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第49話 謎の手紙

 スラム街から出て、なんとか自宅まで帰ってくることができ、玄関を入ったところで一息つく。


「なんなんだあいつは……うっ!……」


 僕はさっきの光景を思い出し、吐き気を覚え自分の口をおさえた。

 悪意を持って人が殺されるところを見たからだろう。人が斬り刻まれていく姿、そして恐怖に怯える表情が頭から離れない。


「ご主人様、深呼吸です。落ち着いて」


 僕の背中をカリンがさすってくれる。


「ご、ごめん……ありがとう……」


「いえ」


「ディセ、セッテ、大丈夫?」


「ディ、ディセは……大丈夫です……」

「セッテこわい……」


 ディセが強がっているのはすぐにわかった。セッテは素直に気持ちを教えてくれる。


「だよね……2人ともこっちに」


 僕は2人の手をとって握る。2人とも両手を重ねて握り返してくれた。ぷるぷると震えている。


「……予想はしてたけど……この前の人斬り事件もあいつの仕業だったのか……」


「そうでしょうね。それに、あの顔……あいつはまた人を殺します。今日だけじゃ止まりません」


 カリンが恐ろしいことを口にする。


「それは、経験からくる予想?」


「はい。あの男の顔は快楽殺人者のそれでした」


「そうか……ふぅ……とりあえず、リビングで落ち着こうか」


「はい……」

「うん……」


 僕は、ディセとセッテの手を引いてリビングに向かう。


「僕がお茶をいれるよ。みんなはソファで座ってて」


「ありがとうございます……」

「うん……ありがと、ジュナ様」


「……ご主人様」


「なに?」


 台所に向かおうとしていたが、カリンに呼ばれ振り返る。


「こちらを、ご覧ください……」


 難しい顔をしたカリンがダイニングテーブルの上をみて、立ちすくんでいた。

 なんだろう?僕はカリンの横まで歩いていく。


「な!?なんだこれ!」


 ダイニングテーブルには、1通の便箋が置いてあった。


 そこには、こう書いてある。


-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

ジュナリュシア・キーブレス殿

 もし、才能豊かな者をお探しでしたら、マーダス・ボルケルノを調べるといいですよ。

                                   名無しより

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


「誰がこんなものを……」


「この家に侵入して手紙を置くこと自体は、さして難しくはないでしょう」


 カリンが冷静な声で答えてくれる。


「それはそうかもだけど……」


 問題はそこじゃない。


「なんでこの人……ディセたちの目的を知ってるのでしょうか……」


 そう、それだ。


「確認だけど、外でマーダスやシューネの話なんて、してないよね?」


 みんながコクコクと頷く。


「だよね」


 そんなヘマ、みんながするはずが無かった。


「そうなると、誰かのスキルによるものだと考えられますね」


「それしかないか……たとえば、心を読む、みたいなスキルの持ち主とか……そんなスキルを持つ貴族なんていたっけ?」


「私が把握してる限りではおりません」


「ディセも知りません。主要な貴族のスキルは全部覚えてますが、そんな人はいないはずです」


「そうか……次から次へとなんなんだ……」


 マーダス・ボルケルノの惨殺事件。そして、僕たちの目的を知ってる謎の人物からの手紙。立て続けに問題が押し寄せてきて、頭が痛くなる。


「ご主人様、一つずつ整理しましょう」


「そうだね。まず、マーダスのやつだけど、あいつのことはもう放っておけない。これ以上被害者が出る前になんとか止めたい。少なくとも、あんなやつがスキルを授与するのは絶対止めないといけない」


「かしこまりました。では、マーダスの才能を奪う。これを当面の目標としましょう。その上で、あいつに深手を負わせれればラッキー、できなければ才能だけ奪って撤退、こちらでどうでしょうか?」


「うん。それでいいと思う」


「じゃあ、このお手紙は?」


 セッテが謎の人物からの手紙を手に取る。


「それは……信憑性もないし、誰からの手紙なのかもわからない。基本は無視でいいと思う」


「ですね。ディセもそう思います」


「しかし、ある意味ですが、一つ目の課題に取り組めば、この手紙の信憑性も確かめられますね」


「うん。マーダスの才能を奪ったとき、もし、あいつの鍵が、金か、虹だったりしたら、この手紙の持ち主は、他人の才能のランクを調べる力があることになる。そういったスキルの貴族は?」


「王国に登録されている人物の中にはいません。登録されているのは、発現したスキルの種類とランクを測定できる人物だけ、それも1人だけです」


 ギフト授与式で水晶を持っていた爺さんのことを思い出す。そうか、スキル鑑定もレアスキルだったな。


「なるほど。つまり、この手紙の人物は、心を読むようなスキルと才能のランクを量るスキルを持っている可能性がある、ということになるね」


「それか、複数名の可能性もあります」


「そうか、そうだよね。2つのスキルを同時に持ってるよりも、その方がありえるか。どちらにしろ不気味なやつらだ」


「手紙の主については警戒しつつ、基本的には無視ということでよろしいでしょうか?」


「うん、そうだね。とにかく、まずはマーダスのやつをどうにかしよう。これから、僕が考えたマーダスと戦う計画を話す。みんなにもたくさん苦労をかけることになるけど、頑張ってほしい」


「もちろんです」

「はい!お任せください!」

「セッテがんばる!」


 ということで、僕はマーダスを倒す作戦についてみんなに話し出した。


 このときの僕たちは、2つの問題が同時に押し寄せてきたことで警戒が足りてなかったんだろう。諜報活動が得意なカリンだって、気づいていなかったんだ。台所に、白い髪の女の子が潜んでいたことなんて。

「面白かった!」


「ヒロイン可愛い!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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