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Vtuberっていましたよね? 好きだったVtuberの名前、覚えてますか?

作者: 酒井カサ

今後もVtuberブームが末永く続くことを祈念して文章にしてみました。



 今が2023年ですから、あれはもう五年も前の出来事ですね。

 当時、私は高校生でしたが勉強も部活もやらずにずっとネットばかりいじっていました。

 朝、学校までの通学時間で。昼、食事休憩の合間を縫って。夜、朝日が昇るまで。

 年がら年中、四六時中、青白い液晶を覗いていました。


 「何にそんなに夢中になっていたか」ですか?

 そりゃ、「バーチャルユーチューバー」なる動画配信者に決まっていますよ。

 あ、知っていますか? ――そうそう、それです。

 まあ、一応補足的に説明しておきましょうか。あなたにその必要は無さそうですけど。


 「Vtuber」は一時期話題になっていたキャラクターになりきって動画を配信する人のことです。

 あえて例えを用いるならVRMMOのキャラクターになりきって遊ぶのと似ているような気がします。


 あの頃は本当にそればかりで、毎晩のように夜更かししてました。

 なので授業中爆睡なんて当たり前でしたね。教室でもこっそり視聴してましたし。

 友人からは「憑りつかれている」なんて言われたりもしました。今はいい思い出ですが……。


 多くの「中の人」はいわゆる個人でしたが、中にはネット声優や企業がバックについている人もいました。

 人気が過熱化すると共にそのブームに乗ろうと様々なジャンルから「Vtuber」が現れました。

 絵、ゲーム、歌、文章、声、技術、話術とそれぞれの「得意なこと」を活かして、私たちを楽しませてくれました。

 「得意なこと」をしている時のVtuberは皆輝いていて、とてもまぶしかったのを今でも思い出します。


 ……ええ、確かにそうです。

 元々文化として発展していた「youtuber」の劣化コピーと言われても仕方がない一面もありました。

 それこそ、youtuberなのかVtuberなのかさえ、区別がつかないなんていう猛者もいましたね。

 自分好みの女の子になりきるオジサンや1周回って「男娘」と開き直るオジサンも流行っていましたよ。

 でも、オジサンの方が男心を分かっているので、仕草の一つ一つが可愛らしく、うっかりしていると惚れてしまいそうでした。

 いや、そう思っていた時点で惚れてしまっていたのかもしれませんね。


 まあ、こんな感じにどっぷりハマっていると当然「推しメン」も出てくるわけで。

 ……恥ずかしながら何人ものVtuberに「ガチ恋」しておりました。

 そんなお気に入りのVtuberの動画がランキング上位に入ると本当に嬉しくて。

 毎日更新される動画がUPされるのが待ちきれませんでした。そして必ず高評価。

 ツイッターをフォローし、必ずリツイート。

 運よくフォロバして貰えると天に舞い上がりそうでした。


 そんな浮気性な私にも絶対に譲れない一押しのVtuberがいました。

 それは澄んだ声でJ-POPをカバーしていた銀髪ぺちゃぱいのVtuber。

 チャンネル登録者が二ケタの頃から応援していました。

 たくさんの人に聴いてほしかった。応援メッセージもいっぱい送りました。拙い画力で愛を込めたファンアートを書きました。生放送はどんな時間でも駆けつけました。どれも青春の甘酸っぱい思い出です。

 けれど最後まで「ガチ恋してもいいですか」と言えませんでした。

 

 いざVtuberからアイドルデビューした彼女の初ステージを見て、言いようのない悲しい気分になりました。

 それからでしょうか。あんなに楽しかったVtuber界隈も急につまらなく思えて、潮が引いたように見なくなりました。


 ……ええ、私も同じ事を言おうとしていました。

 いましたね。ボカロP。

 15年ほど昔の話。

 当時のサブカル界隈は空前のボーカロイドブームでした。

 右も左もwebを歩けば初音ミク。あの緑の髪とネギを見なかった日はありませんでした。

 中二病をこじらせた歌詞や早口でまくしあげた曲調が大人気。

 その歌詞を元にして小説、漫画、アニメと様々なメディア展開がなされていました。

 ……好き嫌いは色々とありそうな仕上がりでしたが。

 ともかく実力は無くても熱狂的な人気さえあればデビュー出来る。

 デビューさえすれば売れる……なんて言われた時代でした。


 こんなボカロPも知っています。そうそう、あの曲の作者です。

 あの曲のヒット後、会社を辞めて音楽一本でやると決めたそうで。

 しかし、肝心のアルバムを出したが鳴かず飛ばず。

 途中で契約破棄され、職を失い、今はコンビニや飲み屋でバイトしながらちびちびと動画をあげる日々だそう。


 ……話が逸れましたね。Vtuberの話題でした。

 といっても、もう話すことは無いのですが。なにせもう随分と前の出来事ですし。

 えっ、「どんな話でもいい」ですか? では折角ですのであなたに質問したいと思います。

 そんなに難しいものじゃ無いですよ。その澄んだお声で返事を下さい。


 Vtuberっていましたよね?

 あの人たちは一体どこに消えたんでしょうか。動画の消えたチャンネルは答えてくれません。

 Vtuberって職業ありましたよね?

 今どこにいて何を思っているのでしょうか。更新の途絶えたツイッターは何も教えてくれません。

 Vtuberっていましたよねっ。

 今でも動画を撮っているんでしょうか。名義が変わったあなたはきっと答えてくれません。

 Vtuberって職業ありましたよねっ。

 またいつか『彼女』が歌う日は来るのでしょうか。私はいつ「ガチ恋していいですか」と言えるのでしょうか?

 

 ……すみません。ちょっと調子に乗りすぎました。ごめんなさい。

 この辺でお別れにしましょう。お互いの為にそれがいいでしょう。

 ではさようなら。私が愛したVtuberの中の人。


 地下アイドル頑張ってくださいね。

Vtuberが好きだから。そして作者であるボクがVtuberだから。

こんな未来は訪れて欲しくないですね。

外れてほしい未来予測でした。

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