表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/108

68話 vs ジェイ

 馬から下りたジェイさんと、無言でにらみ合う。

 流石だよね、眼力に負けそうだ。


「なぜ逃げた」


 低い声が、不愉快をあらわにしている。

 いつも陽気な雰囲気のジェイさんには似合わないな。


「逃げないほうが可笑しいでしょう」

 あんな目にあわされて、黙ってろって言うほうが無茶だ。

「これは、任務だ」


 言うジェイさんに、冷めた視線を送る。


「誰の? わたしはそんな命令を受けてない」

「俺が昨日、申し伝えたはずだが」

「了承していません」

 気が高揚し、それに触発されるように服の下の鎖が静かに動きだす。


「お前の承諾は求めていない。 任務を遂行しないのなら、それなりの覚悟はあるのだろうな」

 

 一体何が、ジェイさんをここまで”任務”に拘らせるんだろうか。

 それともこれが、”ティス家”がらみ(ディーと同じ情報を持っているなら、ジェイさんも誤解しているだろう)だからなのか。


 どちらにしても、剣を抜いたジェイさんに、何を言っても無駄だろう。


「丸腰の人間に、剣を向けるんですか?」

「それが任務ならば」

 任務、ですか。

「剣を向けるってことは、自分がやられるって覚悟は、勿論あるんですよね」

 言いながら、さっき使った中年兵のナイフを取り出す。

 操駆し、血をその刃に与え、一振りの日本刀を出現させる。

「……出鱈目な魔法だ」

「何とでも言えばいいです」

 刀を正面に構えて、威嚇する。


 ジェイさんが刀に意識を集中させている間に、服の中を通り、ズボンの裾から出した鎖が地中を通り、ジェイさんへと向かう。


「捕縛」

「な、にっ!!!」


 土を巻き上げて現れた鎖に、驚いて咄嗟の判断ができなかったジェイさんは、呆気なくその鎖に身柄を拘束された。


「くそっ!! てめぇ! 卑怯だろうがっ!」

「…先に、丸腰の人間に剣を向けた人に言われたくないですね」


 鎖が器用にくるくるとジェイさんを縛り上げ、荷台にぽいっと乗せて魔法で眠らせる。

 いや、ほんと、いい仕事してくれます、この鎖。



 泥だらけになった鎖を魔法で綺麗にし、また服の下に戻す。



 さて、厄介ごとは取りあえず片付いたし。

 どこでもな、魔法のドアーでも作ろうかな?

 行き先は楓のところで…あ、この時間だと授業中か?

 流石に教室にドアーを出現させるのはまずいよね。

 しずかちゃんの入浴中にドアーを出現させるのび太と同じくらいまずいよね。


 一刻も早く帰りたいけど、まぁ、夜まで待つくらい良いか。

 なんてったって、もう自由の身だし。

 乾物でおなか膨れてるし!



 さて、じゃぁ夜までどうしようか?

 近くの町でも探して、ご飯食べるかなぁ。

 この世界に居るのもあと数時間かと思うと、名残惜しかったりもするな。


 最初に泊まった宿の朝食も美味しかった、あの時はディーの分のスープまで飲んじゃったっけ。

 王都に行くまでに泊まった宿のご飯はどこも美味しくて、王宮の食堂のご飯も、オルティスに分けてもらった夜食も美味しかったなぁ……。

 ああ本当、この世界のご飯って凄く美味しいんだよねぇ。

 ここのご飯、もう食べれなくなっちゃうんだ……。


 それに、こんなに便利で面白い魔法も、こっちの世界じゃないと使えない。



 しんみりしていると。

 ………視界の端に、踊る人発見…。

 よく見ると他にも周囲を剣を手にした人々が居て…すっかり取り囲まれていました。






 ぼんやりするのも程々にせんと……!

  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ