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葉月涼子の生活  作者: 砂場 箱太郎
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ドック・オブ・ベイ

葉月涼子の憂鬱は晴れない。物事は予定通りに進まないもので、本来であれば1週間は前にサイトに到着、サンプリングが始まる予定であった。航海が始まって3週間、残り2週間で終わりを迎えるが、いまだ本航海での収穫は完全にゼロ。時間だけがただ過ぎていき、失敗の輪郭を明瞭にしつつある。紫だった空は既に闇を迎え、船の灯だけがわずかに海面を照らしている。デッキ横。手すりに寄りかかり、ため息をつく葉月涼子。眼は星空を仰ぎ、再び流星を捉えた。すぼめた口から紫煙を吐き出す。今日は流星群のピークで、10分に7つ程度のペースで流星を見ることができる。流星の一つがなかなか消えずに空を横切っていく。えらい長いな、と思ったとほぼ同時に、艦橋から人が飛び出してきた。キャプテンだろうか。望遠鏡で流星を眺めて再び中へと戻っていった。老人ホームのような生活(食べて、寝て、起きてレクリエーションして、ミーティングをして)に飼いならされた涼子の思考はタールのように鈍重で、姿勢は常に同じ状態であった。横切っていた光は水面に到達し、小さな爆発を見せた。人々がぞろぞろとデッキに現れて、同じ方角を注視している。飛行機らしい、と誰かがつぶやく。船のエンジンが強く唸り始めた。暫くして、ブリッジから放送が入る。「見た人もいるかもしれんが、ここから北西に4kmの方角に飛行機が墜落したようだ。既にほかの船と連絡を取った。本船もこれから救助に向かうことにする。状況によってはサンプリング予定を一時延期し、港まで救助者を運ぶことになる。了解されたし。」

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