おはよう
「雪奈は、とても明るく、優しい子に、成長する事ができました」
「ルーモさん、ネルモさん、あなた方のおかげです」
「あなた方と出会い、雪奈は生きる素晴らしさを得る事ができました」
「あなた方と共に過ごした日々は、雪奈にとって、かけがえのない物でしょう」
「ネルモさん、ありがとう。 あなたの機転がなければ、雪奈は大切な友達を無くすところでした」
「そして健一郎さん、雪奈の後見人として、今後の事をお願いしてよろしいでしょうか」
「ここの研究所設備を含む、天宮家の全資産を、お譲りします」
突然の申し出に、健一郎は驚く
「後見人はともかく、全資産っていうのは、さすがに受け取り辛いですね」
モニターの女性は笑みを浮かべ、淡々と話を続ける
「そう言われると思ったので、既に手続きを済ませておきました」
「はいっ、ルーモも手伝いましたぁ」
「ちょっとマテ・・ ナニを手伝ったのかな?」
「分かってるクセに~、いつものヤツですよ、ダンナ(笑)」
「あ~、またか」
こめかみを押さえる、健一郎
「人生が蹂躙されていく~」
そして、不意に顔を上げ
「ま、いっかぁ」
「今の家は賃貸だし、住居と研究室がタダで手に入るのは、嬉しい」
「そして、何より・・ 家族が出来るのが一番、だな」
『健一郎、カッコいい~~』
ルーモとネルモの声がハモる
「あらためて言うな、照れるわぁ」
「結婚するみたいな、言い方だよねぇ。 いよっ、お二人さんっ、てか?」
「でも、年齢が違いすぎない?もしかして健一郎、ロリコンか!そうなのかっ?」
「それは、イヤぁぁ、ヤメてぇぇぇ」
キャピキャピ騒ぐ、マシュマロ達であった
『ピピッピピッピピッ』
「そろそろ、雪奈が起きるぞ」
ネルモが教えてくれる
「ん、んん~~」
ベッドから身を起こし、伸びをする雪奈
「おおっ、なんて自然な動き!」
「素晴らしいです、完璧ですっ、愛を感じますっ、教授~」
健一郎の涙腺は、崩壊していた
「あれ? いつの間に、部屋に帰ってきたのかな?」
「なんか不思議な夢だったな」
「マンガじゃあるまいし、お母さんがコンピュータになってるワケ、ないじゃん」
「ねえ、ルーモ?」
「ルーモ? どこ? 隠れてるの?」
「ネルモは? ねえ、ネルモ~。 ルーモ知らない?」
「ネルモも居ないの? 二人とも遊びに行ったのかな」
「んん? 体が軽い、なんかイイ感じ。 昨日だっけ? 死にそうな位、辛かったのに、不思議~」
「もしかして、ルーモ達が治してくれたのかな? お礼、言わなきゃ」
健一郎は笑顔で、ベッドに歩み寄り
「おはよう、雪奈」
「おはようございます、昨日はありがとうございました」
「もう大丈夫みたい、元気いっぱいだよ」
「おはよう、雪奈。 久しぶりね」
「え? その声は、お母さん? どこ?」
「あなたの目の前、モニターに映ってますよ。雪奈が見たのは夢ではなく、現実です」
ベッド柵から自在アームで、モニターが雪奈の正面に設置されている。
「お母さんは、コンピュータになってからも、ずっとあなたを見守っていました」
「そして、あなたは生まれ変わったの」
「今までの肉体から解放され、新しい体を得ました、最初は違和感もあるでしょうが直に慣れるでしょう」
「そっかぁ、みんなで私の体を治してくれたん・・だね。 ありが・・とう」
嬉しさに、雪奈の声が震える
「あれ? 涙、出ない?」
「そうですね、生身の体ではないですから、仕方ありません」
「んーと・・、そっかぁ・・、わかった・・。 そーゆーコトね」
「治ったんじゃなくて、生まれ変わったんだ。 うんうん、オッケー。 大丈夫~」
「あー良かった、どう説明したらいいのか、悩んでたんだ」
「やっぱり、親子同士の話し合いがイチバンだよね」
「あれ? ルーモ、ネルモ? どこよ? どこに隠れてるんだぁ」
「雪奈の体の中で『のーみそ』と『機械の体』の橋渡しをするのが、僕達の仕事になりました」
「もう・・ ふわふわもふもふ、出来ないの? 寂しくなるよう・・」
「今までと、変わらないよ。 皮膚感覚、聴覚、視覚が直接神経に伝わるだけ。 だよね、ネルモ?」
「そうですね。 今までとは違う『ふわもふ感覚』を開拓するのが楽しみですねぇ、うふふふふ」
「良かったぁ、今まで通り、仲良くしようねっ」




