11話 清清しくない朝
いやぁ! 超快調!!
凄いね、湿布&エアサロ! 筋肉痛もないし、お尻もばっちりです。
いつもの調子で、目覚めと同時に起き上がり、背伸びをする。
昨日は夕飯も食べずに早々に寝てしまったから、かなり早い時間に目が覚めてしまったみたいだ。
それでも、鎧窓の隙間から差し込む光は、まだきつくはないけど、時間の問題だろう。
やっぱり、早起きはいいねぇ。
ベッドから下りて、ゆっくりと窓を開くと、清清しい空気が部屋に流れ込んでくる。
「ん……むぅ」
ごそりと身じろぐ気配がして、不機嫌そうな声が聞こえ、びくりと手が止まる。
朝の光が入った室内の、わたしが寝ていたベッドと反対の位置に置かれていたベッドから、のそりと起き上がったのは、隊長だった。
あわてて、窓を閉める。
「すみません、まだ早い時間っぽいので、どうぞもう一眠りしてください」
「…いや」
狭い部屋なので、ベッドから数歩で窓へ来た隊長が、わたしが閉めかけていた窓を押し開く。
大きな体躯で、わたし越しに窓を開けるもんだから、ちょっと接近しすぎですよ隊長!!
さらに、そこでくつろがないでください! 窓の桟に手をついて(その腕の間には、小さく縮こまったわたし)外の空気を堪能しないでください。
居た堪れなくなり、思いついた質問を口にする。
「あ、あの、なぜわたしと隊長が同じ部屋なんでしょう…」
普通なら部下であるジェイさん辺りとわたしが同室で、隊長は悠々一人部屋ってもんじゃないのかなぁ。
半身を向けて見上げると、見下ろす隊長と目があった。
「…気にするな」
気になりますって…orz
困って眉根を寄せたわたしを暫く見ていたが、思いついたようにわたしの顎を指先で摘み、上向かされた。
「ん……っ!!!」
わたしの馬鹿。
前回もそうだったじゃないか、なぜ、気づかない!!
隊長が合わせてくる唇から逃げようと一生懸命体を捩るが、背中に回った屈強な腕がそれを許さない。
やめてよ! と言いかけたせいで、開いた歯列を割って隊長の舌がわたしの口腔に滑り込む。
前回よりもずっと、ねっとりと濃厚に口腔を弄られ、足腰から力が抜けるけれども、隊長の屈強な腕がへたり込むのを許さない。
唾液を送り込まれ、おびえて縮こまる舌を絡められ、唾液を吸い上げられる。
やっと唇が開放されて、いつの間にか閉じてしまっていた目を開けると、唇と唇の間に引いた唾液の糸を、隊長の(艶かしいほど)赤い舌が舐め取るのを直視してしまって、爆死しました。
あぁ、清清しい朝の空気が、一遍に淀んでしまった…。