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月の・・  作者: ましゅまろ・るぅむ
21/24

パズルのように


モニタールームで、雪奈の脳が脳外殻へと収容されていく様子を、健一郎は食い入る様に見つめていた

「保護液中なら、平気だと思うが・・」

「光も電磁波も遮断された状態で、脳の保護なんて、エネルギー消耗が激しいぞ」

「大丈夫なのか?ネルモ」


「それにしても、ここの3Dプリンターは凄いな、チタン加工とナノカーボン加工を同時進行とは・・」

「一体、いくらかかっているんだ? 億単位だよ、スポンサーでもいるのか・・な?」

頭の後ろで腕組みをしながら、チラリとカメラ目線

「それは、秘密です。 でも、ネルモさんなら、知っているでしょうね」

お茶目な、コンピュータであった


「あ、あれ?」

健一郎の視線は、何かを捜している

「ルーモは、どこに隠れたのかな~?」

「ルーモさんなら先ほど、脳外殻に入ってしまいました」

「これは想定外です。3体分のエネルギー供給は、現状のシステムでは不可能です」

「このままでは、非常に危険です」

人工音声なのに、焦りを感じる。 さすが、生体コンピュータ


深呼吸すると、健一郎は落ちついた声で

「大丈夫です」

「殻内部には、健診用の光ファイバーが、設置されてますよね?」

「ルーモとネルモは、光エネルギー変換が出来ます」

「ファイバーに、波長の短い可視光を入力してあげて下さい」

「なるほど、素晴らしい対応です。 それでは、殻内部に光入力します」

マニピュレータの先端が青白く光り、脳外殻のファイバー端を照らす

作業は再開され、脳外殻は無事に義体内に収納された




(お! 明るくなったね)

(でも、芸がない。 LEDはカロリーばかりで、味が薄い)

(同感、ご褒美にローソクの灯りにしてほしかった)

(でわ、あらためて)

(今後とも、宜しくお願いします)

(雪奈と3人で、仲良く生きてゆこう)

(でも、この体のスペック凄い、MAXで900kw位あるよぉ、平和に暮らしていけるかな?)

(大丈夫、トラブルは3人で解決できる)

(いざとなったら、健一郎を巻き込めばいいかぁ)

外の世界の慌てる様をよそに、まったりとした空気の二人であった


※900kw → 約1150馬力




メインモニターに表示されている「生体活性度」が、MAXレベルまで上昇するのを確認すると

「よっしゃあぁぁぁぁ!!」

「ネルモ、ルーモ、よくやったあぁぁぁぁ!!」

健一郎は、喜びのあまり、不思議な踊りを舞っていた


「マギョシリーズの場合は、直接エネルギー供給しなければ、生体維持が出来なかったのに・・」

「偶然とは言え、健診装置がこのような形で活用されるとは、大変な驚きと喜びです」


「偶然ではない」

突然、知らない声が、割り込んできた

「そうだよ、ネルモが思いついたんだよ」

また、別の知らない声


「いつの間に、義体を起動した。 勝手にハッキングするなよ」

健一郎は、すでに状況を理解していた

「義体担当はルーモだろ? で、雪奈担当がネルモだな?」

「大当たりぃ、さすが健一郎クン」

「ルーモ、融合して性格変わったか、大事な体を壊すなよ?」

「大丈夫。 義体シミュレーションでは、160㍉砲の直撃でも、壊れないよ」

「健一郎と喧嘩しても、負けないぞぉ」

「こちらが死ぬわぁ」


「それにしてもルーモ、なんでこんな事をしたんだ?」

「勝手なコトをして、ゴメンなさい。 詳しくは、ネルモが説明します」


「皆さん、驚かせてしまいましたが、ここまでに至る経緯を説明します」

「まず、モーラの情報によると、私達は2種以上の異種融合をすると、自我崩壊してしまうとの事でした」

「雪奈が無事に生き残っても、それが誰かの犠牲の上とあっては、心の負担になってしまうでしょう」

「同種融合部分を設定すれば、融合時の自我崩壊を免れる事が出来るのではないかと、考えました」

「幸い、ネルモはルーモから分割された個体である為、融合後の神経伝達速度においても、問題はないです」

「ただひとつ、エネルギー問題があります」

「現状の義体には、3体分のエネルギー供給能力がありません」

「今は一時的な対応になっているので、義体の改修をお願いします」


「なるほど。 まあ、何事もなくて良かった」


「義体改良の件について、了承しました。 エネルギー対策以外に希望があれば、作業開始までに言って下さい」

「それと・・ 皆さん」


「雪奈の為に、尽力して頂き、感謝しております」

「ありがとう・・」


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