RESET
渦。
死の念が込められた食らえば死ぬ悪魔の奔流。
食らえば――な。
「フン――」
回転して迫ってくる死の渦を、鋭い眼で見据えて、回避する。
「――」
回避したつもりだったが――異変。
身体が――。
蝕んでいる。すでに。渦から何かが――。
「音――か――」
渦から旋律が流れている。その旋律が、耳から侵入して身体を内部から浸食しているのだ――。
これは駄目だな。
さっさと諦めた。まだ見える視界の先にいる魔王は笑っている。
ふん、せいぜい笑ってろ。一度出直しだ。
この物語は、死んでも出直しが効く。
再び魔王を討つ旅に出れるから良いのだ。




