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番外編 第一王子との出会い・1




ベルグス「兄さんの小さい頃か~」



ロード「今とは少し性格が違ったんですよね」








ロードが七歳の頃の話をしよう






銀の(シルバームーン)は神々の王であるアルゲンドゥム神の司る月である。

この国では、この月の始めに年に一度の盛大なお祝いが開かれる事になっていて大人から子供まで浮き足立っている。




平民達は町の飾りつけ、出店をだし町をあげてのお祭りをしている。

貴族達は、お城で開かれる夜会にてお祝いをすることになっていて七歳になり夜会に出られるようになったロードもルイスの相手(パートナー)として夜会に出ることになっており朝から準備に終われていた。





『賑やかですね、お父様』




馬車に揺られながら薄暗くなってきた外を行く家族連れや恋人達をぼんやりと見ていた淡い水色のドレスを着て髪を高く結われたロードがぼそりと呟くと目の前に座っていたダークブルーの燕尾服を着たクルスもチラリと外を見てからロードに言った。



「年に一度のお祭りだからね。それにしてもロードそんなに嫌そうにしないでほしいな。私の相手は嫌かい?」




目の前で不貞腐れたような顔をしている娘に少し悲しそうにルイスがいうと、ロードはばつが悪そうな顔をして小さな声で言った。




『そんな事はありませんが・・・』




決まりが悪そうにボソボソと話す様子に年頃の娘にしては珍しくきらびやで華やかなかな場所よりも訓練所を好む娘にルイスは育て方を間違えたかな?と思いつつ苦笑した。

ロードがなんと言ったものかと悩んでいるとタイミングよく御者から声がかかった。



「旦那様、お嬢様。到着いたしました」



「あぁ、ありがとう。さて、お手をどうぞお嬢様」




ルイスは軽やかに馬車から降りるとロードに向け手をさしのべていたずらっぽく笑った、ロードはそんな父に笑みを溢し礼を言ってから手をとった。




ルイスとロードが入り口で城の者に挨拶をして中に入ると後ろから入り口の辺りで待機していた騎士の一人が大きな声で叫んだ。




「ルイス・フォン・マグラシア侯爵様とご令嬢、ロード・フォン・マグラシア様のご到着!!!」





その声に内心驚きながらも父にエスコートされ大広間に入る。



「マグラシア侯爵様だわ、相変わらず素敵ですわ」



「ええほんと、素敵ですわ」



「今日は、ご令嬢を連れていらしているようだな」



「あの娘が、ロード嬢かいやはやお美しい」



中にはすでに沢山の人が来ており、先程の声に釣られて多くの視線が集まった、ロードはその値踏みするような好奇の目に立ち止まりそうになったがそんな事をすれば父に迷惑をかけることになると己を奮い立たせて微笑みを浮かべ真っ直ぐと背筋を伸ばししっかりとした足取りで進んだ。

そんなロードを横目で見守っていたルイスはロードを助けるように好奇の目を向けていた人達に一瞬だけ鋭い視線を向けられた、その視線を受けた者達はルイスの機嫌を損ねたと視線から逃げるように目を背けた。

そのまま、ルイスは国王の元へ娘を紹介しに向かった。




「おお、待っていたぞルイス!その子がお前の娘か!」



「ええ、私の娘のロードです。ロード、挨拶をしなさい」



『お初にお目にかかります。ルイスが娘、ロード・フォン・マグラシアと申しますわ』



「ほぉ、ずいぶんしっかりした娘だな。息子にも見習わせたいわ。ハハハハハハ」




『その、えっと、あ、ありがとうございますユグルド様』




「ユグルド様申し訳ありませんがその辺で。他の者も待っておりますのでまた、のちほど」




「ああ、そうだな。パーティーを楽しんでくれ」





ロードの頭を撫でながら国王であるユグルドが笑う、戸惑ったように頭を撫でられている娘を助けだしルイスは次の挨拶をするために待っていた者に場所を変わった。




その後、暫くはルイスの側で当たり障りのない対応をしていたが流石に疲れてきたためルイスに外の空気を吸ってくると言ってテラスへと出てきた。

テラスには人影はなく淡い月の光と星達の光で辺りが見渡せるほどには明るかった。

他の人達はパーティーに夢中のようでテラスには出てこないだろうと思ったロードは少しテラスで時間を潰すことにした。




『やっぱり、僕は夜会に出るよりも訓練所で剣を振ってる方があってるな』




目の前に広がるバラ園を見ながらため息をついたとき後ろでテラスの窓の開く音がして誰かが出てきた。

その人物は、テラスに人がいたことに驚いたようでその場に立ち止まり睨むように目を細めて言った。




「そこにいるのは、誰だ?」




ロードが振り替えると其処にはこの国の第一王子でありロードの2つ年上のバルトールがいた。

こんなところで鉢合わせするとは思ってなかったロードは少し顔を引きつらせながら優雅に一礼して挨拶をした。




『はじめまして、バルトール第一王子様。私はルイス騎士団長の娘でロード・フォン・マグラシアと申しますわ』



「そう言えば、私と年が近い娘がいると言っていたな。ルイスは近くにいるのか?」




思い出したように頷き辺りを見回したバルトールにロードは首を降って答えた。



『いえ、父は中におります』



「ふーん、そうか。お前暇だな」



『え、えっと、予定はありませんが・・・』



「なら行くぞ!」



『行くって何処にですか?バルトール様』



「いいから、黙ってついてこい!」



そう言って戸惑うロードの手をつかみテラスから外へと飛び出しバラ園の間を縫って進んでいく。

ロードはバルトールから顔が見えないのを良いことに眉を寄せ不快そうな顔をしてからバラのせいで見えなくなったテラスの方へ視線を向けてため息をつき王子におとなしくついていくことにした。

ロードは初めての夜会で疲れておりその様子を見ている者達がいることに気づかなかった。










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