番外 蝋燭が消えるまで
■ 逆お気に入りユーザー100件突破記念 ■
とても嬉しかったので!
調子に乗ってディーとリオウのちょっとした日常を書いてみました。
風呂上りに薄い寝巻きをまとった、眠たげなリオウをソファーに誘って、寝る前の晩酌に付き合わせる。
グラスの中身は冷やした果実酒で、リオウが果実と氷砂糖を酒に浸して作った。
リオウのグラスの中身は、同じ果実から絞ったジュースだ。
同じ色のグラスは、一見するとどちらも同じ飲み物に見える。
氷を沢山入れた濃い目の果汁を、ちびりちびり飲むリオウの口元をデュシュレイは飽きることなく見る。
テーブルに灯してある、仄かなロウソクの明かりが揺らめき、風呂上りのリオウの上気した頬を照らす。
視線に気づいたリオウが、グラスから目を上げデュシュレイを見る。
「どうしたの?」
それには答えず、唇から離れたグラスを取り上げ、テーブルに置くと素早くリオウの唇に唇を寄せる。
先ほどまで冷たいグラスを舐めていたその唇は、ほんのり冷えていて、デュシュレイはその冷気を奪うように唇を塞いだ。
リオウをソファーの背もたれに押し付けるようにして、何度も角度を変えて唇を合わせる。
いつのころからか、少しずつではあるが、舌の動きに応えてくれるようになった。
縮こまっていたリオウの柔らかな舌が、おずおずと伸ばされ、歯列をなぞるデュシュレイの舌をつつき、戯れるように絡まる。
目を閉じ、口腔に意識を集中しているリオウは無防備で、いつもは少年のような雰囲気なのに、柔らかな女の色香をかもしている。
すがりつく事をしないリオウの手に、手を重ね、指を絡めると、拒絶されること無く、受け入れられた。
激しくではなく、優しく。
ゆっくりと、確認するように深く口づけを重ねる。
リオウが付いてこれるように、リオウの感覚を置き去りにしないように注意しながら。
ジジッ…と音がして、ロウソクの炎が消え、部屋に帳が落ちる。
それを合図に。
名残を惜しみ、何度も触れるだけのキスを繰り返しながら唇を離す。
くったりとしたリオウを抱き上げると、気だるげにリオウの両腕が首にまわされる。
デュシュレイはゆっくりとした足取りでリオウの部屋の前まで行く。
「おやすみなさい、ディー」
「ああ」
部屋の前で下ろしたリオウが、部屋に入るのを見届けてから隣の自室に入る。
いつか、彼女が「まだ離れたくない」と手を伸ばし。
”血の盟約”などという建前を必要としないで、口づけを求めてくれるその時を夢見て。
ディー主観なので、リオウから見たらちょっと違うのですが。