森の中で・・・~ベル視点~
ベルグス「少しだけ過去の記憶がはいるな」
ロード「そのようですね」
今俺は、森の中を自称?姉であるロイと共に南へと下っている。
たまに出てくる魔物?を蹴散らしているロイを見て魔法ではなく魔術があることを知った。
姉が使えるのなら俺もできるはずと意気込んで中二病全開の呪文を唱えて姉と相手の魔物に不思議そうな顔で見られて心が折れかけたり剣に見立てた枝を振り回し顔に傷をつくり姉に怒られたりしながら森の中を進んで行く。
日も落ちて辺りが暗くなり始めた頃、俺達は泉の近くで何度目かの野宿をすることに決まった。
ロイが捕まえてきた頭に角の生えた兎を食べながら今までの事を振り替えることにした。
~~~~回想~~~~
俺の名前は島川健、高校を卒業と同時に親を交通事故でなくしている。
すごく悲しかったのに何故だか実感が無くてずっと唖然としたままだった、そんな俺を見かねて親戚の人達が通夜と葬式をしてくれた。
俺が泣けたのは全てが終わって一人になった家の中でも両親の仏壇を見た時だった。
その後は決まっていた就職も蹴って家に引きこもった、はじめは心配してくれていた友達たちもだんだんと離れていき何時しか一人になっていた。
両親との中はあまりよくなかった遅くまで遊び歩いている自分を心配してくれた母親には五月蝿いと怒鳴り、自分のために怒ってくれた父親は無視をした。
そんな当たり前のような日常が続くのだと思っていた。
今まであまり前のように思っていた日常がとても大切なものだったとなくしてからはじめて気づいたのだった。
そしてそんな現実から逃げるようにゲームやアニメに没頭し立派な?オタクになった。
~~~~回想終了~~~~
俺がベルになった日は、何時もと代わり映えのしない日だった気がする。
何時ものようにベットでだらだらしていただけのはずなんだが・・・と内心ぼやきながら隣で刀の手入れをしている姉を見る。
家族である俺の目から見ても驚くほどの美少女である姉がさきほどバッタバッタと醜い小鬼や二足歩行の豚を倒している姿は戦乙女であるヴァルキリーを彷彿させた。
生まれ変わったら親孝行をしようと思っていたのだが、前世の記憶を思い出す前に両親が死んでしまったので何故早く思い出さなかったことを後悔したがまだ、姉がいる。
今の幼い体では何も出来ないし、ましてや足手まといの状況になっている。
しかし、いつか凄腕の冒険者にでもなって姉を楽させてやりたい。
あと、姉の容姿に近寄ってくるであろう男から守るのだと意気込む。
(冒険者やエルフ、ドワーフが存在している事を姉に聞いた。マジでファンタジーの世界だな)
あまりにじっと見すぎていた為か姉は刀を手入れをする手を止めて俺の方を向いた。
『どうかしましたかベル?そんなに見つめられては穴が空いてしまいますよ』
「えっと・・・あと、どのくらいでリパリス帝国につくんですか?」
冗談を言いながら聞いてくる姉に、さっきまで考えていた事が悟られないように聞いても不審に思われない質問をする。
『そうですね。今のところ順調に来ていますので明日辺りには森を抜けるはずですよ。』
「じゃあ、もうすぐでリパリス帝国なんですね」
『ええ、そうですよ。明日の朝も早いですからベルはもう寝てください』
優しく笑いながらマントを手渡してくる姉に今日こそは見張りをさせてもらおうと意気込みながらマントを拒否した。
「今日は、俺が見張りをするんでお姉ちゃんが寝てください」
『ダメですよ、ベルの方が小さいんですからしっかり休まないと大きくなれませんよ?』
「うぐ、でもそれくらい俺にも出来ますよ」
『もしもの時の対処が出来ないでしょう?僕は大丈夫ですから心配せずにゆっくり休んで下さい』
反論も簡単に丸め込まれ姉の膝の上に頭を乗せられ眠るようにトントンと優しく肩を叩かれいつの間にか眠りについてしまい、朝になって姉に起こされまた手伝えなかった事と自分より年下の(精神年齢が)膝枕で眠ってしまったことに精神的にショックを受け姉に心配されるのだった。