33話 メイド 4
「おまえ…ホント、あんなこと言った後で、良く来れるな…っ!」
あれから3日後のオルティス様の部屋で、美味しく夜食をいただいています。
「でも、オルティス様だって、取っておいてくれてるじゃないですか。 ありがとうございますー」
あぁ、今日のご飯も美味しい! ビバ、料理長!!
願わくば、わたしたち下っ端の食事にも力を注いでください!!
満面の笑顔で食事をしていると、重いため息が聞こえる。
気分が不味くなるから、やめて欲しいです。
「…この前、お前が言っていたこと…。 あれが、民の意見なのか?」
ぽつりとオルティス様が零した問いに、首を傾げる。
「さぁ?」
「さぁ、ってお前!」
色めき立つオルティス様に更に逆側に首を傾げてしまう。
「あれは、わたしの意見。 戦争、嫌いですもん。
ニホ…ええと、わたしが産まれた国でもわたしが生まれるより前にね、戦争があってね、沢山の人が死んで、沢山の人が悲しんで、至る所焼け野原になって、人がもがき苦しみながら死んだり、敵に捕まるのを悲観してみんなで自決したり……何人もの人が戦地に送られて、歯を食いしばって戦って、多くの人が帰ってこなかったの。 彼等は何のために、戦ったのかなぁ」
「………わたしならね、命を掛けるなら、家族や大切な人を守るためだなぁ…」
食事の手を止めて、自分の両手を見つめ。
視線を感じて顔を上げる。
「ねぇ、オルティス様は、何になら命、掛けれる?」
結局、オルティス様から答えを得ることは無いまま、部屋を辞した。
士官学校の生徒なら、脊髄反射で”国”って言えなきゃだめじゃないのかなぁ。
歸国を観たり等々ありまして、色々思うところがありましたので、手直ししました。
戦中の悲惨さに撃沈しました・・・、忘れてはいけないことが、たくさんたくさん在ると。 H22.7.15