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1話 強制移動

「ぃーやぁんっ!! リョウくん素敵ぃっ」

 良君ではなく、良子リョウコです。


 がしがし、写メをとられまくっているのは、あれです。

 学校祭でやったクラス演劇の、男役の衣装が、妙に力作で。

 実際は身長160センチ弱、体重も55キロ程度の普通サイズの女子高生なのですが。


「リョーくんカッコいー!!」

 困った顔で、苦笑すると、その瞬間もフラッシュの嵐。

 なんだろう…これが女子高のノリってやつなのかなぁ。

 高2になってから転校してこの学校に入って、1年弱だけど、いまだにこのノリについていけなくなるときがある。

 だから、あまり他の女の子とも会話が合わず、図書室から本を借りて読んでることが多い。

 最近知ったが、その他人に無頓着な雰囲気が『クール』だと、一部からうけているということだ。


「これで、良くんの人気は不動のものになったわね」

「委員長…」

 取り囲んでいた女生徒たちを、やんわりと退けて救出してくれたのは、クラス委員長である木下さんで、この度わたしにこんな役どころを与えてくれた張本人で、更に言うと、この派手ではないがストイックでカッコいい騎士衣装を用意したのも彼女だ。

 木下さんは人気ひとけの無い場所で、そんなわたしの格好をひとしきり見て、何度もうなづいてから、近くの空き教室からなにやらごそごそと荷物を取り出してきた。

「はい、良くん」

 皮でできた、頑丈そうだけど無装飾で色気のひとつもないその荷物をボスンと手渡される。

「は?」

「水と3日分の携帯食料。あとサバイバル用のナイフ、雨避け用の布および…これが一番重要なのですが、『誰でもできる簡易魔法書』が入ってるから」

「はぁ?」

「とりあえず、イストーラって言う国に行ってね。 イストーラよ? 間違っても、イフェストニアにはいかないでね!」

「いふぇすとにあ?」

「そこは行かないで! あ!」

 後半は早口で、理解できぬまま、目前に居たはずの委員長が消えうせた。



++++++++++++++++++++++++++++



 うみょ~ん


 ぬみゅ~ん


 ぬるるる~ん



 そんな擬音がしそうなところを通って、わたしは見渡す限り新緑の森の、舗装されていない幅広な獣道に立っていた。


「は?」


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