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第60話 帰還

 深夜、僕たちは戦いを終えて、自宅へと帰ってきた。玄関の前に見知った女の子が立っている。


「……おかえりなさい。ですわ……」


 真剣な顔をしたピャーねぇがそこにいた。ピャーねぇには、今夜、マーダスと戦うと伝えていた。もちろん、「わたくしも戦います!」と言い出したけど、許可しなかった。

 ギフト授与式前に問題を起こせばピャーねぇの立場が危うくなるし、シューネの授与も取り消しになるかもしれない、と説得したのだ。シューネにも待機を命じたが、自分の兄のことだし、遠目で見るだけだという話にして、許すということにした。ピャーねぇの前では。

 実際には、シューネに僕の能力のことはバレていたので、能力について詳しく説明し裏組織の仲間として同行を許可していた。だから、1人家に残されたピャーねぇは、僕たちが戦ってる間、不安で不安で仕方なかったと思う。


 たぶん、ずっとここで待ってたんだ。


 それをわかったうえで、「ただいま」と、僕はいつもの声色を心掛けて、姉さんに返事をする。


「みなさん、ご無事、ですのね?」


「うん。セーレンさんのおかげでね」


「……結果は、どうなりましたの?」


 不安そうに質問をするピャーねぇ。


「僕たちが勝ったよ」


「それは……ジュナ……殺したんですの?」


 怯えるように、重ねて質問された。


「ううん。シューネが止めてくれた。殺してないよ。深手はおわせたけど」


「そう、ですか……」


 ピャーねぇは、胸に手をあて息を吐く。僕が人を殺していない、という事実を知って安心したようだ。


「シューネ、よく止めてくださいました」


「いえ、そんな、わたしはなにも……」


「ジュナ、シューネいらっしゃい」


 僕たちは2人して、姉さんに近づく。


「2人ともよく頑張りましたね」


 ピャーねぇが僕たちを優しく抱きしめてくれる。


「お姉様……」

「うん、ありがと、ピャーねぇ」


 それからピャーねぇは、ディセとセッテも抱きしめて、カリンとセーレンさんに頭を下げた。


 今回の作戦では、実力者のカリンがメインで戦って、セーレンさんの治癒魔法を最大限に活かしたゾンビ戦法で戦うと伝えてあった。だから、ピャーねぇはこの2人が最大の功労者だと思っている。


 ピャーねぇは、まだ僕の力を知らない。

 まだ、まだ言わなくていい。そう心の中で言い聞かせて、僕たちはみんなで玄関のドアをくぐった。



 ざわざわざわ。

 マーダスを倒してから1ヶ月後のギフト授与式当日、会場の観客たちは、隠そうともせず、ある男のことを噂していた。


「あの手……ボルケルノ家の長男殿はどうしたのだ……」

「趣味の人斬りで失敗したとか……」

「ふ、戯れが過ぎたようだな」


 多くの貴族たちが、高名貴族の落ちぶれた姿を見て、笑みを浮かべていた。気持ちの悪い奴らだ。そいつらの目線の先、そこには、ギフト授与式が始まるのを座って待っているマーダス・ボルケルノがいた。両手を失い、包帯を巻いたあいつは、イラついた表情で貧乏ゆすりしながら、祭壇の方を見ていた。『早く始まれ』あいつの素振りは、そう言ってるように見えた。スキルさえ授かれば、立場が良くなる。それに腕も治療させられる。そう思ってるのかもしれない。


 僕としては、「おまえにプライドはないのか?」と言いたいところだ。僕に負けたら、ギフト授与式には無断欠席する、そういう約束だっただろう?でも、別にいいさ。おまえは自分の首を自分で締めにきたんだ。


 僕は、いつもの2階席で、手すり越しにあいつを見下ろしていた。そして、その後ろの少女のことも。

 シューネは、緊張した顔で、兄の後ろに座っていた。

 がんばれ、キミなら大丈夫だ。


 そして、ギフト授与式がはじまる。

「面白かった!」


「ヒロイン可愛い!」


「今後どうなるのっ……!」


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