72話 誤りを解く
なんっとか! なんとか押しとどめたディーの前に正座で座り、説明する。
1.わたしの故郷はイストーラではありません。
2.わたしの故郷は日本と言って、この世界にはありません。
3.わたしは違う世界から、こっちの世界に来ました。
4.それはわたしの意志ではありません。
5.異世界から来たのには、わたしの友人(?)である木下楓さんが関わってます。
6.楓はイストーラに関係のある人であるらしい。
7.どうやら、わたしは魔法を使い、向こうの世界に帰ることができるようだ。
というような内容を、一生懸命、一生懸命、一生懸命説明しました。
勿論、最初のうちは訝られたけど。
最終的には、納得してくれたようです。
「今までの非常識さや、ありえない魔法の使い方を見ているからな」
そっと髪を撫でられ、強張っていた肩の力を抜くと、体を持ち上げられて膝の上に横向きで座らされた。
膝の上に座ってもまだ上にある、ディーの目を見上げる。
「ディー……ずっと、黙っててごめん」
ディーの目を見続けることができず、視線を落とし、ぎゅっと膝においた拳を握る。
頭上でため息を吐かれ、さらに強く拳を握り締めた。
「…で、どうするんだ。 このまま、魔法でニホンとやらに帰るのか?」
「………」
咄嗟に頷けなかった自分に、戸惑う。
「私はお前に行って欲しくない。 両手を縛り、操駆をできなくして、閉じ込めてしまいたいと思っているんだが……」
え、えぇ!? 監禁宣言!?
びっくりして思わず引きつった顔を上げたわたしに、ディーの苦笑が映る。
「やる気なら、とっくにやっている」
で、ですよねー?
「だが、帰ると即答しなかったということは、この世界に未練があるのだろう? 未練には私も含まれていると、自惚れてもいいか?」
低い声で耳元で囁かれ、頬を寄せられる。
な、な、なんだろう、顔が熱い上に心臓が元気に喚いてるんですけどっ!
「お前が私と共に在ることを決断するならば、私はイストーラからお前を守り抜くことを誓う。 お前を害する全てのものから護ろう」
誓いを立てるように、わたしの手を持ち上げ、その甲に唇をあてる。
その真剣な眼差しにうろたえてしまう。
い、今まで生きてきてこんなに猛アピールされたことなんて無いし。
どうして、ディーみたいな大人の男の人が、わたしみたいな子供にこんなことをするのか判らない。
幼児趣味というにはわたしの歳が行き過ぎてるし、可愛いところなんか無い自覚はあるし、どちらかというと男っぽいし(胸はこれから育つ予定だけど! 育てるつもりだけど!)。
食指の動く要因が無い、と思います!
率直に上記の内容を聞いてみました。
今更、聞かずには居られなかったので。
すると、ディーは少しだけ体を離して、頭の先から足の先までわたしを見て、口元を緩めた。
「お前の事で、厭うところなどひとつも無いな。 いや、一つあげるとするなら、その年齢か? まだ成人の15才に満たないお前を私のモノにする事が出来ないのが、たった一つのお前の汚点だ」
きょとんとして、首を傾げる。
「成人は20才ですよ?」
「……15だ」
じっと顔を見合わせ、背中にたらりと冷や汗が落ちる。
「2年半待てということは、17か?」
「じゅ、じゅうななさい、です……」
12才と誤解してたんですね。
そ、そんなに子供に見えましたか、っていうか、12才を嫁にしようとしてい…いやいや、年齢の話になったのは、告白されてからだから、それは違うか。
いや、しかし、12才…12……。
ぐるぐると12才が回る。
12才はむちゃくちゃ犯罪ですよ、ディー!!!!!
「そうか、17か」
嬉しそうな声と共に、唇に何度も触れるだけのキスが降ってきた。
唇だけじゃなく、頬や額、顔中にキスの雨。
そして、きゅうっと抱きしめられる。
「愛している、リオウ」
かすれたような低い声で囁かれ、背筋がぞくりと震え思わずディーの服を握りしめた。
R18仕様にて72.5話があります。
18才以上でディーとリオウのほにゃららシーンもOKな方はムーンさんでお探しください。