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第39話 呪われた子

「シューネ、これも食べなさいな」


「あ、ありがとうございます……ピアーチェス様……」


「もう!わたくしのことは呼び捨てでいいとおっしゃってますのに!」


 僕は、ピャーねぇとシューネ嬢と一緒に湖畔でピクニックをしていた。水辺のほとりにシート引いて、お茶菓子を広げている。さっきから、ピャーねぇはシューネさんにつきっきりで、すごく甘やかしていた。


「わたくし、妹ができたみたいで嬉しいですわ!」


「妹……わたしなんかが、ピアーチェス様の妹だなんて……」


 ニコニコのピャーねぇに対してシューネさんは縮こまって恐縮そうにしていた。そんな2人を眺めながら話しかける。


「随分仲良くなったみたいですね、ピャーねぇ」


 僕は平常心で話しかけたつもりだったのだが、どこかいつもと声色が違っていたのかもしれない。まぁ、ようするに、2人が仲良さそうにしているのをみてムっとしていたのだ。


「あら?あらあら!もしかして嫉妬ですの!なんて可愛いのかしら!おいでなさい!」


 僕の声色にすぐに気づいたピャーねぇが抱きついてこようとしたので、僕は身体をそらしてそれを避ける。


「あぁん!いけずですわ!」


 抱き着くのに失敗したピャーねぇが僕の膝の上に転がる形になり、ピャーパイが膝に押しつけられて大変気まずい気持ちになる。たわわに育ちよってからに……


「……どいてください」


「やっぱり嫉妬してますわ!最近はデレ期でしたのに!またツンツンしてますもの!」


「デレてませんし、嫉妬もしてません。ところで、あれからボルケルノ家から何か連絡はきてませんか?シューネさんを返せとかどうとか」


「いえ?特にありませんわよ?」


「うーむ?」


 ボルケルノ家には5人の子どもがいる。シューネさんはそこの末っ子で、唯一の女の子だそうだ。跡取りは男という文化の国だから、シューネさんのことをあまり重要視していないのだろうか?僕が首を傾げていると、シューネさんがしょんぼりしながら口を開いた。


「わたしなんか……お父様もお兄様も、興味はありません……」


「そうなんですか?んーでも、それならそれでいいのかも。ピャーねぇのもとにいれば虐待されることもないですし」


「でも……わたしみたいな呪われた子が近くにいたら……ピアーチェス様も不幸になります……やっぱり、帰った方が……」


「呪われた子?」


「シューネ!何度も言ったではありませんか!それはあなたの家族が言ってるだけで、なんの確証もありません!あなたは呪われてなんていません!」


「でも……この髪も……目も……」


 彼女の髪を見る。白くてサラサラな髪だ。髪の裏側が赤いので異世界特有の雰囲気ではあるが、綺麗だと思う。目は、長い前髪に隠れていて見えないのでよくわからない。どちらにしろ、呪われている要素を把握することはできなかった。


「髪と目がどうかしたんですか?」


「……」


 僕が尋ねるとシューネさんは、しゅんとなり黙り込んでしまう。自分からあまり語りたいことではないようだ。


「シューネ、わたくしから話してもよろしくて?」


「……はい」


「ジュナ、ボルケルノ家の一族の髪と目の色は知ってるかしら?」


「えーと?たしか、赤髪、赤目だった気が……」


 僕はマーダスと次男のことを思い出しながら回答した。


「そうですわね。ボルケルノ家は代々、そういった容姿の特徴がありますの。でも、シューネは……」


「白髪で、目の色も違うという話ですか?」


「ええ……」


「……」


 ピャーねぇは同情しながらシューネさんの肩を抱き、シューネさんはしゅんとしている。


「それがなんだっていうんですか?」


「え?」


 シューネさんが顔をあげて僕のことを見た。


「だって、髪や目の色なんてその人の個性ですし、それが親兄弟と違うからって呪われた子なんて言うのはおかしいですよ」


「ジュナリュシア様……」


「さすがジュナですわ!ジュナならそう言ってくれると思ってましたの!」


 僕のことを2人がキラキラした目で見る。


「でも……わたしは……」


 しかし、シューネさんは、僕の言葉が信じれないのか、また下を向いてしまった。

 だから、僕自身のことも話すことにする。言葉だけじゃない、そう思って欲しかったから。


「……それに、僕もキーブレス王家なのに銀髪なんですよね。銀髪だからスキル無しなんじゃ?とか。呪われてるのでは?とか言われた覚えがあります」


「ジュナリュシア様も……」


「ええ。でも、僕はそんな他人の心無い発言は気にしません。シューネさんも気にする必要ありませんよ」


「ジュナリュシア様は……お強いですね……わたしは……」


「うーん?じゃあ、同じ境遇のシューネさんも強くなれますよ」


「わ、わたしも?」


「ええ、きっとなれます」


「わたし……」


「うふふ、ジュナはとっても素敵な言葉を紡ぎますわ」


「そんな大したこと言ってませんよ」


「いいえ、そんなことありません。ねぇ?シューネ?わたくしの可愛い弟は、言った通り、素晴らしい人でしょう?」


「はい……ピアーチェス様……わたしも、そう、思います……」


 2人に褒められて、気まずくなる。僕はポリポリと頬をかいて目をそらした。


「うふふ。もう大丈夫ですわね!わたくし安心したらちょっとお花を摘みたくなりましたの!ジュナ!シューネ!しばらく2人で仲を深めてくださいまし!わたくしの可愛い弟と妹なのですから!仲良しになるべきですわ!」


 ピャーねぇは言い終えると同時に立ち上がり、靴を履いて駆けていく。僕とシューネさんはその場に残されてふたりっきりにされてしまった。

「面白かった!」


「ヒロイン可愛い!」


「今後どうなるのっ……!」


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