第24話 キーブレス王国簒奪大作戦
「それでは、キーブレス王国簒奪大作戦の話し合いを始めたいと思います」
「そうやって聞くと物騒だね」
僕は、自宅のリビングにて、カリン、ディセ、セッテと紅茶を飲みながら、これからの計画について話し合おうとしていた。
「まず、ピアーチェス様のギフト授与式のご成功、おめでとうございます」
「ありがとう。これも、カリンが潜入を手伝ってくれたおかげだね。もちろん、ディセとセッテの事前準備もすごく助かった」
「いえ、家臣として当然の務めをしたまでです」
「ディセもです!」
「セッテ頑張ったよ!」
「うん。みんな、改めてありがとう。それで、現状を整理すると、ピャーねぇには今もAランクのギフトキーが入ってる。だから、またギフト授与式にかりだされても、たぶん大丈夫だと思う」
「ですね。授与相手がよっぽどポンコツでない限りは大丈夫でしょう。ただ、それよりも手っ取り早い話、もう一度スキルランクの判定をしてもらい、Aランクだと知らしめるのが早いのではないでしょうか?」
「うーん……それなんだけど、キーブレス王国ではスキル鑑定は一人一回が基本みたいなんだよね。再鑑定をすることは基本的にはないらしい」
「でも……それだと、ピアーチェス様はこれからもEランクとバカにされるのではないでしょうか?」
とディセが心配してくれた。
「それは大丈夫。EランクがSランクのスキルを授与できるわけがない、スキル鑑定が間違ってたのでは?って、みんな言ってるから。たぶん、再鑑定の儀式の場が設けられると思う。ただ、正式な場でしかスキル鑑定はやらないって決まりがあるらしくて、すぐにってわけにはいかないけど」
「よかったぁ。これでピャー様は安全だね」
セッテの言葉で、ディセも笑顔になり、2人して笑い合っていた。
「うん、そうだね。で、問題は僕の方だ」
「ご主人様は、依然としてスキル無しと思われてますよね」
「そうだね。僕の力のことは明かせないから、スキル無しでも有用だと認識させる必要がある。もしくは、立場が危うくなる前にこの国を盗るか」
力のことを明かせない。それは、僕の能力があまりにも不吉で望まれないものだからだ。スキルを与える王族にスキルを奪う王子が生まれた。そんなことが判明したら、国民に知られる前に暗殺される未来しか見えない。だから、僕は依然としてスキル無しとして生きていくしかない。
「国盗りについては、まだ準備が必要かと」
「だね。僕も同じ意見。さすがに4人だけじゃ戦力が足らない。だから、当面の目標は2つ、1つは、僕が安全に生きていけるだけの地位を手に入れること。もう1つは、組織をもっと大きくすること。この2つだ」
「なるほどです。それで、ディセたちはなにをすればいいでしょう?」
「うーん、そうだなぁ、今すぐに何かってのは……あっ……」
「なになに?」
「いや……」
僕は、前から計画してたことを考えていた。カリン、ディセ、セッテへのスキルの授与についてだ。
ピャーねぇがAランクのギフトキーを手に入れたことだし、みんなのスキルを発現させたら、僕たちの戦力はかなり増強されるだろう。
「ディセたちにジュナ様の考えを教えてほしいです」
「えっと……ピャーねぇからみんなにスキルを授与してもらえないかなって。それができたら、僕たちの戦力は一気に増すよね?」
「たしかにその通りです。しかし、ご主人様。ピアーチェス様に私たちの組織のことは話してないんですよね?」
「うん……」
「ピアーチェス様に話さないんですか?」
「悩んでる……」
「ピャー様だけ仲間はずれなのは……セッテ悲しい……」
「うーん……」
僕としては、僕の大事な人たちが安全に暮らせるならそれでいい。その過程で国を盗ることになっても。でも、ピャーねぇにキーブレス王国を盗る、なんて計画を話したら、反対されるような気がしていた。
それに、なるべく彼女には危険な目にあってほしくないという思いもある。だから、なかなか話す決心がつかずにいたのだ。
「では、黙ったまま、私たちにギフトキーを使ってもらうのはかなり難しいのではないでしょうか?」
「ピャー様、真面目だから、スキルちょうだいって言っても、だめですわって言うと思う」
「だよねぇ……僕もそう思う」
「では、ご主人様が催眠スキルを誰かから奪って、」
「……カリン?何を言っている?」
僕は暗い顔でカリンのことを見る。
「申し訳ありません……ひとつの手段として提案したのですが、ご主人様のお気持ちを考えておりませんでした」
「うん、わかってくれたならいいよ。ピャーねぇの意志を曲げることは……なるべくしたくないんだ」
ピャーねぇのギフトキーをすり替えた僕が何を言っている?その矛盾に気づいたが、最後まで言い切ってしまう。
「ごめん、カリン、怒ったりして」
「いえ、大丈夫です。ご主人様に睨まれるのもゾクゾクしますので。わからせがいがあります」
……ん?なんかこの従者、今おかしなことを言わなかったか?
「えーっと……で、みんなにピャーねぇからギフトキーを使ってもらう方法だけど、やっぱ、あれかな」
僕は、ニンマリした目をしているカリンから目をそらして、前から考えていた作戦をみんなに伝えることにした。
それを聞いて「うん!セッテ頑張って作るね!」とお菓子作りが得意なセッテが協力を申し出てくれた。これが上手くいけば、みんなにスキルが発現するだろう。
「面白かった!」
「ヒロイン可愛い!」
「今後どうなるのっ……!」
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