別れと出会い
その子は、病気だった
先天性の血液疾患で、体を動かす事が辛かった
10歳まで、生きられれば良い方だと
医者は言った。
学校にも満足に行けず、ほとんどの時間を自宅で過ごし
両親は治療の為に、忙しい日々を送っていたが、突然の事故で亡くなってしまう
子どもは一人になった
しかし、自宅には高度な医療機器や、ハウスキーパーロボット等
どこから調達したのかと思う程の、ケアシステムが構築されていた
児童福祉政策の援助も受けながら、とりあえずの日々を、送る事ができた。
数年が経ち、9歳になった頃、病状は悪化
自宅の庭や、周辺の散歩で精一杯だった
そんなある日の夕方
不思議な光景を見る
「あ、一番星、見っけ」
「あれ? 違った?」
見っけたのは、『空飛ぶマシュマロ』
ふわりふわりと、淡く光りながら
とある家の庭に入って行った
「あ、変な研究者の家」
30代前半だろうか?
ボサボサの頭髪
白衣にジーンズ
サンダル履き
そんな風体の男が、ニコニコしながら
水槽を見ている。
「やっぱり、変な人だ」
呟くと、そそくさと家に帰って行った。
その日以来、時折『空飛ぶマシュマロ』
を見かけるようになり
その子は、ソレの正体が気になっていた