第一話 無の刻印。(3)
(あれから、何時間経った?意識が朦朧として、記憶を探るのに集中できねぇ…)
俺は、消え失せる意識を呼び戻し、記憶を探る。
探ろうとすれば、頭が割れる程の痛みを伴い、何もしなくても、体が魔力で焼かれてGAME OVER。
(あった…これだ。この方法なら生き残れる。)
崩れ落ちそうな体にムチを打ち、左手の甲に魔力を集める。そうして集めた魔力で刻印を刻んでいく。
元来、刻印を刻むことは極めて難しいものだが、どうしょうもないほどの魔力量によって今の体になら刻める可能性が高い。
〜数時間後〜
(あれから何時間…経つ…一時間?2時間?いや…もっとか?)
完全に意識が途絶えそうになった時だった。
「ネ…さま…ネル様!気を確かに…まだ眠ってはいけません。どうか、意識を保ってください。」
カノの声が聞こえる。どうしてカノがここにいるのだろうか。そう思ったときだった。
「ネル!絶対に目をとじるな。お前なら耐えられる。だから、頑張れ。」
父、ゲンマの呼び声が聞こえる。いや、他にも色んな声が聞こえてくる。
(まだ…死ねない。まだ、魔法を極め、試していないし…それに、親より先に死ぬなんて…もうごめんだ。)
俺は最後の力を振り絞って、刻印を刻み終え。
目を…閉じる。