成長
ルーモの成長には、目を見張るものがあった
当初1㎝程だった、ルーモは
2ヶ月で、3㎝を超える程になっていた
ルーモのコミュニケーション能力は、非常に高く
接触した相手の、思考に直接語りかける事ができた
相手といっても、健一郎と雪奈だけであるが
月日を重ね、
ルーモと雪奈の関係は親密に、より深いものとなっていた。
いつも、雪奈の肩に乗っており
ポワンと淡く光っている
嬉しい時には、明るく光り
悲しい時には、弱々しく光り
怒っている時は、明滅を繰り返し
時には、雪奈の感情を代弁する事もあった
ある激しい台風の夜、ルーモが研究所に帰ってきた
明滅が激しい
「どうした、喧嘩でもしたか?」
腕にまとわりつくルーモに、健一郎は尋ねた
(病気、悪くなった)
(助けて)
せわしく光りながら、ルーモは訴えてきた
嵐の中、慌てて見に行くと、医療システムがダウンしていた
ロボットも同様に不調だった
今日は、何度か停電している。そのせいだろうか
健一郎にも、簡単な医療知識はあるが
この子の状態については、よく知らない。
まずはシステム復旧が最優先
それから、カルテを確認する必要がある
「ルーモ、側についててあげて」
そう言うと、自分の知識、技術をフル稼働
幸い20分程で、システム復帰できた
さすが、最新鋭の機器だけあって
自己修復機能が素晴らしい
医療システム復帰と同時に、ロボットも自動復帰していた
健一郎は下手に手出しせず、全て医療システムに委ねた
ルーモは、首筋から頭部まで「びろ~ん」と伸びた形で貼り付いたまま
明滅を繰り返したり、ポワ~ンと光ったりしている
何を語りかけているのだろうか
しばらくすると、雪奈の容体は安定した
(ありがとう)
(うれしい)
(とても不安だった)
複雑な光を放ちながら、ルーモは
健一郎の肩で跳びはねていた
「ここまで成長するなんて」
「ルーモは、凄いね」
(ありがとう)
(これからも頑張るよ)
(ずっとずっと、雪奈と一緒にいたいから・・・)
あの日以来、研究所のネットワークと医療システムを繋いでいる
何かあれば、即座にアラートが鳴るようになっている。
最近、データトラフィックが増加傾向だが、多少は仕方ないだろう。
あれから、停電は何度か経験しているが
アラートは、一度も発生していない