表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/66

第14話 大切な従者と第四王子

 ベッドの下で待機していると、正午に差しかかったころ、窓から馬車団の音が聞こえてきた。玄関の方があわただしくなる。あいつが到着したのだろう。


 しばらくして、ガヤガヤと話し声が聞こえたかと思うと、バン!と部屋の扉が乱暴に開けられた。


「はははは!もうすぐ!もうすぐあの女が手に入る!どう思う!ブラウ、アズー!」


「はっ、クワトゥル様にもらわれてピアーチェス様もお幸せでしょう」

「生意気な女ほど楽しめると思います!」


「はは!そうだろうそうだろう!やはり、アズーは私と気が合うな!そういえば、この前渡してやったメイドはどうだった!」


「すごく良かったです!特に泣き顔が!」


「ははは!それは良かった!是非アズーの調教の仕方についても教えてくれよ!実に愉快だ!」


 そして、こいつらは信じられないような下品な話をはじめる。〈相手が嫌がっていればいるほどいい〉とかどうとか。


 なんでこんなやつらの地位が高いんだ……こんなやつら……地獄に落ちればいい。

 僕はベッドの下から、そいつらの足を睨み続けた。



 夕方になり、散々聞きたくもない話を聞いたら、あいつらは食事に向かい、また部屋に戻ってきて酒を飲み始めた。

 よし、このくだらない宴会が終わって寝静まったら第四王子のギフトキーを奪い取ってやる。

 そう思っていたのに、


「そういえば、アズー、おまえいい酒が手に入ったとか言ってなかったか?クワトゥル様に献上すると言っていたではないか?」


「そうだった!ありがと!兄上!すぐに持って参りますので!」


「よいよい!皆でアズーの部屋に行こうではないか!はははは!」


 そして、大声を上げながら、3人とも連れだって部屋を出ていってしまった。追うかどうか迷う。いや、まだあと5日の猶予がある。こいつらが別荘にいる間に奪えばいいんだ。余計なリスクは犯さないようにしよう。僕ははやる気持ちを抑えて、その日はベッドの下で過ごすことにした。



-翌日-


 城のような別荘の中をこそこそと歩き回る。結局、あいつらはあの後戻ってこなかった。おそらく、アズーの部屋で飲み始めて、そのまま寝たのだろう。


 僕の能力の特性上、第四王子が寝ている間に奪うのが1番リスクが低い。だから、あいつの寝室に潜り込んでいたのだが、昨日のように別の部屋で寝られては敵わない。せめてあいつの習性くらいは把握しておかないと、そう考えながら、キョロキョロしていると、使用人の服を着たカリンがキッチンへと入って行くのが見えた。


 そして、そのカリンのことを、あいつが……第四王子がニヤけた顔で追いかけていくのを見つけてしまう。すごくイヤな予感がして、すぐに後を追った。見つからないように物陰に身を隠し、キッチンの中の会話に聞き耳を立てる。


「おまえ、新入りだな?」


「……はい。3日前から使えさせていただくことになりました」


 カリンとあいつの声が聞こえる。


「いい身体してるじゃないか」


「おたわむれを……」


 冷や汗が流れる。そっと、キッチンの中の様子を伺った。

 カリンが第四王子に迫られ、壁に追いやられていた。両手を掴まれている。


 『カリン!』すぐに出て行こうとしたが、カリンと目が合い睨まれる。『今は出てくるな』そう訴えかけられた。僕は、ぴたりと身体を止めて、元の位置に戻る。

 ぎゅっと、棚の縁を強く握りしめて、カリンのことを見守った。


「あん?なんだその目は?私のことを舐めているのか?」


「滅相もございません……」


「おまえ、私に使えてるということは、私の所有物であるという自覚はあるな?」


「……」


「答えろ!」


「は、はい……」


「いい子だ。ふふふ……おまえ、今晩、私の部屋に来い、可愛がってやる」


「か、かしこまりました……」


 クワトゥル第四王子は、カリンの同意を聞いて満足したのか。ニヤついた顔を浮かべたまま、キッチンを出ていった。


「……カリン!大丈夫!?」


 僕は、あいつの気配が無くなってから、すぐにカリンに近づく。


「よく我慢されました、ご主人様」


 焦っている僕とは裏腹にカリンは冷静だ。


「なんであんな約束!すぐに逃げよう!」


「いえ、逆に好都合です」


「なにがだ!」


「落ち着いてください、ご主人様」


 そっと、唇に人差し指を当てられる。


「むぐ……でも……だって、カリンが……」


「心配していただけるのは嬉しく思います。しかし、目的はあいつからスキルを奪うことです。私のことは二の次で大丈夫です」


「でも……」


「いいですか?ご主人様。私はあいつに今晩呼ばれました。つまり、今晩あいつは自室で私と2人っきりになるということです。ご主人様は、昨日と同じようにベッドの下に隠れ、待機していてください。あいつが眠ったらギフトキーの奪取を」


「でも……カリンの身が危ないよ……」


「私は大丈夫です、私を信じてください。ほら、人が来ました、隠れて」


 グッと背中を押され、廊下に出される。僕は不安な気持ちを抱えたまま、その場を後にした。

「面白かった!」


「ヒロイン可愛い!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたしますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ