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8/9

タピオカとフードコート

 まあ、書き方は色々ありそうだけど。現に、ランキングの入り方とかエッセイで書いているウェブの物書きの人もいるし。もっと言えば、有料で教えている人もいる。でも、問題がある。


「悪いな。流行に興味が持てない」


「僕も」


 二人の意見が一致する。リクは早々にラーメンを平らげて店を出たらしい。俺は、じっくり海鮮のマグロの二切れ目を口にする。そうか、小説もじっくり味わえるものと、今すぐ味わって、次の小説を読みに行けるようなものがあるのか。


 店を出た画伯は、次の店に到着したと告げてきた。


「もう一軒行くのかよ。マジか。俺、まだ食ってねぇぞ」


「そのまま。食べてて。もう一つ知りたいことがあって。タピオカの話」


「タピオカ?」


「これも流行だよね?」


 あー。そういえばタピオカが流行った理由もいまいちよく分からないな。画伯はタピオカが好きなのだろうか?


「タピオカ、普段から飲むのか?」


「たまに」


「どんなときだ?」


 画伯は悩む。


「それは、たぶん。友達と遊びに行って近くで見つけたときとかかな」


 タピオカが人気の理由。その一。遊びに行った場所にあること。これって、けっこうすごいことじゃないか? 遊園地や、娯楽施設、ショッピングモールには当たり前のようにあること。流行って恐ろしい。タピオカ消えろって言っても消えてくれない。タピオカに群がる女子高生消えろって言ってるのと同じだもんな。


「タピオカ店って、タピオカ食べてる自分がかわいいとか思うのかな。聞いた話だけど、そういうこともあるみたいなんだよね」


 なるほど。流行に乗ってる俺すごいっていうのが、ウェブ小説でもあるのかも。いや、それに近しいものといえばランキングだろうか。


「ランキングに入ってる作品を読むかどうかってことなんだろうな。俺はさ、別にランキングに興味ないんだけど。でも、実際にはランキングに入らないと出版社の目に留まらないわけだろ?」


「出版社はランキング百位までは見ているみたいだね。総合ランキングでも下位まで見てるとか見てないとか」


「へー、さすが画伯」


「で、そこで既に書籍化している作品にはない題材のものを選ぶと。このとき、ごくまれに書籍化ラインのポイントより低い作品でも取ることがあるよ。似たものがないとき。でも、この似たものってのが僕の認識と違うんだ」


「っていうと?」


「流行りの中での似たような作品にならないってこと」


 意味が分からない。


「簡単に言うと。さっきの、ラーメンの話と一緒で。ラーメンが並んでる中で個性的なラーメンを作らないといけないんだよ」


 俺はなんだが、居心地が悪くなってきて、海鮮丼のわさびにむせる。


「ラーメン店が並ぶところで、おいしい焼肉や、スパゲッティを提供しても、食べてくれない。どんなにおいしくても」


「あー」


 変な声が出る。


「タピオカもいっしょ。流行ってるのはタピオカであって、シュークリームじゃないから」


「そりゃそうだろうな」


「タピオカでちがうものを作るんだよ。アイスミルクティーのタピオカ。いちごミルクのタピオカ。僕は抹茶タピオカを買ってきましたー」


 って、写真送られてきた。うーん。俺にはタピオカはどれもタピオカで、別に食べたいとは思えないんだけど。


「残念だけど、僕らが目指すのはタピオカかシュークリームか選ばないといけないんだ」


「じゃ、シュークリームで」


「ラーメン屋なら?」


 うーん。ラーメン屋で焼肉出すのって悪いことか? 仮にさ、小説投稿サイトなんだし。きっと、でかいショッピングモールなんだ。そこで、四階だかに、フードコートがある。そこで売れてるのがラーメンばっかで。たまには焼肉出して売りさばいてもいいんじゃないだろうか。なんて、妄想をしながら……。海鮮丼の残ったごはんを食べる。


「でもさ、たまに純文学も書籍化するじゃん」


「それは、コンテストだよ。ウェブもコンテストは、まだ狙い目だと僕は思うよ」


 そうか。何だか夢のあるようなないような話だな。


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