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違和感
アラートは、『一度』も発生していない
気付くべきだった
何故、アラートが発生しなかったのか
ルーモのコミュニケーション能力は、
想定外の域に達していた
前に一度だけ、見た事がある。
研究所のセキュリティシステム点検中に
警報テストを実施した時の事
ルーモは、警報に敏感に反応し
(どうしたの?)
(どうしたの?)
明滅を繰り返し、不安そうにしていた
「これは、テストだから、大丈夫だよ」
「ほら、こうすれば止まる」
と、やって見せると
一瞬、明るく輝き
(ルーモにも・・・)
(・・・できるかな?)
「でも、キーボードとか無理だよねぇ」
(だいじょうぶ)
ルーモは、キーボードコネクタに貼り付くと、明るく光り始めた
そして10秒程で、システム復帰を、やってのけたのだった
いつのまにか、電子機器への干渉までもが可能になっている・・・
素晴らしい能力だ
しかし「脅威」でもある
『コノ生物ハ危険ダ』
直感的に、そう思った
しかし、研究者としては、この先の成長を見届けたい
そして、そのまま時間が過ぎていった