり妥当な結果になったのではないだろうか。
こうして、僕らの合唱コンクールは、文字通り幕を閉じたのだった。
いやぁ、合唱コンクール終わっちゃいましたねぇ。
緊張している心情を表現するのって難しいですねぇ。




