73話 扉
72話から飛んでいる風な始まりです、申し訳ない。
上手く繋げられんかった、です(´・ω・`)
――― 恐ろしい程 中略 アレから一昼夜経過しました
えぇ、色々と……気づけば経過してしまいました ―――
誤解を解けたのは良かったんです、ケド。
要らぬ(?)誤解まで解けてしまって。
わたしがこの世界での成人年齢に楽々達していると知ったディーは、ディーは…、ディーはぁぁああ!! ……手加減を一切しなくなりました。
orz
結果を申し上げますと、晴れて恋人同……じゃないな…。
あぁ、上手く誤魔化せないので、端的に言いますと。
ベッド(板だけど)に押し倒されて、あんなことや、こんな事をされてしまい…それも、何回も! ハジメテなのに、ハジメテなのに!! その上、避妊具なんか無いこの世界なので勿論っ!! ぎゃーぁぁぁ!!
もっとも、ディーには避妊などという選択肢は無いようで、というか、作る気満々デスよ。
そんなわけで。
もしもできてたら、このままこちらの世界に残留確定、ディーの嫁。
できてなかったら、一度向こうに戻り高校を卒業した後、もう一度こっちに帰ってきてディーの嫁。
……うん、まぁ、ディー以上にわたしの事を好きになってくれる物好きなんて居ないだろうし。
腹を括ってもいいかな、と。
でもとりあえず、両親に無事は知らせたいし、イストーラと繋がりのあるらしい楓と連絡をとってみたいということで、ちゃららら~んと”どぉこでもぅどあー”!
まるっと一昼夜潰してしまったので(遠い目)、今はもう夕方だし、楓のところにドアを出しても問題ないだろう。
部屋の中も大量の水で大掃除したし(やんごとない事情なので、なぜ水で掃除したのかは追及しないで欲しい)綺麗に乾燥させて空気もスッキリさわやか!
小屋に1ヵ所だけあるドアの前に立つ。
斜め後ろにはディーが仁王立ちし、わたしを見守ってくれている。
胸に手を当て、深呼吸してドアをイメージする。
手を前に突き出し小指から握りこむ。
「”扉よ、繋げよ”」
手のひらをドアにあて、ドアが異界を繋ぐイメージを送り込む。
「木下 楓」
繋げたい場所を宣言してドアを押し開ける。
「良子っ!!!」
開けた途端、ぶつかるように小柄な体がしがみついてきた。
「楓!」
わたしも楓の体を抱きしめる。
そのわたしを後ろでディーが支える。
「くっつくな」
べりっと引き剥がされる。
「ちょっと!! 感動の再会に水を差さないでよっ!!」
「私のリオウだ、私の許可無く触れないでもらおうか」
「わたしのってどういうことよ!? ちょっと良子っ! って、うっきゃあぁぁぁぁあああ!!!」
え? え? え??
わたしをガン見した楓が。
orz....こうなりました。
どういうこと?
「………ナンテコト…」
「か、楓サン? どうした?」
楓の傍にしゃがみ込んで、顔を覗き込むと、ぐりんと楓がこっちを見た。
そして、急に立ち上がった楓に部屋の隅に引っ張られ、楓が目でディーを牽制しつつ、内緒話。
「良子、あなた、あの人の事好きなの!?」(小声)
「ほ、は? はぁぁぁああ!? な!? 何言ってらっしゃるんですかぁ!!!」(動揺)
あわあわと大声出したわたしの口が楓の手で塞がれる。
「…顔、真っ赤よ? まぁ、それが答えなのよねー」
「こ、こ、答えって!?」
焦るわたしに、むふふふ、と楓がにんまりと笑い、わたしの首元を数箇所指先でトントンとつつく。
「キスマーク、派手なのついてるわよ? 独占欲丸出しの」
「キ、キ、キ、キ……っ!?」
慌てて首を両手でカバーし、絶句する。
きすまーく!? そ、そ、そういえば、なんか、執拗にちゅうちゅうされた気がする! く、首だけじゃないけどっ!! あああぁぁぁぁぁっ、もぉぉぉっ!!!!
恥ずかしさのあまり部屋の隅で小さくなって悶絶しているわたしを置いて、楓はディーの傍へツカツカと寄っていった。
「良子のこと、押し倒したでしょ」
「………」
「同意を得る前に、コトに及んだでしょ」
「………」
「で、良子は最終的に全部許したでしょ」
「……なんなんだ、お前は」
「良子が押しに弱いのわかってて、したわね」
ディーと楓が睨みあっているのに気づき、慌てて部屋の隅を離れる。
「ど、どうしたの? 二人とも?」
「なんでもないわ、ちょっと話し合い」
穏便な話し合いじゃないのは、顔を見たらわかるけど…。
あまり触れないほうがいいのかな。
「あ、そうだ、コレ、解除しておかないとね」
そう言って、楓はまだ半開きのドアの前に立ち、額に右手の指先をあて、その手をスッと胸の位置まで下ろしてからその手をドアに向けた。
「”解除”」
すると今まで楓の部屋に繋がっていたドアの向こうが、一瞬にして暗い森の景色になった。
楓は一瞬ぱちくりと、その黒目がちの大きな目を瞬かせ驚いたようだったが、魔法の効果に納得したように一つ頷いて右手を握り締めていた。
えぇと、とりあえず一度向こうに戻って、両親に生存を伝えようと思ってたんですが。
ぽかんとするわたしに気づいた楓が首を傾げる。
「どうしたの? ああ、ドアならまたいつでも繋げられるわよ。 それより、あっちからご飯持ってきたから食べましょ」
楓は窓に”遮光”の魔法を掛けて光を外に漏らさないようにし、部屋の中に程良い”灯り”を点した。
………そんな使い方できるんだ…。
ディーもあまり表情に変化が無いながらも、感心しているようだ。
「ほら、良子も手伝ってよ」
なんだか、キャンプのノリでうきうきしながら荷物を広げている楓に言われて、体を動かす。
てっきりレトルトカレーとか持ってきたのかと思えば、そうじゃなくて白飯に自家製であろうお惣菜…懐かしい和食が、紙皿に乗ってテーブルに並ぶ。
食事をしながら、色々と話をした。
ディーは全く口を開かず、珍しくゆっくりとご飯を食べていた……あまり口にあわなかったのかな。
冒頭が、秘密の72.5話のお陰で飛んでいる感じがします。
力不足なのに、無茶をしました。