4話 応用
体力増強とかの魔法って無いのか…。
現代人の体力を思い知ったよ!
女子高生だから若さでカバー、とか無理!
ちんたら歩いて、休んでの繰り返し。
たっぷりあった水も、もう水筒の半分は飲んでしまった。
太陽が傾いてきてる。
野宿
野性味あふれる単語が脳内にひらめいた…が。
できるだけそれは避けたい。
ここまで歩いてきて、野生の獣とかに遭遇はしていないけど、居ないって保障もない。
夜がどこまで冷えるのかもわからない。
っていうか、野宿ってどうやるの?
テントも無いし、ベッドもないし、毛布も無い。
使えそうな装備は、雨避けの布とナイフ。
うぅむ、魔法で何か作るってのはできんのだろうか…。
テントを出現! とか。
試しに、手を胸に当て、前に突き出し小指から握りこみ。
「”テント!”」
しーん
あ、カラスっぽい鳥の鳴き声がした…むなしくなる。
やっぱ無理かぁ。
本にも、火と水以外に物体を出現させる魔法は書いてなかったし。
胸に手を当て、前に突き出し小指から握りこんだあと、人差し指をぴっと立て。
「”点火”」
っやると、ライターのごとく指先に火が灯る。
それをフッと吹いて消す。
自然現象なら出せるんだけどなぁ。
あと、媒介があれば、あの、ナイフを元にして刀を出現させるときみたいに…。
ぴこーん!
ナイフを胸の前で水平に構え、その先でちょっとだけ指先を傷つけ、その血の出ている手を地面に敷いた雨避け布に当てて、イメージする。
「”1人用テント”」
昔、家族でキャンプに行ったときの、テントを縮小したものを思い出す。
とたん、目の前には、一人用テントが完成されていた。
「や…やったぁ!!」
手を離した途端、それは1枚のごわごわした布に戻りました…orz
「と、とりあえず、手を離さなきゃ大丈夫ってことだよね、うん」
布を折りたたんで袋に押し込む。
見上げた空には星が瞬きだしていた。