表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/108

92話 帰宅後

 みんなで昼食を摂ってから弟も含め家族が無事日本に帰り、魔法を解除したドアの前でため息をついてしまったのは、仕方のないことだと思います……慌ただしかった。

「……リオウ」

 振り返ろうとしたところを、後ろからディーに抱きすくめられる。

 大きなディーの体だから、わたしなんかはすっぽりと納まってしまう。

「そういえば、ディー、仕事はどうしたんですか?」

 顔を上げて直ぐ近くにあるディーを見上げると、唇に触れるだけのキスが落とされた。




「今日は仕事を中抜けして様子を見に来ただけだ。 無事にシューヤを連れ戻せたならそれでいい」

 わたしがちゃんと秀也を連れ戻せるかどうかを確認しに来たってことか。

 あれ? でも…。

「ディー、イライアさんに秀也のおり頼んでたんですよね?」

「ああ、ロットバルド隊長(※六番隊隊長)に手配してもらった」

 じゃあ確認なんて要らないんじゃ?

 仕事の中抜けだというだけあって、ディーは直ぐに席を立ち玄関へ向かった。

「リオウ、当分の間、王宮での仕事はいい」

「…突然なんですか?」

「あと、イストーラには行くな。 カディのところへもだ」

 一方的に言われ戸惑うわたしを残し、ディーは王宮へと戻っていった。



 イストーラは……情勢がまだ不安定なんだろう。

 いくら悪い人たちは捕まえたからって、直ぐに何もかも良くなるなんて事はないだろうし。

 あちらの国は、随分と荒れているらしいから、国を回復させるのはとても大変だろうし。




 ぼんやりと空を見上げる。

 日本と同じ、青い空に白い雲が浮かんでいた。



 この空は、日本へは続いていないけど、イストーラには続いている。

 楓もこの抜けるような空を見ているのかな。


 そういえば、わたしはこの世界で生きることに決めたけど、楓はどうなんだろう?

 楓も居てくれたら心強いけど、楓の家族がウチの家族みたいに変わ…おおらかな性格だとは限らないし……確か、楓の実家ってお医者さん、だったような……。


 もう何日も、こっちに居るけど、大丈夫なんだろうか。

 それとも、どうにかして行き来してるんだろうか?


 秀也のことばっかりで気にしてなかったけど、なんだか問題のあるイストーラに楓を一人残してきて良かったんだろうか。



 気になる。


 でも、ディーに釘を刺されてるし……。




 空を見上げれば、上空の風は強いのか白い雲が形を変えながら流されていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ