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葉月涼子の生活  作者: 砂場 箱太郎
8/11

ときどき、わからなくなるの

30歳にして事故死、霊界に飛ばされた葉月さん。事故の前後の記憶。それから大切な記憶もなくなっている。私が薬指にしているこの指輪、誰のプレゼントだろう。薄曇りの空、谷間の列は巨大な黒い門に続く。谷は氷河による削剥でなく、山地の河川が削剥したような鋭いV字断面の地形だが、川は枯れている。

よう、嬢ちゃん。よう気づいた。ちょっと離れたところに居た鬼が話しかけてくる。この谷はな、よう気づいた。昔は三途の川が流れとった、いまここはな、パレオ・サンズ・キャニオンいうねん。パレオっちゅうのは昔の、みたいな意味や。嬢ちゃん、あの体に巻く布とはちゃうで。せやねん。ここ最近よ。これも。西洋化っちゅうんかな、君らの文化がだいぶヨーロッパっぽくなった時があったやろ。めっちゃ人死んだあれの後。あんときな、ガクーン、川の水位が下がってん。んでな、わしらも昔は渡し船とかで生計たてとったろ。河原のかさねた石ころひっくりかえしたりな。これはおかしいな、どしたんかな、おもてな。んで閻魔さんとこいってん、丸っこい人でな。円磨。これは地学ジョークや。閻魔さん、教えてくらはった。生きてる人の世界とな、こっちの仏さんの世界、完全にリンクしとる。文化が枯れるっちゅうんかな。そういうんは閻魔さんには止められん、そういう変化やってん。昔閻魔さんの友達のオーデンっちゅう人もな、似た感じなってはったわって言うとったわ。んでな、その後はどんどんどんどん水が枯れて今ではこんな枯れ谷になってん。そこらへんの岩でかいやろ。それが昔は流速が大きかった証拠や。そんな大きい石、たっぷりの水でもないと運ばれへんで。ユルストロームダイアグラムでな、川の速度と転がる岩の粒径の関係は決まっとる。んでな、三途の川って重要なフィルターやねん。閻魔さん急がしいから、その審判の前に死んだ人のふるい分けがある程度必要やねん。川が枯れて、わしら仕事ないし、閻魔さんも困ってはった。んで、そうあれ、地獄の門。上野の西洋美術館とかで見たことない?ないんか。教養ないな~きみ。生きてるとき、何しててん?んでな、まあええ。んで、イケアで売ってたんをな、イケアあんねん。こっちゃにも。リンクしとる。んで、あれ見つけた鬼が、ええやん、閻魔さん、あれ。そう、閻魔さんも、ええやん、なってな。んであれ買うてきて、しばらく使てんけど。ええで、あれ。今俺ら整列係。船頭から先導になってん。うまいやろ。あの門な、ビョードーっちゅうの?そういうルールで仕切っとんねん。シンプルなぶん、容赦ないで。まさにヨーロッパーやな。生きてる前はしらんかったと思うけど、いま仏教で参っても無駄やで。いまはな、実は君ら死んでも適応されんの、最初はキリストんとこのルールやな。やっぱ最強はキリストや。教会とかいったことないやろ、きみ。な。天国、絶対いかれへんで。


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