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第七部 エイジャの茶石

 「あれ、兄貴、いつの間に金髪リーゼントになってたわけ?」

 「また金髪キャラになったんだなあ。泣き虫じゃないけどね。さて、いろは。お父さんは見つかったし、神父はどっか行っちゃったし、もうここには用はないね。」

 「話しかけないで。」

 いろははこの世の終わりよりひどい場所にいるように落ち込んでいた。いろはの父カグツチが彼女に声をかけた。

 「かぐや、お前たちは明日トリプルシックスに乗って出発するんだな。わたしはこの星に残って神父の動向を伺うことにする。どこにいるかわからないあの男、D.O.《ディオ》の居場所がつかめるかもしれない。」

 「D.O.《ディオ》ってあの、100年間海の底で寝てて、起きたら4年で死んじゃった男?」

 「誰のことを言ってる?」

 「え、いえ、何でもないです。」

 「お父さん、神父がこの世界をめちゃくちゃにしてしまわないかしら?」

 「案ずるな。奴の野望など何も実現出来ない。そのうちわかる。だからお前も自分の記憶に振り回されるな。」

 「・・・・・」

 アルファはずっとナツメをにらみつけていた。全員がこのどんよりした空気にビクビクしていた。いろはは神父の歴史改変の誘いの言葉を振り払おうと躍起になった。自分が打ちのめされている理由のしょうもなさに滅入っていた。

 『ナツメも「言わなきゃよかった」って思ってるでしょうけど。』

 いろははあの神父が人から神としてあがめられるのは至極当然のように思えてきた。

 『なによ! あの金髪リーゼント。過去を変えたいオーラ全開じゃないの!』

 ふと見ると、ロカトが自分を心配そうに見ているのに気づいた。

 「ごめんね。変な気、使わせて。」

 「あ、いえ、もう一日停車時間がありますけど、どうしましょうか?」

 ロカトはみんなの気を紛らそうと、行動計画を立てることを提案した。ナツメはしばらくみんなとしゃべらないでおこうと思った。

 「そうだ、刑務所で何か興行をするんじゃないかな? それを見ようよ。」

 フィグが車掌の言葉を思い出して言った。ところが、このフィグの提案がとんでもない事態に巻きこまれる第一歩となったのだった。

 いろはは刑務所のPCにアクセスしたままだったので、興行の予定を調べてみた。

 「うん。明日の朝11時から12時まで劇団の公演があるわね。発車時刻は昼の3時だから、時間は十分あるわ。」

 それからみんなは列車に戻り、カグツチは刑務所の職員としてとどまる手続きに行った。立場としては刑事と探偵の間くらいの扱いになっているらしい。

 「腹減ったな。」

 アルファが食堂車に行くと言うので、みんなもついていったが、ナツメは座席で待つことにした。

 「にいちゃん、お弁当頼んでおくね。」

 「ああ、ありがとう。やさしいねえ。」

 過去をほじくり返すという神父の攻撃に、ロカトが名前をつけた。

 「あれって、ヒストリー・ハラスメントってことになるかな。思い出したくない過去を利用して人を苦しめるっていう。」

 「ヒス・ハラ? 流行るかな?」

 「まあ、何でも『ハラスメント』って名前付けたら流行るからな。それにしても、過去を改変するってのは、ほとんどの人間が賛成するかもしれないな。」

 料理を待つ間、そんな話をしていると、食堂車に別の団体がやって来た。なにやら口論しているようだった。結構大きな声で話していたので、話が筒抜けだった。それで彼らが何者なのか伝わってきた。

 彼らは刑務所で興行を行うためにやってきた劇団だった。この二日はどこかでリハーサルをしていたんだろう。歌と踊りを披露するらしい。しかし、先日の怪物(うじ虫)騒ぎのことを聞き、団員のほとんどが公演をやめたがっていた。

 「ついさっき怪物が出たって言うじゃないか! そんなところでやってられるか! 食われちまうかもしれないだろうが!」

 「でも、前金でもらってるのよ。かなりの額をね。それを今までの赤字の返済に充てたから半分も残ってないのよ。今更返せないわ。」

 「そうは言うが、命あってのことだぞ。」

 彼らはだんだんエキサイトしてきて、注文の確認に来たウエイトレスの呼びかけも聞こえていないようだった。

 そんなやり取りを聞いていて、フィグが驚くべきことをみんなに提案した。

 「ねえ、わたしたちが代わりに公演やったらどうかな?」

 「そんな無茶な。」

 「あの人たち、すごく困ってるよ。お金のことと命の安全のことで悩んでるよ。それってすごく苦しいと思うよ。」

 オキタも意見を出した。

 「恐らく彼らはやってもいい、あるいはやらなければならないという人だけで興行をやるでしょう。人数はもちろん減るでしょうね。それでは満足いかないでしょうね。彼らもお客さんも。我々みんながその気なら、わたしもいろいろ準備しますよ。彼らにもかけあってみましょう。どうです? ナツメ君も呼んでこないとね。」

 フィグがナツメを呼びに行き、みんな揃ったところで劇団員を助けるかどうか話し合った。それほどはしゃいではいなかったが、ナツメとアルファ、ロカトとフィグは乗り気だった。いろはは乗り気でなかったが、協力はすると約束してくれた。オキタはみんなの意向を聞いて食事もしないでまだ議論している劇団員に声をかけた。

 「すみません、お取組み中。みなさんの話を聞いてしまったことをまずはお詫びします。ところで、刑務所での公演についてお困りのようですね。急な申し出ではありますが、わたしたちも馬曲団のはしくれみたいなものですので、代わりに出てもいいですか?

 いえ、報酬はいただかなくても結構ですよ。うちらはお祭り騒ぎの好きな集まりですが、暇を持て余してるんですよ。よければあなたたちの予定を譲ってもらえないでしょうか?」

 劇団員はオキタの話を聞いてお互い顔を見合わせた。そしてもう一度少し話し合い、代表と思われる男性がオキタに話しかけた。

 「ちょっと信じられない話だけど、あんたらを信用してもいいのか? 話がうますぎやしないか?」

 「ほんとのことを言いますと、あの怪物騒ぎの元凶はわたしたちなんですよ。少なくとも責任を取らなくてはと考えています。いかがですか?」

 「あんたら一体何者なんだ? まあ、いい。うちらはみんなおびえちまってどうしようもないしな。代わってもらってもいいのか?」

 「ええ、いいですよ。」

 そういうわけで、一行は公演を引き受けることになった。

 「さて、何しよう? 歌は何曲かいるよね。」

 フィグはウキウキしながら話した。

 「いろはさん、刀剣演武をしましょうよ。」

 「ええ、いいわよ。」

 ロカトは剣術の腕前が上がったのを意識していたので、いろはに掛け合ったところ、快諾をもらって喜んだ。

 「にいちゃんとアルファ姉ちゃんはヒゲダンスがいいんじゃない?」

 「アルファがよければやるよ。」

 「まあ、いいだろう。オキタは裏方でいいのか?」

 「ええ、大道具係が要りますからね。」

 「学芸会みたいだね。」

 みんなが学生のノリで盛り上がり、ウキウキしていたその陰で、うじ虫大発生や邪悪な神父を超える恐怖が刑務所に迫っていた。実はこの刑務所は古代遺跡の上に建てられていた。石造りの大きくて頑丈な建物だったため、監房にちょうどいいということで、そのまま利用されたのだ。

 その遺跡は地下深くまで構造物があったが、誰にも知られていない空間がたくさんあった。昨日の怪物騒ぎで下水管がいくつか壊れ、汚水が地下にあった遺跡にも流れ込んでいた。その汚水を吸って古代の恐怖がよみがえろうとしていた。

 翌朝、リハーサルやネタの確認のために、一行は控室へやって来た。オキタがすでに取り寄せていた衣装や小道具などを持ちこみ、それぞれに手渡した。

 「ヒゲダンスの黒い燕尾服だね。なつかしい。オキタが用意してくれたネタの小道具は、と。ああ、リンゴを投げて剣で刺すやつと、水を入れたバケツを振り回すやつね。リンゴは練習して落としたり穴をあけるわけにいかないから、ぶっつけ本番だね。アルファ、投げるのと剣とどっちをやる?」

 「わたしは投げる方だね。」

 「じゃあ、よろしくね。フィグは何を歌うか決めてるのかい?」

 「うん、オキタが曲を準備してくれているよ。」

 「何を歌うんだい?」

 「残酷な電車の停電とか。」

 「そんな曲あったっけ?」

 「あと、ロカト兄ちゃんが好きなめぞん残酷の『金縛りよこんにちわ』も歌うよ。」

 みんなが打ち合わせをしているその真下の地下深くでは、邪悪な存在が念願の野望を達成する機会を待っていた。地下にある広々とした空間の中央には、巨大な岩の柱があった。その岩の柱には三体の異形の生命体が二千年の眠りについていた。それが下水の栄養を吸ってついに目覚めたのだ!

 「ラスクリ!」

 まず一人が目を覚まして自分の名前を呼び、岩からその身を伸ばしてジョジョ立ちを決めた。

 「ダーティ・チープ様、ドライブ様!」

 ラスクリが残りの二人に呼びかけ、二人も目を覚まして岩から飛び出した。

 「我々は預言の日に目を覚ましたようだな。つまり、太陽を克服する時が来たのだ。一体どれほどの年月、日の光を怖れ、日陰に追いやられて来たことか。しかし、この屈辱の日々は終わり、ついに我々がこの世界の覇者となるのだ。さて、世の中はどうなっておるか。」

 「どうやら、地面の下になっているようです。」

 「預言では、我々が眠っていたまさにこの地に預言された者がやってくるという。」

 「その通りです。『その者、黒き衣をまといてこの地に降り立たん。失われし太陽との絆を結び、ついに我らををまぶしき真昼の地に導かん。』」

 「そしてその者は黒きアダムとエバと呼ばれている。始祖エバがアダムに禁断のリンゴを渡して人類が生じたように、黒きエバがアダムに永遠の命のリンゴを渡したとき、それはまさに新しき人類、すなわち我ら究極生物の誕生を意味するのだ。

 そして太陽を克服するには『エイジャの茶石』の力が必要だ。エイジャの茶石は黒きアダムが持っているはずだ。その者はすでに地上にやって来ているに違いない。いくぞ。」

 三人の柱の男たちのかしらのドライブが先頭に立ち、ダーティ・チープとラスクリがあとに続いた。

 「何か騒がしいな。大勢の人がいるらしい。」

 「黒きアダムは我々の敵だろうか?」

 「そこまでは分からぬ。そしてエイジャの茶石がどのような形をしているのかもわからぬ。さぞかし光り輝く美しい結晶体なのだろう。まずは黒きアダムを探し出し、茶石を持っているか確かめるのだ。」

 刑務所内の体育館を使ってナツメたちの公演が始まっていた。若い女の子が歌うので、フィグを見て囚人たちは大喜びだった。


 ♪残酷な電車のように 終電よ始発になれ~

 朝の改札口 客車のドアをたたいても

 白線だけをただ見つめて 落ち込んでるわたし

 きっと不満だけ 遅れることにがっかりで

 運悪いまだ着かない 痛いこの遅刻

 だけどいつか気づくでしょう その電車には

 何も未定機械故障 誰も乗れない

 残酷な電車の停電 まだ来ないあせる通勤

 へとへとに 朝に疲れて

 重いカバン 腕が痛くて

 この朝に 悲しい遅刻

 終電よ 始発になれ


 フィグの歌の後、いろはとロカトの刀剣演武を見て、囚人たちは息を飲んだ。中には死線をくぐり抜けてきた猛者もいるだろうが、そんな彼らでさえ恐れを抱くほどのものだった。

 「あの二人、すげえな。」

 そしてアルファとナツメの番がやって来た。

 『チャー、チャチャチャチャー、チャー、チャチャチャチャ―・・・・・』

 「まずはバケツパフォーマンスだね。」

 役割としては、ナツメが水の入ったバケツで実演し、アルファがさらに難しいことを要求して笑いを誘うというものだった。いわば、ナツメがケンちゃんでアルファがカトちゃんだ。最後のオチは、水が入っていると囚人たちに思わせておいて、バケツの紙ふぶき客席にぶちまけるというものだった。

 「わー!!」

 と、期待通りにウケて二人は満足だった。次はアルファがリンゴを投げて、ナツメが剣先に刺してキャッチするというパフォーマンスだ。アルファの放物線を描いての一投目をナツメは難なくキャッチした。

 「よおし!」

 アルファの二投目はさっきよりかなり速かったが、それもしっかりキャッチした。

 「その調子だ、ナツメ、覚悟しな!」

 「へ? 覚悟って・・・」

 次にアルファは大きく振りかぶってから足を高く上げ、全力でリンゴを投げてきた!

 「おりゃー!」

 「わー!!」

 そしてナツメに向かって即死レベルのスピードのリンゴが飛んで来た。ナツメが『死ぬ―!』と叫ぶ間もなかったはずだが、しかしそのリンゴはナツメの剣にも体にも届かなかった。いつの間にかステージに三人の大男が現れ、そのリンゴをキャッチしていたのだ。

 「なんだー? 誰だ?」

 アルファが驚いて叫んだ。囚人たちは突然の出来事にざわめいていた。誰もが唖然とする中、ラスクリがナツメに向かって話し始めた。

 「お前が黒きアダムだな。まさに預言の通りに現れた。さあ、お前の持つエイジャの茶石を渡してもらおう。」

 「なんのこと? 黒きアダム? エイジャの茶石?」

 「ふふふふ、知らぬのも無理はない。もう二千年も前の預言だ。お前が知らずとも、お前は持っているはずだ。さあ、持っているものを見せてみろ。」

 「持っているものといってもねえ。」

 「渡さぬと言うのか。」

 「いや、今は演技中だから、私物は持ってないし。」

 「そうか、やはり渡さぬか。しかし、エイジャの茶石の力を手に入れることは我らにとっての悲願。力づくでも手に入れるぞ。」

 そう言ってラスクリはナツメにつかみかかってきた。

 「危ない、兄貴!」

 ロカトが走り寄ってナツメを突き飛ばした。

 「何者だ、お前たちは?」

 「そうだな、まずは自己紹介しておこうか。お前たちの神々となる者の名をとくと憶えよ。」

 彼らが名乗る前に、ナツメが横槍を入れた。

 「あー、柱の男たちだ! どこから来たんだ? 確かローマの地下にいるんじゃなかったっけ? 神父の次は究極生物だよ。ラスボス連発だ。あれ、エイジャの茶石と言った? 赤石じゃなかったっけ?」

 「やはり知っていたか。」

 「あ、ごめん、名前言うとこだったんだよね? ボクの予想では、ラスクリにダーティ・チープにドライブじゃないかな?」

 「我らの名を知っているとは、やはりお前は黒き衣の聖者だな。」

 「黒き衣?」

 「そうだ。我らに伝わる預言『その者、黒き衣をまといてこの地に降り立たん。失われし太陽との絆を結び、ついに我らををまぶしき真昼の地に導かん。』お前はまさに黒き衣の聖者なのだ。」

 「あれま、あれノーパン疑惑のナウシカの預言そっくりだ。」

 「なんと、預言まで知っていたか。」

 「いや、少なくともボクのことじゃないよ。パンツはいてるし。」

 「あくまでもしらをきるというのだな。」

 「まいったな。なんのことやら。じゃあ、その茶石を使って何をするつもりなんだい?」

 「我らは太陽の光を浴びることができない。しかし、その石の力によって我らは太陽を克服し、完全体となるのだ。」

 「太陽の光に茶石の力ね。ああ、じゃあ、これのことかな?」

 そう言ってナツメはポケットからスライダーバッグに入れたべちょべちょの茶色い泥みたいなものを取り出した。

 「うーん、少しにおうかな。密封されてるはずだけど。」

 「何だそれは?」

 「もともと金色だったけど、茶色になっちゃって、それから昨日下水に落ちてべちょべちょになった賢者の石。」

 「まさかそれがエイジャの茶石と言うつもりか?」

 「それしか思いつくものはないよ。」

 「ふざけるな!」

 「いや、大真面目だよ。ああ、そうだ。ドライブがおでこに穴の開いた石仮面持ってるんじゃない? そこにこのうんこ、あ、言っちゃった。この賢者の石を丸めて入れたらいいんじゃない? そうすれば太陽を克服できるよ。」

 「貴様、我らを侮辱したな! ドライブ様の顔に泥を塗りおって。」

 「いや、泥じゃなくてうんこ、いや、賢者の石だよ。」

 「もう我慢できん!」

 「あ、じゃあ早くトイレに行ったら?」

 「どこまでもクソ野郎め!」

 「兄貴、下がって! こいつらやる気だ。よし、俺が相手になってやる。まず初めに言っておくが、兄貴の言ってることは真実だ。それを受け入れないお前たちはいつまでも太陽を克服できないんだ!」

 「なるほど、真実のクソにひそむ真実だ! 柱の男にぴったりの言葉だね。」

 「きっさまー!」

 「俺が相手だと言っただろ。」

 そう言ってロカトが剣を構えた。

 「無知とは哀れなことだ。我らの実力を知る時は死ぬ時なのだからな。だが、全力で相手しよう。それが敵に対する礼儀というものだ。」

 「ロカト、気をつけろ! 紙砂おしりを使ってくるぞ。砂漠の民はうんこの後、砂でお尻を拭くんだ。」

 「兄貴は賢者の石を渡しちゃだめだ。」

 「いや、受け取らなかったけど。」

 「ふふふ、俺も戦いに参加させてもらうとするか。」

 ダーティ・チープも進み出てきた。

 「あなたの相手はわたしがするわ。」

 いろはが剣を持ってステージに来た。囚人たちはおもしろい劇が始まったものと思い込み、やんやの声援を送った。

 「わたしはあのドライブってボスが相手だ。」

 ナツメと柱の男たちとのマヌケなやり取りを傍観していたアルファがドライブの前に立った。

 「気をつけろ、アルファ、君の足をすりすりしてウィンウィンとか言ってくる変態だぞ。」

 「なんだ、てめーと同じタイプかよ。」

 「えー、ボクそんなキャラじゃないよー。」

 そして戦闘が始まった。いろはとロカトの剣術は確かに本物だった。ラスクリとダーティ・チープも強い敵に会えて喜んでいた。アルファもアッガイを召還してドライブにつかみかかった。

 「アルファが危ないな。すりすりウィンウィンは避けねばならない。ボクだってまだやってないのに。よし、ネタバレ攻撃で行くぜ。」

 ナツメはスライダーバッグから賢者の石を取り出した。そして賢者の石は進撃の巨人の星で使ったようなバットの形になった。ただし、まだべっちょりしていたが。そしてナツメはアルファとドライブの戦っている所とは関係のない、舞台の脇のカーテンをバットで殴りつけた。

 「ギャー!」

 突然悲鳴が上がり、ドライブは顔をクソまみれにしてうずくまった。

 「予想通り本人は陰に隠れていたなあ。アルファが変態行為されなくてよかった。よし、もう一発お見舞いしておこう。」

 そう言ってナツメはもう一度ドライブに打ちかかった。するとドライブは懐から石仮面を取り出し、顔にかぶった。ナツメはドライブの企みに気づき、バットを止めたが途中でぐにゃりと曲がってちぎれ、ちぎれた先が石仮面の額のくぼみにべチャッとついた。

 「し、しまった!」

 ドライブのかぶった石仮面が光り輝き、場内にいる囚人たちを照らした。そして作動を開始し、ドライブは完全体への変身を始めた。

 「おお、ドライブ様! ついに究極生命体へとなられるのですね!」

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