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星の椅子

作者: Crawyaw1

星は椅子に座っているんだって。

それに座れば僕でも星になれるんだって。

その椅子さえあれば僕もきらきら輝くのかな。


僕は空の星に尋ねてみた。

僕に貴方の椅子をくださいませんか、と。


星は自分の椅子に座ったまま

星の椅子は星から譲り受けるものではない。

地上の人々に作ってもらうものだ、と言った。


どうやったら作ってもらえるのか聞くと

一生懸命働きなさい、人に優しくしなさい、と

星は椅子に座ったまま言った。


それがどういうことかわからなかったけれど

僕は星に言われた通りにした。


すると、人々に尊敬され、誰からも愛されるようになった。

いつか大人になって星の椅子のことなんか忘れた後も

どうしてか星の言ったことだけは憶えていた。


僕はやがて年老いて起き上がれなくなった。

村の中のたくさんの人が僕にお別れを告げに来た。

皆、誰もが涙を流していた。誰もが僕の為に祈った。


僕は幸福な気持ちでゆっくりと瞳を閉じた。

そして、僕のこころが僕のからだをはなれたとき

空の上に光輝く小さな椅子が用意されているのが見えた。


いつかの星が椅子に座ったまま微笑んで言った。

ほら、わたしの言った通りだっただろう?

星の椅子は君を愛する地上の人々が作ってくれるんだ。


今も誰かが僕の為に祈ってくれている。

だからこんなにも星の椅子は輝いている。

美しく輝いている。


僕は星の椅子に座る。

そして、愛する人たちの為に

夜の輝きを絶やさぬようにと

きらきらと光を放つ星になった。


寂しい夜にはどうか空を見上げてほしい。

たくさんの星の椅子がそこにはある。

その椅子の数だけ、人々が誰かの為に祈っている。


貴方の祈りが星の椅子を形作る。

きっと誰かが貴方の為にも祈っている。

どうか憶えていてほしい。

星の椅子はいつもそこにあることを。


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