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月の・・  作者: ましゅまろ・るぅむ
20/24

移植?


健一郎は、モニタールームで号泣していた

雪奈と母親の会話を聞き、ティッシュ箱を空にしていた

「両親の偏った愛情なら、猛反対するところだったが・・ 仕方ない、協力しよう」




通常、機能を失った体の代わりは『義手』、『義足』、『義眼』が一般的である

雪奈の場合は、臓器も含め、体全体を交換する必要がある

臓器移植という方法もあるが、ドナーとの相性問題が大きく

心肺機能が低下している状態では、簡単に対応出来るものではない


天宮家のマザーコンピュータ(母親)は、普段から雪奈に関する情報を分析している

その情報を元に、半年程前から、産業用の特殊な3Dプリンターにより、『義体』の製作に取り掛かっていた

「チタンとナノカーボンの複合材加工なんて、聞いた事もないぞ」

『カーボンナノファイバー』

軌道エレベーターが、実現出来るかもしれない、素晴らしい素材である

「ナノカーボン自体、開発研究途上の素材であり、軍事利用される方が先だろう」

しかしそれも、雪奈の意思次第では、廃棄される可能性があった、との事

贅沢な話である・・


生体と義体間の接続、当初は雪奈の遺伝子情報を得ている、モーラが担うはずであった

ただ、人間への不信感から、成功する確率は低かったであろう

今回は、ルーモから派生し、モーラの知識を得た『すーぱーましゅまろ』ネルモさんが担当

成功率は、限りなく100%に近い

残念なのは、ネルモの自我が無くなってしまう事だ、ルーモは寂しがるだろう




あれから、何時間経った?

いつの間にか、健一郎は居眠りをしていた

手術は順調に進んでいる様子

先程『脳』が取り出されたみたいだ

脳を保護する為に、ネルモが膜状態になって脳を包み込み、保護液につかっている

ルーモは時折、ネルモに触れているみたいだが、何を話しているのだろう




(ネルモ、頑張って・・、雪奈を助けてあげて)

(任せろ、この仕事は私にしか出来ない)

(でも、寂しくなるね。 また一緒に、ローソク三昧したかったのに・・)

(大丈夫だ。 実は・・ちょっとした考えがある、人間には内緒だが)

(何があるの?)

(可能性に賭けるか? 皆が幸せになる可能性に?)

(うん、ネルモが・・ そう言うのなら)

(よし! ならば・・)

(最後まで私の傍にいろ、殻に入ったら電極を通じて指示をする)

(分かったよ)




7割程まで出来上がった脳外殻に、脳が収容される

ネルモは内側の電極部分に触れ、ルーモと話を続けている

約1時間で作業は終了をむかえ、あと僅か1㎝程の穴を残すのみとなった

その時、脳外殻に設置された電極を通じ、ネルモがルーモに呼び掛ける


(今だ! 中に入れ)


ルーモは躊躇せずスルスルと、脳外殻内部に入る

そして、脳外殻は封印された


(うまくいった様だな)

(まずはルーモ、私を包み込んで欲しい)

(はいっ、こんな感じでいいかな?)

(オッケー。 悪いが、少しエネルギーを分けて欲しい、雪奈の維持でかなり消耗した)

するとルーモは青白く発光、その光をネルモが吸収する

(よし、ルーモは義体と融合しろ)

(私は雪奈と融合する)

(それと同時に、ルーモと私が融合)

(大丈夫かな?)

(大丈夫っ! ・・のはずだ・・多分)

(ちょい待ち、みんなで幸せになるんじゃないの?)

(安心しろ、99.5%以上の確率で成功する)

(とゆーことは、0.5%以下の確率で・・)

(まだ言うかぁ~~~)



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