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ロードの1日・3



ロード「魔術についての勉強は大変なんです」



ベルグス「ずりー!俺だって魔術が使いたかったチキショー!(魔力ないからわかんねぇけど、大変そうだな!)」



ロード「心の声と建前が逆ですよ、王子」








急いで昼食を食べ終えたロードは、怒るグレイの声を無視して部屋を飛び出した。

その時に、きちんと魔術の本を持ってくるのを忘れてはいない。

更に、部屋の外で警護をしていたジェシカとディランはグレイの声に驚いていたが部屋を飛び出してきたロードに何があったかを悟り、グレイに憐れみの視線を向けてからロードの後を追った。



『さぁ、先生が来る前にさっさとしてしまおう』



庭に着いたロードは持ってきた本を地面に広げて何時も練習している魔力操作のページを開いた。

ディランとジェシカは魔術の練習をしているロードの邪魔にならないように隅に寄り何かあったら直ぐに動けるように準備をしながら見守っている。



『まず、魔力を全身に行き渡らせて、、、』



魔力操作は、体のお臍の辺りにあると言われている魔力のツボから魔力を引っ張りだし血の流れに沿い全身へ行き渡られることである。

簡単に言ってはいるが、実際に習得するのは難しくこの修行だけで5年かかるものもいると言う、因みに魔力適正が高いエルフは1年程でものにする。

そして、弱い魔術しか使えない人間は習得するのに5年程かかるがロードは魔力適正の強いエルフ族と龍人族の間に生まれた子であるため、魔力適正が高くカタリナ達使用人の拙い教え方だけでも2年程で魔力操作をものにしたレベルである。

その為に、ルイスが冒険者の家庭教師を頼む事にしたのだった。



『前より、早く全身に行き渡る様になったな。でも、これしか出来ないんだよね、早くここに乗ってる魔術を使えるようになりたいな』



魔力を全身に纏った状態で綻びがないことを確認したあと本に載っている魔術、初級の火の(ファイヤーボール)や大地の(アースウォール)、水の(アクアウィップ)等を見ながら魔力にむらが出来ないように調節している。



「ほぉ、魔力操作くらいはできるか、、」



『!?誰、、』



いきなり間近から聞こえた声にロードは反射的に横に飛び今まで自分がいた場所の隣に立っているフードを深く被った人物を見る。

横目でジェシカとディランが此方に駆け寄ってくるのを見ながら警戒を露にすると、フードの人物が何が言おうと口を開いたのだが、走りよってきたパティの声にかきけされてしまう。



「お、お待ち下さい!ムルグ様勝手に動かれては困りま、え?お、お嬢様‼」



パティはフードの人物、ムルグを睨み付けているジェシカとディラン、そしてロードの姿に驚くと慌ててロード達の側に走りよってきた。



「ロードお嬢様、この方が今回から魔術の家庭教師となってくださる。ムルグ様です。敵ではありませんから、剣から手を離してください!ジェシカ様、ディラン様!」



その言葉に、ディランとジェシカはしぶしぶ剣から手を離し姿勢をただした。



『あなたが、そうでしたか。失礼な態度をとってしまい申し訳ありません』



とロードが謝罪するとフードの人物・・・ムルグが



「ふん、別に構わん」



と腕を組んだままぶっきらぼうに答える。

そんなムルグの無礼な姿にジェシカが眉を寄せるも何かを言う前にディランが、ジェシカを連れ元の場所に戻った。パティも、ロード達に一礼をしてから屋敷へと戻っていった。



『あの、今日からお願いいたします。ルイス・フォン・マグラシアが娘、ロード・フォン・マグラシアと申します』



「あぁ、A級冒険者、、ムルグ・ルアだ」



ロードの言葉にムルグはそっけなく返すと被っていたフードを脱いだ。

淡い水色の髪にエルフ特有の長い耳を持つ美男子だった、見た目は17、8といったところだがエルフは基本的に見た目と年齢が釣り合わない。

それに、エルフ族はたまに例外はいるものの基本的に100歳を越えなければ森の外に出られないのだ。だから、このムルグも恐らく100歳を軽く越えているのだろう。



「時間がないから、さっそく始めるぞ」



『は、はい』



地面に置いてあるロードの魔術書を拾い上げると初級魔術の基礎のページを開いた。



「お前は、魔術の属性の種類や魔法の分類については、勉強しているな」



鋭い視線を向けられたロードは自然と背を伸ばして答えた。



『属性の種類は、火、水、土、風の四大属性と光、闇、雷、氷の四属性の8つがあり、魔術の分類は、攻撃魔術、防御魔術、付属魔術の3つがあります』



「基礎の勉強もしているか、、まぁ、教える面倒がなくていいがな」



ロードの答えにムルグはページを捲りながら呟いた。

その様子にロードは、本当にこの先生で大丈夫なんだろうかと一抹の不安を抱いたのだった。









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