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97話 自宅待機

 楓のところから帰ってきて数日、大人しくしていますとも。


 なんでか判りませんが、お城へ仕事にいかなくて良いという命令が出てますから!

 はっはっはー、コレでまた数字関係の書類が溜まりますね! orz


 秀也のことも片付いて、かなり気分が軽くなったし!

 楓のことは……彼女がわたしの助けを求めてきたときに手を貸す。

 そもそも、楓はわたしよりもずっと頭が良いわけで(国立医大目指すくらい)わたしが色々悩むよりきっともっと色んな事を考えて行動してると思うのですよ。


 そんなわけでー。

 最近は、実家から取り寄せたお菓子や料理のレシピと格闘してます。

 アイラブ、クック○ッド!

 時々外れもあるけどね!

 検索ワードの頭にはかならず”簡単”を入れてもらってるけどね!


 今日は南瓜プリンですよ。

 すっかり秋めいてきて、ご飯が美味しい季節になりました。

 炊き込みご飯が食べたいのですが、こちらは主食がパンなので(米飯がない)実家から米を貰ってこようかと計画中です。


 昨日こっそり様子を見に行った例の温泉村で、おばあちゃんから大き目の南瓜を2つも貰ったので、それを全部使って作ってます。

 ゼラチンが無かったので、ゼラチン無しで作れるレシピを秀也に届けてもらって。


 テーブルの上には、大小ばらばらなサイズの容器に蒸しあがった南瓜プリンが。


 明日ディーに王宮しごとばに持って行ってもらう分は現状維持の魔法を掛けた戸棚へしまい、実家の分は同じく現状維持の魔法を掛けたカゴの中に入れる、ふっふっふ、熱々を食べてもらおうじゃないですか。

 今日食べる分は荒熱が取れてから冷蔵箱へ入れて冷やしておく。


 そして、どんぶりサイズの器に作った南瓜プリンを前に合掌。

「いただきます!」

 いや、味見だから! うん!


 秋だからかな? 最近更に食欲が増してきてねー。

 いくら食べても太らないのは、やっぱり魔術師の体質ってやつなのかな!(超燃費が悪いってことだね)



 スプーンですくって、はふはふしながら食べていると、台所のドアがゆっくりと開かれ、ドアの向こうには見知った居間ではなく、病院をイメージさせる白い部屋で……ドアの前には、頬を涙で濡らし続ける楓が立っていた。




 ふらつく足取りで敷居をまたいだ楓に慌てて駆け寄り、倒れこんできた彼女を抱きとめる。


「”解除”」

 楓はドアを抜けると同時に扉を解除した。

 一瞬楓の肩越しに見えたドアの向こうには、何台ものベッドが有り、白いシーツは血で濡れていた。



 ぎゅっと楓を抱きしめる。


「……本当は…、助けたかったのに……。 助けるために、私の力はあるはずなのに…。 どうして? どうして、奪うしかできないの!?」


 きついくらいに抱きしめられる。

 嗚咽を漏らす楓の背中を、ゆっくりと何度も撫でる。






 楓の涙が止まるまで、そうして抱きしめていた。



 

 

 

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