第29話 アサシンメイドの夜のマッサージ
次の日から僕は、王城内や城下町に出て、首都に住む貴族や騎士団の人物の調査を始めた。
遠目から見るだけでは深いところまではわからないが、ピャーねぇがギフト授与候補者を選ぶときの観点を真似して観察してみる。国民に対して横柄な態度をとっていないか、無駄に煌びやかな装飾をして税金を食い物にしていないか、などの観点だ。
すると、予想はしていたが、何人見てもロクな奴はいない日々が続くことになる。
「クズしかいないのか……この国の貴族には……」
「ご心労お察しします。少しお休みになられてはどうでしょうか?」
「あぁうん。ありがと」
就寝する前、自室の机で頭を抱えていたら、カリンが暖かいお茶を淹れてくれた。
「もしよろしければ、カリンがご主人様を癒やして差し上げます」
「んー?どういう意味?」
「マッサージを少々……」
「なるほど〜。じゃあ、お願いしようかな」
僕は疲れ切った頭を働かせず、安易に了承してしまう。後ろに立つ僕の従者がニンマリしているのに気づかないほどには、ボーッとしていた。
「……ボー……」
「ご主人様、準備が出来ましたので、ベッドの方にどうぞ」
「ああ、うん……」
僕は言われるがままベッドに向かい、うつ伏せになった。
「ご主人様、仰向けでお願いします」
「ああ、うん……ん?仰向け?」
僕の頭が働いたのは、マッサージなのに仰向けと指示され、ゴロンと寝返りをうったあとだった。
「それでは失礼します」
「はい?」
僕の上に、ニンマリとしたカリンがまたがってきた僕がカリンのために特注したミニスカメイド服を着た姿でだ。絶対領域から覗くおみ足がまぶしい。
「……なにしてるの?」
「マッサージです」
すりすり。言いながら、妖艶に腰を揺らすカリン。
「やめなさい!はしたない!」
僕はバッと立ち上がろうと身体を動かす。
「ああ!そんなに動かれては!ああ!ご主人様ー!」
「ぐっ!」
僕が抵抗を見せると、これ見よがしに艶やかな声を出してくるカリン。
「ふふ……」
その瞳は肉食獣のそれであった。
「マッサージ……なんだよね?」
「はい、マッサージです」
「……それ以上のことしたら、ほんとに怒るからね?」
「はい、心得ております……たぶん」
「たぶん?」
「それでは失礼します」
最後に不穏なことを口走ったカリンは、わきわきと両手を動かしながら僕の肩を揉み出した。
「お、意外と気持ちいい」
「ありがとうございます、ふふふ……」
舌なめずりしながら笑っているカリンが気になるが、マッサージ自体の腕前はすごく上手だった。だから、なんだか眠くなってきてしまう。
「……ねむい」
「ふふ……」
僕が呟くとカリンが身体を倒して耳元で話しかけてくる。
「ご主人様……ねんね、しましょうね……いいこいいこ」
「……子どもじゃ、ない……うぅ……」
「ふふ、かわい♡」
僕が目を開けて最後に見たカリンの目は、ハートマークになっていたような気がしたが、それを確かめるすべは僕にはなかった。
「ぐぅ……」
「ふふ……ほんとに眠っていただけるなんて……よっぽどお疲れだったんですね。普段はしっかりしてるのに、私たちには本当に無防備なご主人様。……いつも、頑張ってくれて、ありがとうございます。……ちゅ♡」
カリンが何か言ってるような気がしたが、意識が薄れきった僕には、何を言ってるか認識することはできなかった。
「面白かった!」
「ヒロイン可愛い!」
「今後どうなるのっ……!」
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